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持続的なドル円の小幅下落が止まった、需給はまだ

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総括

持続的なドル円の小幅下落が止まった、需給はまだ

ドル円=102-107、ユーロ円=125-130 、ユーロドル=1.19-1.24

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨10(10)位、株価4(5)位、持続的なドル円の小幅下落がテクニカルで止まった。需給はまだ」
 ドル円はついに下げ止まったのか。 前回、「持続的なドル円の小幅下落が止まるのか」と書いたら先週止まったようだ。昨年からドル円では円高であったが、全体では円は弱く、20年は12通貨中6位、21年1月はドルにも抜かれ10位となった。円より弱いのは、コロナ感染深刻化で揺れる南アとメキシコのみとなった。
 ドル円は2016年から5年連続年足陰線であったが、21年は陽線スタート。月足は5か月ぶり陽線、週足は終値で6月1日週以来のボリバン中位越え、20年3月のコロナ発症の混乱時の3月23日週-6月1日週の下降ラインを上抜いた。日足で20年6月16日以来の終値で雲の上に立った。日足では、また20年6月5日以来のボリバン3σ上限近くに達した。南ア、メキシコを除く対円での通貨で雲の上となった。1月は貿易赤字の月なのでそれも影響した。
 中期的に見れば貿易需給でもかつてほどの貿易黒字がなく、たまには赤字にもなり、膨大な貿易黒字からの超円高推移はなくなったが、1月最終週はテクニカル要因も円安を示した。3月まではリパトリの需給も気がかりだが、コロナ禍で海外業績が悪化すれば日本へリパトリするお金もなくなる。米株を中心に株が下落すれば世界でリパトリが行われるが、そうなれば短期的に巨大資金を動かす米資本のドル買いが優勢だろう。日本の資本は20年度下半期の運用方針は海外投資に慎重であっただけに、海外の金利が跳ね上がって債券価格が安くなれば少しは買い(外貨買い=円安要因)を入れてくるかもしれない。今週は日本の家計調査の発表がある。弱い予想だ。マイナス金利、消費増税、コロナで消費が盛り上がらない。これは輸入減少に繋がる円高要因。ただ貿易需給が拮抗、出来高減少が続いていることもあり、伸びのない相場は続く。

*米ドル「通貨4(6)位、株価(NYダウ)12(13)位、米金利上昇→株価下落→短期的ドル高」
 今年は年初から、米国を始めとして世界の金利が上昇している。昨年後半に豪やNZの住宅価格が上昇し金利が下げ止まったことから始まった。FRBを始め世界の中央銀行は金利上昇に対して国債などを買い入れる量的緩和も現行水準を維持すると表明し市場を落ち着かせようとしているが、どの国も2021年は20年より成長が大幅加速する見通しなので金利が上昇すると考える方が自然だ。米国指標も雇用はまだ不安であるが、GDPを始めたの指標は強い。ただ金利上昇に慣れていない株価に最初に影響があり先週の世界の株価は全面安となった。米株が下がれば、海外投資の規模が大きい米国の投資家が資本を米国内に戻しドル高に繋がる。長期的には貿易収支が相場を決めるが、短期的には貿易赤字のドルの上昇があってもおかしくない。いずれ、米国貿易赤字から生み出される世界で1日当たり20億ドルから30億ドルのドル売りにいずれ吸収されてしまうのだがドルインデックスが100くらいになるまでは米国政府も容認するだろう。

*ユーロ「通貨7(9)位、株価13(14)位(DAX)ペースダウンだが最弱ではない」
 今年は対ドルでは弱く、対円では強い。全体では12通貨中で7位と強くも弱くもない。昨年秋からのコロナ感染深刻化、ユーロ高牽制、イタリア政局、米国に比し弱い経済指標という需給には関係のない悪材料で去年ほどの強さないが、膨大な貿易黒字が急落を避けさせている。
 金利の議論があった。クノット・オランダ中銀総裁はインフレ目標の達成に必要であれば中銀預金金利をさらに引き下げる余地があると発言。一方、カザークス・ラトビア中銀総裁は、新型コロナウイルス感染拡大で影響を受けたユーロ圏経済の支援に向け効果的な措置が存在しているため、ECBは現時点で利下げを実施する必要はないと述べた。オランダ中銀総裁で下げ、ラトビア中銀総裁で上げた。1月の独消費者物は、前年比1.6%上昇と、予想の0.5%上昇を大幅に上回った。11カ月ぶりの大幅な伸びだった。付加価値税率(VAT)と最低賃金の引き上げが押し上げ要因となった。
 先週の独4Q・GDPは弱く、今週のユーロ圏GDPも弱い予想だが、2021年通年ではユーロ圏の成長見通しが4%(日本は3.1%予想)程度と悪くない。コロナ感染抑制のロックダウン解除とワクチン効果がいつ出るかが焦点となる。

