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世界的リスク回避でも日本株健闘、円買いも続かず

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総括

世界的リスク回避でも日本株健闘、円買いも続かず

ドル円=103-108、ユーロ円=120-125 、ユーロドル=1.14-1.19

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨3位、株価6位、リスク回避の円買いに輸出や投機の損切の円買いフォローせず」
9月は米中という2大大国の株価が大きく下落(ナスダック7.3%安、ダウ4.4%安、上海5.2%安)している。しかし日経はここまで月間0.28%高と健闘している。以前の世界的な経済ショックでは、どの国で起ころうが日本株が一番下落していたが様相が変わっている。円相場も以前の経済ショックでは5円、10円(時に20円)と大幅円高が進んでいたが、9月の円は人民元と同様にここまで最強通貨だが、対ドルでわずか35銭の円高と無視できるレベルだ。
 日本の市場の動揺が少なくなったのは、貿易収支が均衡して、慌てて円買いに走る必要はなくなったことや、世界の金利が低下し、日本円で円キャリーする必要なく、円キャリーの巻き戻しの円買いも起きないからだ。ただ貿易は中国にシフトしたことによるもので、日本経済の縮小要因の一つで好ましいことではないが貿易需給を黒字から赤字に変えた。
 3月9日のコロナ感染でつけた101.18と7月31日の米中領事館閉鎖合戦でつけた104.18を結んだ上昇ラインを下抜いたが、先週は意外にもその上昇ラインを上抜き返した。今後は晩秋の円安需給もあり、ドル円は底堅く推移しよう。今週は日銀短観の発表があるが、既に公表された政府短観、ロイター短観、QUICK短観といずれも業況判断指数は改善しているので日銀短観でも同じ結果となるだろう。


*米ドル「通貨6位、株価(NYダウ)8位、米株売りに端を発したリスク調整がいつまでも続くわけではない」
 9月に入ってリスク選好の調整が入った。為替で言えば、ドル円ではなく、ユーロドルが5か月ぶり、ポンドドルが4か月ぶり、豪ドルドルが6か月ぶりにボリバン上限から上昇ラインを下に切って下落したテクニカルなものであった。株価でいえばナスダック、NYダウ、上海総合指数が6か月ぶりに上昇ラインを下に切って下落し始めた。それぞれボリバン(2σ)上限からの下落。米中対立、米国のコロナ追加対策合意ならず、世界的なコロナ第二波などのニュースとともにテクニカルでも調整下落となった。
 ただそれぞれ株や為替で日足のボリバン下限まで下落したので一服しているのではないか。投資家の利食いや決算での売りなら終わってもいいし、売り続けることはない。むしろまた買い始めないといけない。
 米大統領選挙前の世論調査ではバイデン氏が有利となっている。バイデン氏ならば法人増税があり株の利食いが出るかもしれないが、増税だけで売り続けられるほど米国の経済が弱いわけでもない。またバイデン氏になれば対中外交も交渉余地が広がり景気浮揚にも繋がる。米株売りに端を発したリスク調整がいつまでも続くわけではない。


*ユーロ「通貨2位、株価9位(DAX)、マスクをつけずにコロナ第二波。ボリバン上限上抜きからバンド内へ戻す」
 9月は5か月ぶりの月足陰線となりそうだ。2月-5月のボリバン下限からの上昇も8月、9月でボリバン上限を上抜いて行き過ぎ感があり下落しボリバン内へ戻った。ただ日足では既にボリバン下限へ下落したので気をつけたい。レーンECB理事(今週も講演あり)、仏中銀ビルロアドガロー総裁、ラガルドECB総裁もユーロ高と物価の関係に言及したこともユーロ売りを誘った。欧州のコロナウィルス感染拡大も嫌気され、欧州企業のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が急伸し、新型コロナウイルス危機を背景に金融市場が急落した3月以降で最大の上昇となった。欧州各国国債の利回りは低下した。
 その中では独の指標は強かった。9月のIFO業況指数は93.4と、前月改定値の92.5から上昇し、5カ月連続の改善となった。輸出期待指数は10.4と、5.5から上昇、2018年10月以降で最高となった。
S&Pは今年のユーロ圏経済見通しを上方修正した。ロックダウンからの景気回復が驚くほど速いとした。今年のユーロ圏経済は7.4%縮小する見通し。6月時点の見通しは7.8%縮小だった。世界同様に最悪期からは改善していることは間違いない。マスクをつけるつけないという単純作業には責任は持てない。


*ポンド「通貨9位、株価14位、コロナ拡大、EU離脱、マネロン疑惑」
  高金利3通貨(トルコ、メキシコ、南ア)を除けば今年最弱通貨。長期的に経常赤字、短期的にはEU離脱後の貿易交渉難航、コロナ感染拡大、フィンセン文書によるHSBCなどのマネーロンダリング疑惑でいい話はない。自業自得のような感じもする。EU離脱後の貿易交渉が上手くいっても、EU時代を上回る条件で貿易が進むわけでもない。対ドル、対円では時々リバウンドもあるが、対ユーロでは総じて弱い。通貨の弱さをトルコのように株価上昇に反映できず、FT株価指数も年初来22%安。対円では日足でボリバン下限から3連騰、週足で長い下ヒゲがリバウンドの兆し。


