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政治より経済、大統領より経済 RCEP関税撤廃は朗報

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総括

政治より経済、大統領より経済 RCEP関税撤廃は朗報

ドル円=102-107、ユーロ円=121-126 、ユーロドル=1.16-1.21

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨4位、株価6位、RCEP関税撤廃は朗報 景気対策出し惜しみでは円高へ、GDP、貿易統計、消費者物価に注目」
ファイザーワクチンの有効性90%の報道で一気に世界でリスク選好が進んだ。ドル円は103.18から一気に105.64まで上昇。バケ線となったが、「バケ線には立ち向かえ」とはよく言ったもので、その後は伸びずじり安となった。今年も「11月初旬は円安が多い」という傾向通りとなったが、11月中旬はややドル下げが多い。
 今週は7-9月期GDPと10月貿易統計に注目したい。GDPは前期比4.4%増、前期比年率18.9%増。コロナ感染での規制からの回復の7-9月期としては物足りない数字。4-6月期はそれぞれ7.9%減、28.1%減。この数字では10兆円規模の補正予算では失望される。個人的には消費減税もも求めたいところだ。
 10月貿易統計の予想では輸出は中国景気回復で4.5%減へ持ち直し、ただ輸入は9%減。輸入も改善し始めているがもっと持ち直せば消費回復で円安となる。
消費回復なくして円安なし、円高ならデフレ加速もありうる。せっかく菅首相は円相場安定への牽制発言を行ったが、対策に躊躇すれば拡大する貿易黒字で円高に追いやられる。週末のRCEP関税撤廃は朗報。

*米ドル「通貨7位、株価(NYダウ)7位、政治より経済、大統領より経済」
 前回は「バイデン氏は増税派であったとしても景気悪化、株価急落を招くほどのことまでの景気縮小策はしない。コロナ追加経済対策も打ち出される。米国を引っ張るのは経済であり政治ではない」としたがその極めつけがファイザーのコロナワクチン90%有効性の報道であったのだろう。これぞ米経済の強さである。時にIT企業であったり、エネルギー関連企業である。政治がどうであろうと民間企業は伸びていく。トランプ大統領の貿易遮断では悪影響を被る。為政者が伸びゆく企業を抑え込めば米国自体が沈んでしまう。大統領選挙を終えて11月はナスダックが8.4%高、NYダウが11.2%高、年初来ではそれぞれ31.8%高、3.3%高である。
 さて米経済、米株価が強いといっても、ドルが強いわけではない。現在は年初来で12通貨中、8位で、その貿易赤字から見ると当然だ。ドルは貿易赤字で歴史的にも弱い。弱いのは旺盛な消費からくる輸入増加で問題ない。日本もそうなって欲しいところだ。株高円安になれば皆、喜ぶであろう。トランプ大統領はまだ負けを認めていないが、小さなことだ。それよりもコロナウィルス感染拡大が心配。感染は増えているが死亡者数は4月に比べて減少しているのが救い。ワクチンのさらなる開発を望みたい。今週はG20やAPEC首脳会議があるが、各国首脳は既にバイデン氏に祝辞を送っている。潔い引き際がトランプ氏の名誉を維持するだろう。

*ユーロ「通貨3位、株価11位(DAX)、金融・財政とやるべきことはやっている。景気は弱いが実需買いもユーロを支える」
 ニクソンショック後、世界で3位の強さを誇っているユーロなので今年も底堅い。このところの指標は弱い。独ZEW11月の景気期待指数は39.0と予想以上の低下となった。予想は41.7前月は56.1だった。11月のユーロ圏投資家センチメント指数はマイナス10.0、2カ月連続で低下した。10月はマイナス8.3、予想はマイナス15.0。新型コロナウイルス感染者の急増はあるが、ラガルドECB総裁は、来月に予定する追加金融緩和では、新型コロナウイルス向けの「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」や、市中銀行を対象とした長期資金供給オペ(TLTO)の拡大が焦点になるという見方を示した。またEUでは、域内の中期予算計画で合意に達した。1兆8000億ユーロ規模の予算、景気刺激策の取りまとめに向け一歩前進した。金融財政でやるべきことはやっている。ユーロ圏9月貿易収支は240億ユーロの黒字、さらに年度末に向けてリパトリのユーロ買いも増加する。景気指標はまだ弱いが需給が支える傾向は続く。ただインフレ懸念がないだけに1ユーロが1.20に近づけば口先介入は出るだろう。

*ポンド「通貨9位、株価14位、EU貿易交渉は。カミングス上級顧問辞任は功を奏すか。雇用は悪化」
 EUとの貿易交渉は今週に持ち越された。アイルランドのコーブニー外相は「交渉がまとまらない可能性は十分にあり、もしそうなっても驚かない。ただ、個人的には合意する可能性の方が高いと思う」とした。ジョンソン英首相の報道官は「双方の溝を埋めるための努力を懸命に行っている」と述べるにとどめた。11月19日にはEU首脳会議が予定されており、それまで妥結できるかが焦点となる。ただその中で、EUとの交渉強硬派と見られるカミングス上級顧問が辞任した。EUとの交渉が穏健派が握ることとなり進展が期待される。英国のEUとの貿易シェアは輸出入ともに50%だ。離脱により貿易条件の交渉は悪化する。離脱するデメリットを超えるメリットがあるとは思えない。EUとの交渉が合意してもEU内に留まっている時よりも全体の条件は悪化する。
 3Qの一時帰休者は前期比18万1000人増加し、過去最多の31万4000人となった。失業率は4.8%へ上昇した。失業率が悪化したことは、雇用対策を縮小したことが影響している。英中銀は先週、失業率は今年末までに6.3%に上昇し、来年2Qに8%付近でピークとなる、との見通しを示している。

