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「トルコ中銀は行き過ぎた動きには介入する」との報道があった。トルコリラ/円は一時9.333円へ上昇した。
出所:
急落の背景
直接的には、従来から低金利を志向していたトルコのエルドアン大統領が、これまでになかった通貨安を志向する発言をしたことからトルコリラ売りが強まった。
また、間接的にはトルコのファンダメンタルズ(資源輸入国、貿易・経常赤字ともに赤字)をはじめ、強権的なエルドアン大統領の存在(中銀総裁更迭や反対派の公職追放など)、歴史的しがらみでもある不安定な国際関係なども、リラ売り材料として重くのしかかる。特にエルドアン大統領は支持率が低下していることもあり、これらの材料が重なってリラ大幅安につながったとみる。
今後のポイント
もし買いポジションを持ち続ける場合、10年超はホールドする覚悟が必要だろう。もしくは、損切りして他の投資商品に乗り換えるのも一手かもしれない。なぜなら、国のトップが現在のリラ安や利下げを志向しており、立て直す気配がないからだ。そのため、今の下げは買い方の投げ売りが終わるまで収まりそうもない。
材料面でも前述の間接的要因が重く、これらを覆す可能性があるのはエルドアン大統領の退陣くらいしか見当たらない。大統領が改心してリラ安介入をすれば流れが変わるかもしれないが、自国通貨買い介入となるので、介入の資金が切れないようするため2国間のスワップ協定を拡充するなどの対策がなされるかがポイントだ。
もっとも、トルコは今年GDPで9%程度の高成長であり、国内企業がリラ安で潤うようだと大統領の支持率が回復して金融政策が変わらない恐れもある。当面は大局的な視点から見る必要があるだろう。
【トルコリラ/円(TRY/JPY) 日足】
【ドル/トルコリラ(USD/TRY) 日足】
【ユーロ/トルコリラ(EUR/TRY) 日足】
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FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。
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