*豪ドル「通貨5位、株価11位、マイナス金利導入に迷い。日足で豪ドルはボリバン下限に貼り付く」
9月に入って米中株下落でリスク選好の調整が入った。豪ドルドルや豪ドル円が6か月ぶりにボリバン上限から上昇ラインを下に切って下落した。資源価格の下落も豪ドルの売りを誘った。対中関係の悪化も売り材料。コロナ感染はビクトリア州で拡大した。ただ日足ではボリバン下限を下回っていることもあり注意したい。
 さて注目は政策金利の決定だが、金融市場は60%の確率で0.1%への利下げが行われることを織り込んでいる。ただ豪国内の主要銀行の予想はマチマチだ。CBAは0.25%に据え置き、ウェストパック銀行は0.15%引き下げ、NABは10月か11月に引き下げが行われる公算が大きいとの予想を示した。もちろんコロナ感染で景気は悪化しているが8月雇用統計が改善した好材料もあるので、見方が分かれている。
 デベルRBA副総裁は、インフレ率と雇用の目標達成に向け、為替介入やマイナス金利を含むさまざまな金融政策の選択肢を精査していると明らかにした。ただ、マイナス金利の効果に関しては実証的な根拠がそろっていないとした。また、為替介入も選択肢だとしたが、豪ドルが「ファンダメンタルズに沿っている」ことを踏まえると、効果を発揮するかどうかは不明だとした。デベル氏は「それでもなお、豪経済にとって低めの為替レートは確実にメリットがある。このため、われわれは引き続き注意深く為替市場の動向を見守っている」と述べた。


*NZドル「通貨7位、株価4位、中銀ではなく財務省が来年3月まで政策金利を0.25%にコミット?」

 豪ドルに連れ安も、豪ドルより下げ幅は小さかった。豪ほど対中関係で争っているわけでもなく、鉱産物の資源国でもないので資源価格下落の影響は小さい。中銀は、政策金利を0.25%に据え置いた。
ただ、世界各国で新型コロナウイルスの流行が続いており、金融政策を通じて長期にわたって大規模な経済支援を実施する必要に迫られる可能性があるとの認識を示した。中銀は、新型コロナの流行を受けて今年3月に0.75%の利下げを実施して以降、4回連続で政策金利を据え置いている。2Q・GDPは前期比12.2%減と、過去最大の落ち込みとなった。ただ財務省は、短期的な経済見通しを上方修正した。今後は新型コロナの感染拡大を抑制するための他国より厳しいロックダウンによる影響からの回復ペース加速を見込む。ロバートソン財務相は21-22年の成長率について、平均でプラス4.2%になる見込み、2021年3月まで政策金利を0.25%にコミットすると述べた。

テクニカル分析

*ドル円 「上ヒゲによる5日連続陰線を下ヒゲによる5日連続陽線で切り返すも元の106円にはまだ戻らず」
日足、上ヒゲによる5日連続陰線を下ヒゲによる5日連続陽線で切り返すも元の106円には戻らず。9月23日-25日の上昇ラインがサポート。9月14日-25日の下降ラインが上値抵抗。雲の下。5日線上向き。ボリバン中位。
週足、ボリバン下限下抜きから戻す。9月14日週-21日週、9月7日週-14日週の下降ラインが上値抵抗。3月9日週-9月21日週の上昇ラインがサポート。
月足、依然、9月は6月-7月の下降ラインを上抜いてスタートも3月-7月の上昇ラインを下抜く。ボリバン下限下抜きからはバンド内へ戻す。3月-6月の下降ラインが上値抵抗。雲の下。
年足、4年連続陰線。16年-19年の上昇ラインは再び下抜く。16年-17年の下降ラインが上値抵抗。


*ユーロドル「5か月ぶりの陰線となるか。月足でボリバン内へ戻る。年足下降ラインが上値抵抗」
日足、ボリバン下限に沿い下落。9月24日-25日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。雲中。
週足、8週連続でボリバン上位の1.18に絡んでいたが、ついに下落し1.16台へ。9月14日週-21日週の下降ラインが上値抵抗。6月22日週-29日週の上昇ラインがサポート。7月27日週-9月14日週の上昇ラインを下抜く。
月足、9月は漸くボリバン上限からバンド内へ戻す。2-5月のボリバン下限以下から上昇であったが5か月ぶりの陰線となるか。6月-7月の上昇ラインがサポート。雲の上に出ることなく雲の下へ。
年足、2年連続陰線。今年は陽転。18年-19年の下降ラインを上抜く。02年‐17年の上昇ラインがサポート。14年‐18年の下降ラインも上抜く。11年‐14年の下降ラインが上値抵抗で上昇を阻む。


*ユーロ円「月足が5か月ぶりの陰線となるか」
日足、先週は横ばい推移であったがボリバン内へ戻す。9月24日-25日の下降ラインが上値抵抗。9月24日-25日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。雲の下。
週足、8月24日週-31日週の上昇ラインを下抜き3週連続陰線。9月14日週-21日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン中位、雲の上。
月足、9月はボリバン上限から反落。5月のボリバン下限以下から上昇であったが5か月ぶりの陰線となるか。6月-7月の上昇ラインがサポート。
年足、2年連続陰線。今年は陽転。18年-19年の下降ラインを上抜く。16年-20年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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