*豪ドル「通貨5位、株価11位、バイデン大統領誕生を好感し豪ドル上昇」
 コロナ発症調査を中国に要求したことから関係がこじれ、中国の豪製品の輸入制限に至っている。それでもバイデン大統領誕生で米中関係が改善し、それが豪中関係にも好影響を与える観測から今月は豪ドルが買われている。経済指標も悪くない。9月の貿易収支は56.30億豪ドルの黒字となった。10月の企業信頼感指数は、2019年年央以来の高水準を記録した。ただ、雇用と今後の受注動向を示す指数はマイナス圏にとどまった。信頼感指数は9ポイント上昇し、プラス5。景況感指数は1ポイント上昇しプラス1となった。景況感指数は新型コロナウイルスの影響で4月にマイナス34となったが、その後は改善している。
また11月の消費者信頼感指数は前月比2.5%上昇した。3カ月連続で上昇し、7年ぶり高水準を記録した。大型家財の購入意欲を示す指数は6.7%上昇した。住宅購入意欲を示す指数は8%上昇した。
 欧米のコロナ感染拡大に比し、豪の状況は改善している。豪中銀は政策金利を予想通り0.25%から0.1%に引き下げた。中銀はインフレ率が2-3%の目標範囲内で持続的に推移すると確信するまで政策金利を変更しないとしている。今週は10月雇用統計の発表がある。

*NZドル「通貨6位、株価4位、上昇、バイデン大統領誕生と政策金利据え置きで強い」
 今月のNZドルは強く、対円で3.5%、対ドルで3.55%上昇した。NZ中銀は政策金利を過去最低の0.25%に据え置く一方、借り入れコストの低下を促す新たな資金供給プログラムを発表した。資産買い入れプログラムの規模は1000億NZドルで維持した。中銀は「金融政策委員会は物価・雇用目標を達成するため、経済に追加の金融刺激策を提供することで合意した」とした。追加刺激策は12月に開始する「貸し出し向けの資金供給プログラム(FLP)」を通じて実施する。FLPは銀行の資金調達コストを押し下げ、金利低下を促す。
 ホークスビー中銀総裁補は来年3月まで金利を据え置くというガイダンスを変更していないと表明した。また、経済は8月時点の想定より良好に推移しているものの、依然としてかなりの刺激策が必要だと指摘。市場が当面はマイナス金利になる可能性は少ないとしたこともNZドル上昇に繋がった。バイデン大統領誕生も米中関係改善観測となり好感された。

テクニカル分析

*ドル円=「バケ線越えられず ボリバン中位割り込む」
日足、11月9日のバケ線の後は、バケ線を越えられず。11月10日-12日の上昇ラインは下抜く。11月12日-13日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。雲の下。ボリバン中位割り込む。
11月中旬は上旬のようにドル高傾向にならない歴史あり。
週足、一時10月19日週-11月2日週の下降ラインを上抜く。ボリバン下限下抜きから戻す。3月9日週-11月9日週の上昇ラインがサポートか
月足、3月-10月の上昇ラインを下抜くも上抜き返す。ボリバン下限2σを下抜くもバンド内へ戻す。9月-10月の下降ラインが上値抵抗。雲の下。
年足、4年連続陰線。ことしもここまで陰線。16年-19年の上昇ラインは再び下抜く。16年-17年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロドル=「ボリバン上限を上抜いてから反落。雲下には落ちず、中位で反発」
日足、11月9日にボリバン上限を上抜いてから反落。雲下には落ちず、中位で反発。11月12日-13日の上昇ラインがサポート。11月9日-13日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き、雲の上へ。
週足、ボリバン中位で反発。8月31日週-11月9日週の下降ラインが上値抵抗。11月2日週-9日週の上昇ラインがサポート。
月足、6月-7月の上昇ラインがサポート。9月-10月の下降ラインを上抜く。ボリバン2σ上限。雲中へ戻す。
年足、2年連続陰線。18年-19年の下降ラインを上抜く。02年‐17年の上昇ラインがサポート。14年‐18年の下降ラインも上抜く。11年‐14年の下降ラインが上値抵抗で上昇を阻む。

*ユーロ円=「4連続陰線ボリバン上限を上抜いてから反落。中位まで落ちず」
日足、ボリバン上限を上抜いてから反落 11月12日-13日の下降ラインが上値抵抗。11月9日-13日の上昇ラインがサポート。雲中。5日線上向き。
週足、10月26日週-11月2日週の下降ラインを上抜く。11月2日週-9日週の上昇ラインがサポート。8月31日週-11月9日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、9月はボリバン上限2σから反落。10月も陰線。11月は9月-10月の上昇ラインを下抜く。18年9月-20年9月の下降ラインが上値抵抗。20年5月-11月の上昇ラインがサポート。
年足、2年連続陰線。今年は陽転。18年-19年の下降ラインを上抜く。16年-20年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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