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当局はまだドル高懸念せず。ただイエレン財務長官は先行きに慎重な見方

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総括

当局はまだドル高懸念せず。ただイエレン財務長官は先行きに慎重な見方

ドル円=106-111、ユーロ円=126-131 、ユーロドル=1.17-1.22

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨10(11位)、株価3(2)位、黒田発言で、債券と株を救済。貿易赤字増加基調」
先週もドルだけでなく、ほぼ全通貨に対して円安が進んだ。円より弱かったのはスイスとメキシコペソ。ドル円日足が終値ベースで1月29日に一目均衡表の雲の上に出たが先週は週足も雲の上に出るどころかボリバン3σ上限を上抜ける上昇ぶりを見せた。昨年6月1週以来の雲上であり行き過ぎ感はある。
 ワクチン接種開始で世界の経済が正常化へ向かっている。ただ株のローテーションや金利上昇で株価下落などの不安要因も出ていたが、それを止めたのは、FRBでもECBでもなく日銀であった。黒田日銀総裁は、長期金利について、「変動幅を拡大する必要があるとは考えていない」との見解を示したことで長期金利が低下し株価も下げ止まった。ただ景気が回復し金利が上昇するのは当然のことで、まだ回復への確信が持てない世界の中銀と市場でのせめぎ合いが続く。株価もコロナ禍で利益を得ていたIT中心の銘柄から、従来の成長銘柄にスムーズにシフトしていないのが不安要因だ。
 前回触れたように、麻生財務相も黒田日銀総裁も日本の先行きにかなりの不安を持っている。以前ならリスク回避の円高に進んだが、現在は、大きく売るほどの貿易黒字もなく、投資家も外貨資産増加にこれまで慎重であったことから円高にはならない。むしろ2月中旬まで輸入が原油高の影響か、ワクチン購入からか増大し貿易赤字になっていることも円安要因となっている。
 金利上昇で英米やオセアニア、新興国に向かう動きは、永続出来るものではないので、いずれ、ドル高は最近下落しているトルコリラのように歯止めがかかるだろう。

*米ドル「通貨3(6)位、株価(NYダウ)7(8)位、当局はまだドル高懸念せず。ただイエレン財務長官は先行きに慎重な見方」
米議会上院でバイデン政権として初めてとなる総額1.9兆ドル規模の経済対策の法案が可決され、今月中旬までに成立する見通しとなった。この大型景気対策と雇用統計などの改善で米金利は上昇している。米金利やインフレ見通しについてはFRB関係者やイエレン財務長官らが意見を交わしているが、このところ上昇している米ドルについては語られていない。ドルインデックスで92の手前にあり、通常ドル高懸念が出る100にはまだ遠い所に位置しているからだろう。ドル高になればまずベージュブックで各地区の製造業者からドル高懸念も出るのだがそれもまだ出ていないのでドル相場は放置、無視されてきた。ただ3月7日に発表された中国の1-2月の貿易黒字が予想を大きく上回り、また輸出も大きく伸び、逆に米国の1月貿易赤字が拡大したので、そろそろドル相場に当局が言及するかもしれない。主に対象は中国人民元なのだが、元は管理相場なので、他通貨に影響するだろう。
 イエレン財務長官は、最近の米国債利回りの上昇について、インフレが突発的に急加速する見通しを反映しているとの不安は当たらないとの認識を明らかにした。目標の2%を上回る水準までインフレが高進すると「市場が予想しているとは思わない」と発言。「長期金利は幾分、だが主に市場参加者がより力強い回復を見込んでいるという理由で上げたと私は考える」と語った。雇用についても、「完全雇用に達するには2年余りかかるだろう」と指摘し、400万人が職を失って労働力から離脱したことを考慮すれば、「実質的」な失業率はむしろ10%に近いとの見解を示した。
 全体的に見れば、一時的な金利上昇で一部の資本筋がドルを買い戻しても、ドル高懸念を出すほどではないということだろう。

*ユーロ「通貨8(8)位、株価10(10)位(DAX)、ECB理事会、金利上昇に水を差すか」
先週は対ドルで下落、対円ではこじっかり推移した。ECBは金利も上昇して欲しくないし、ユーロも強くなって欲しくないのが本音だ。ECBは物価の上昇は一時的とみており、債券利回りの上昇がユーロ圏内の成長見通しを損ねるリスクがあるので、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れペースを加速することもあるとしている。ワイトマン独連銀総裁はECB理事会で、利回り上昇の背景に経済成長とインフレに対する見方の改善があるのか、それとも他の要因が作用しているのか検証されるとの見方を示した。ユーロ高抑制のためのマイナス金利深掘りが検討される可能性もある。
 景気指標に力強さはない。1月のユーロ圏の小売売上高は前月比5.9%減、前年比6.4%減で、予想を大幅に下回る水準。新型コロナウイルス対策のロックダウンや、冬の販売低迷が響いた。予想は、前月比が1.1%減、前年比が1.2%減だった。2月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.8と、好不況の分かれ目となる50を大きく下回った。
 ただユーロが下落しても高水準の貿易黒字、経常黒字が下支えする。ユーロドルの日足はボリバン3σ下限に達したが、週足や月足は下限には遠いので、戻り売りは出るだろう。