*ポンド「通貨3(3)位、株価9(7)位、EU離脱後のポンドは強いが株に陰りが出てきた、今週は政策金利決定」
 ポンドは依然、意外と強い。外為どっとコム社の注文状況も昨年12月からずっと買いが多い。2013年のEU離脱の国民投票を行うことが決まった時から、いや2008年リーマンショックからずっと弱いポンどもEU離脱が現実となり、買戻しが入っているのだろう。ただEUに所属する集団的利益も失うので、株価は徐々に下落し年初来ではマイナス圏となっている。EU離脱のデメリットを相殺すべく、英国は2月1日から
TPP=環太平洋パートナーシップ協定に正式に参加を申請する。
 ベイリー英中銀総裁は、英政府が国民への新型コロナウイルスワクチン接種を進めていることを受け、英経済は力強く回復するだろうと述べた。英中銀は2月4日に金融政策決定会合を開催し、新たな成長見通しを公表する予定。マイナス金利政策の導入可能性に関する報告書も発表する。ただ、ベイリー総裁は「実際にはマイナス金利を導入するかどうかについて議論しておらず、何の判断も下していない」と指摘している

*豪ドル「通貨9位(2位)、株価8(9)位、金融緩和は維持か、対中関係は改善せず」
 今朝は下落スタート。中国製造業PMIの悪化が影響。昨年来の住宅価格上昇やRBAがマイナス金利政策を否定したことで年初来金利が上昇している。今週は政策金利決定があるがRBAは慎重だ。政策金利を過去最低の0.1%に据え置く見方が多い。RBAは、100億豪ドル規模の量的緩和プログラムの延長も発表する可能性が高い。同プログラムは現状では4月に期限を迎える。RBAは今後の景気回復が順風満帆に進むとはみておらず、物価上昇率が前年比2-3%の目標レンジに達するまで利上げを見送る方針を繰り返し表明している。昨年4Qの基調的物価上昇率は1.2%と過去最低の伸びにとどまった。RBAもリーマンショックからの回復でいち早く金利を引き上げ、その後、何度もの利下げに追い込まれた失敗が残っているのより慎重になりそうだ。
 対中関係は改善していないが、豪産出の鉄鉱石価格の上昇やLNG価格の安定が豪の貿易黒字を支え豪ドルを安定させている。

*NZドル「通貨5(8)位、株価7(11)位、リズム良し、対中関係改善、物価上昇」
 年初の中銀へのサイバー攻撃からは回復してきた。また中国とNZは日、既存の自由貿易協定(FTA)を強化する協定に署名した。中国はNZ産の農産物などに市場を一段と開放する。
NZ政府は今回の協定について、中国との既存のFTAを新しくし、今後10年間も目標に沿うようにするものと指摘した。中国向けの輸出が容易になり、規制順守のための費用が年間数百万ドル減少するとみられている。約30億NZドル規模の中国向け紙・木材輸出は99%以上関税が撤廃されると説明した。協定は、水産業や林業など一次産業の輸出業者に利益をもたらす。乳製品については既存の条件が維持され、ほとんどの製品は1年以内、粉ミルクは3年以内にすべてのセーフガード関税が撤廃される。
 世界一コロナ感染抑制に成功した国と評価されている。物価も住宅価格も上昇し中銀の利下げ観測は後退している。外交、国内経済と順調な展開となっている。

テクニカル分析

*ドル円「衝撃的な先週の推移。半年振りに雲の上で引ける。5か月ぶり月足陽線。5年連続年足陰線の後、今年は陽線スタート」
日足、20年6月16日以来の日足で雲の上へ。ボリバン3σ上限(105.04)まで上伸し反落。まだボリバン2σ上限を越えている。1月28日-29日の上昇ラインがサポート。20年11月11日-21年1月29日の下降ラインが上値抵抗。
週足、1月11日週-18日週の下降ラインを上抜きボリバン中位越え。終値で中位越えは20年6月1日週以来。1月4日週-18日週の上昇ラインがサポート。
月足、1月は5か月ぶり陽線。11月-12月の下降ラインを上抜く。20年3月-21年1月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ内に戻す。ボリバン下位。
年足、今年はここまで陽線。2020年で5年連続陰線。ただ陰線開始の16年の安値98.45ををまだ下抜いていないここ4年の値幅の小ささ。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。15-20年の上昇ラインがサポート。

*ユーロドル「ボリバン下位。かろうじて雲の上で引ける」
日足、かろうじて雲の上で引ける。1月27日-29日の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ下限から反発。1月27日-29日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。ボリバン下位。
週足、ボリバン2σ上限から反落。1月18日週-25日週の上昇ラインがサポート。1月4日週-25日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン上位。
月足、ボリバン3σ上限から反落。11月-12月の上昇ラインを下抜く。7月-11月の上昇ラインがサポート。雲の上。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。17年‐20年の上昇ラインがサポート。11年‐14年の下降ラインも上抜きそうだが年初は陰線スタート。

*ユーロ円「目まぐるしかった1月。ボリバン上限→下限→上限」
日足、1月はボリバン3σ上限から反落し一気に3σ下限へ。しかし月末は2σ上限まで戻す。1月28日-29日の上昇ラインがサポート。1月8日-29日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。雲上。
週足、ボリバン2σ上限越えないが上限近辺で推移。1月18日週-25日週の上昇ラインがサポート。1月4日週-25日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、ボリバン2σ上限。雲に抵抗される。11月-1月、5月-11月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。16年-20年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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