(1)
豪7月雇用統計は、新規雇用者数が4.11万人増と予想(1.40万人増)を上回る好結果となった。失業率は予想通りの5.2%であったが、労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合を示す労働参加率は66.1%に上昇した(前回:+66.0%)。新規雇用者数の内訳で正規雇用者が大幅に増えていた事もあって、雇用統計発表後に豪ドルが上昇した。
(2)
明確な理由が見当たらない中でドル/円が106.76円前後まで急伸。連れてクロス円も急上昇した。ドル/円に、ストップロスの発動を狙った仕掛け的な買いが入ったとの観測もあった。そうした見方を裏付けるように、上げが一服すると急速に106円割れへと押し戻された。
(3)
欧州市場中盤以降にポンドが上昇。英7月小売売上高が前月比+0.2%と予想(-0.2%)に反して増加した事や、英最大野党・労働党のコービン党首が、「合意なき離脱」を防ぐため、早期にジョンソン内閣への不信任案を提出する方針を固めた事などが材料視された模様。
(4)
米7月小売売上高は前月比+0.7%と予想(+0.3%)を大幅に上回る増加となった。変動の大きい自動車を除いた売上高も前月比+1.0%と大幅に伸びて予想(+0.4%)を上回った。なお、米新規失業保険申請件数は22.0万件と予想(21.2万件)よりやや弱かった。その後発表された米7月鉱工業生産も前月比-0.2%と予想(+0.1%)を下回る弱い結果となった。
(5)
米債市場では10年債利回りが3年ぶりに1.5%台を割り込んだ。前日話題となった2年-10年「逆イールド」の状態は持続しなかったが、長期金利の低下は続いた。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%の小幅高。明確な理由もないまま106.70円台へと急騰した後に105.70円前後まで下落するなど荒い値動きとなったが、米7月小売売上高が予想を上回る増加となったためドルは値を保った。
一方、米債市場では30年債利回りが2%を下回り過去最低を更新した他、10年債利回りも3年ぶりに一時1.5%を割り込むなど、金利低下に歯止めがかかっていない。夏季休暇シーズンの薄商いの影響もあって、本日も不安定な市場環境が続く公算が大きい。ドル/円も引き続き乱高下しやすいと見られるため注意が必要だろう。