日米中英韓印など、原油消費が多い国で石油国家備蓄の放出を宣言されました。
まさに原油価格の協調介入です。
米国は手始めに5000万バレル相当の量を放出計画としており、少し少ないですが、原油価格抑制の強い姿勢が見られます。
各国消費者物価指数(CPI)の数字の大半は原油価格の影響によることが多いです。
この世に存在している物資の原料の7割前後が原油に行き着くことが多いだけに、やはり原油価格を抑えることで単純なCPI抑制につながるわけです。
調べてみると、日本は140日分の国家備蓄があるようで、備蓄基準量は違えど、各国2-4カ月程度は確保されているようです。
1日に必要な供給量の1−2割を補填するのであれば、1年はサポートできると思いますが、備蓄もスッカラカンにさせるわけにはいきません。
産油国もここ5年間は原油安で財政がかなり悪化しておりました。よって、ここぞというところで増産見送りやまたは減産合意など、OPECと非OPEC(ロシア)でも協調があるかもしれません。(12月2日に会合があるので要注意です。)
バイデン政権は来年の米中間選挙のためにどうしても現在のインフレを抑え込み、物資の高騰を防ぎたい構えでしょう。
よって、一定の通貨高は許容を始めると思われます。急激な金利上昇は望ましくありませんが、おそらく今後、再任されたパウエルFRB議長は株式市場に配慮しながら、利上げを含む通貨高を誘うコメントをし、口先介入からはじめるでしょう。
米国にとって、政策金利を引き上げず、ドル高になることがおそらく最も望ましいはずですので、そういった戦法を向こう半年かけて実施してくるかもしれません。
株式市場を崩さず、緩やかなドル高、原油安政策をコントロールしなければならないFRBはかなりの大役を任させることとなるのではないでしょうか。
目次
▼ドル円115円突破、次のターゲットはどこだ?
▼ユーロ/ドルターゲットは?
ドル円115円突破、次のターゲットはどこだ?
ドル/円の日足です。115円を日足終値ベースでのせてきました。この材料は少々大きいでしょう。
115円より上にもう少しストップロスがいると考えていたのですが、思ったほどショートカバーは起こりませんでした。
ユーロ/ドルもそうですが、加速したのは1.15割れではなく、1.1450割れあたりからです。
よって、ドル/円も115.50円超えあたりから本格的に上昇トレンドが加速していくかもしれません。
週足で見てみましても、2017年3月に115.50円のレジスタンスが存在しました。
ここさえ突破できれば、視界良好、118.60円まで上昇が見えてくると思います。
明日は米・感謝祭で動かないと思いますが、冒頭で既述しました通り、緩やかなドル高政策にFRBは舵を切っていくものと思われます。
よって、ドルはジリジリと上昇を続けるイメージです。
テクニカルというよりは、国策レベルのファンダメンタルズですので、逆らわずに同じ方向にトレードしていくと良いでしょう。
ユーロ/ドルターゲットは?
続いてユーロ/ドル日足分析です。
先週のコラムでお伝えしましたが、戻りが浅めです。
ご紹介したレベルすら戻らず、じわじわと価格を押し下げている印象です。
ユーロ/ドルも似たような展開にて、少しずつ価格帯を切り下げていくイメージをもっております。
次のターゲットは1.1170でしょうか。
1.12手前でも一部利食いが入ると思いますが、50pips刻みのレンジを切り下げていくイメージでトレード予定です。
正直、日米中英韓印の原油国家備蓄放出協調介入には驚きました。
この動きで原油価格が簡単に抑え込めるとは思っておりませんが、消費国もかなり本気です。
今後、原油消費国と産油国での争い激化が思わぬリスクオフ相場に発展しないか警戒しながら相場を見つめる展開となるでしょう。
そう考えますと、NZドルや豪ドルのショート戦略12月以降、ありかもしれません。
また考えは来週以降のコラムでご紹介していこうと思います(笑)
以上、本日はファンダメンタルズ中心の分析になりましたが、ドルのジリ高相場に賭けて先週に引き続き同じ通貨ペアでドル買い勝負といたします。
12月は、各国の中央銀行金融政策決定会合にも、いつも以上に注目が集まりそうですね。
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<もくじ>
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FX&Cryptoトレーダー、業界ニックネームは「ひろぴー」。ラジオ日経パーソナリティ、FX会社や仮想通貨取引所のコラムニストとして活動の場は多岐に渡る。自らのトレーディングノウハウから、ユーザビリティの高いインターフェース総監督を担う。FX会社や金融プラットフォーム開発エンジニアリング企業、仮想通貨取引所へのコンサルティング業が主。 2019年7月より TradingView Japan の Marketing Director に就任。
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