*ポンド「通貨首位(首位)、株価8(11)位、増税懸念が生じ対ドルで下落、年初来最強は維持」
通貨最強は維持したが、対ドルで売られた。コロナワクチンの開発や接種で世界をリードしていることは好感された。ジョンソン英首相がロックダウンの緩和計画を発表したことで経済回復への期待が高まった。ジョンソン首相は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための封鎖措置を6月21日までに終えることに楽観的だと述べた。学校は3月8日から再開される。ただ先週は対ドルで下落した。
 英政府が、大企業向けの法人税率を現行の19%から、2023年4月に25%へと引き上げると発表した。新型コロナウイルス危機対策を続ける一方で、傷んだ財政の再建策をいち早く打ち出した。法人税率引き上げは1974年以来約50年ぶりになる。ポンドは対ドルで1.40台から一時1.37台へ下落した。
 スナク財務相は英議会での演説で、政府債務の問題に対処しないのは「責任ある財務相のやり方ではない。政府は企業が新型コロナのパンデミックを乗り越えられるよう、1000億ポンドを超える支援を提供している。従って企業側に景気回復への貢献を求めることは公平であり必要だ。税率変動後も英国の法人税は依然として、G7の中で最も低い」と述べ増税の必要性を強調した。
 今週は小売売上高調査、住宅価格指数、月次GDP、鉱工業生産、貿易収支と数多くの指標が発表される。

*豪ドル「通貨4(5位)、株価11(6)位、順調」
順調だ。20年4Q・GDPは前期比3.1%増(予想2.5%増)、20年4Q経常収支145億豪ドル黒字(予想131億ドル黒字)、1月貿易収支101.4億ドル黒字(予想65億ドルの黒字)、1月小売売上前月比0.5%増(予想0.6%増)。住宅価格高騰で長期金利は上昇したが、株価への影響はない(NZは住宅投資規制まで施行し株価が急落)。RBAは政策金利を0.1%で維持。ロウRBA総裁は「豪中銀は引き続き3年国債の利回り目標にコミットし、その目標を支えるために債券を最近購入しており、必要に応じてそれを継続する。市場の円滑な機能を支援するため、債券購入プログラムに基づく債券買い入れを今週前倒しで実施した」と説明した。 豪ドルについては「豪ドルは、ここ数年のレンジの上限で推移」と若干牽制球を投げた。
中国との政治的対立と輸出の減少、イタリア政府が、国内で製造されたアストラゼネカのワクチンのオーストラリアへの輸出を差し止めたなどの悪いニュースもあるが、コロナ禍の景気悪化からの回復、リスク選好の流れに乗っている国である。新興国のような脆さがないのは格付けAAAを誇る財政の健全さか。 今週はロウRBA総裁の講演が3月10日にある。

*NZドル「通貨6(2)位、株価最下位(15)位、世界最弱の株価、貿易赤字でNZドル小安い」
先週のNZドルは対円では上昇したが、米ドルや豪ドルなどに抜かれ順位を2位から6位へ下げた(12通貨中)。NZの株価は続落し年初来6.96%安で世界最弱。やはり住宅融資規制が影響しているのだろうか。1月貿易収支は6.26億ドルの赤字に転じた。2月企業信頼感指数は7で前月の9.4から低下、2月消費者信頼感指数も113.1と前月の113.8から低下した。懸念されている住宅価格高騰の関わる1月住宅建設許可は前月比2.1%増と前月の5.1%増から伸び幅を縮小した。一方、3月3日の乳製品オークション価格は前回比15%の高い伸びとなった。
 金利上昇で国内景気がやや弱まっている。ただホークスビー中銀総裁補は、景気刺激策の解除や金融政策の引き締めを中銀は急いでいないと強調した。総裁補は「市場は中銀に先取りすることに熱心だが、フライングするのは不可避で、債券市場で現在見られるボラティリティーの一因になっている」とけん制した。「インフレ率は過去10年間、中銀の目標を下回っている」と指摘した。
 ただ一方で中銀はLVR=住宅融資規制を実施、また、これまでの債券の買い入れによって中銀が国債の約40-50%を保有する状況になり、今後の活用方法という点で余地は狭まっているので、市場は若干混乱していることも株の下落、為替の伸び悩みに繋がっているのだろう。

テクニカル分析

*ドル円「週足が一気に雲の上に出てボリバン3σ上限(108.10)も越える」
日足、ボリバン2σ上限(107.98)と3σ上限(109.01)の間にいる。3月4日-5日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。
週足、20年6月8日週以来、雲の上に出て一気にボリバン3σ上限も越える。21年2月22週-3月1日週の上昇ラインがサポート。18年11月26日週-20年2月17日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、2月で2か月連続陽線。3月も陽線スタート。21年1月-2月の上昇ラインがサポート。18年10月-20年2月下降ラインが上値抵抗。雲の下。ボリバン中位を越える。
年足、2020年まで5年連続年足陰線だが、今年はここまで陽線維持。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。16-20年の上昇ラインがサポート。

*ユーロドル「ボリバン3σ上限から3σ下限に急落。下げ止まるか」
日足、ボリバン3σ上限から3σ下限へ。3月4日-5日、3月3日-4日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、ボリバン2σ上限から反落し中位も下抜く。前週の長い上ヒゲで下落。20年11月2日週-21年3月1日週の上昇ラインがサポート。21年2月22日週-3月1日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、2か月連続陰線。3月も陰線スタート。1月-2月の下降ラインが上値抵抗。20年3月-5月の上昇ラインがサポート。雲の上。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。17年‐20年の上昇ラインがサポート。14年‐20年の下降ラインも一時上抜いたが下抜き返す。

*ユーロ円「ボリバン2σ上限近辺で推移」
日足、ボリバン2σ上限近辺で推移。3月4日-5日の下降ラインが上値抵抗。3月3日-5日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。
週足、4週連続陽線も先週の上ヒゲを上抜けず。2月22日週-3月1日週の上昇ラインがサポート。2月22日週-3月1日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、4か月連続陽線、ボリバン2σ上限。1月-2月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年2月の下降ラインが上値抵抗。雲中。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。16年-20年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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