
作成日:2026年5月18日 12時30分
ドル円見通し(5月18日週)|160円接近、円安基調続くか
今週のドル円の予想レンジ:156.50円~160.50円
今週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨でFRB(連邦準備制度理事会)内のインフレ警戒がどの程度強いか、そして日本の消費者物価指数(CPI)で日銀の追加利上げ観測が強まるかが重要となります。
ファンダメンタルズ分析|日米金利差拡大と原油高が円安を後押し
米金利高止まりとインフレ再加速懸念
足元のドル円は、米10年債利回りが高止まりするなか、日米金利差を意識したドル買い・円売りが入りやすい地合いが続き、再び160円台を試す動きになっています。
原油高がドル需要を押し上げるメカニズム
こうした動きの大きな要因は原油高に起因しています。原油はドル建てで取引されるため、価格上昇は決済上のドル需要を押し上げる面があります。加えて、原油高による米国のインフレ再加速への警戒も高めており、米金利を押し上げています。つまり原油高は決済通貨需要、米金利上昇の両面でドルの底堅さを増す要因となっています。
日本の貿易赤字懸念と円売り圧力
一方で、原油高は日本にとってもインフレ材料ですが、原油のほとんどを海外からの輸入に頼る日本にとっては、輸入コスト増が貿易赤字拡大懸念を通じて円の重しになりやすい状況です。こうした力関係の違いが、ドル円の方向性を決めているようです。
今週の重要イベント|FOMC議事要旨と政府・日銀の為替介入リスク
FOMC議事要旨の注目ポイント
今週のイベントとしては、本日18日から開幕するG7財務相・中央銀行総裁会議での発言に注目が集まります。G7で債券市場の不安定化や為替の過度な変動に対する強いけん制が示されるかが注目されます。明確なメッセージが乏しければ、160円接近時の上値抑制効果は限定的にとどまる可能性があります。また、20日の米FOMC議事要旨も着目されます。4月のFOMCでは、ミラン理事が25bp(0.25%ポイント)の利下げを主張する一方、ハマック総裁(クリーブランド連銀)、カシュカリ総裁(ミネアポリス連銀)、ローガン総裁(ダラス連銀)の3名は、据え置きには賛成しつつも声明文に緩和方向の含みを残すことには反対しました。
つまり、FRB内では「利下げすべきか」だけでなく、市場に次の一手を利下げ方向と示唆してよいのか、意見が割れていることを示しました。議事要旨で、この部分がさらに明確となるのか、今後の米国の金融政策の方向性を見極めるうえで重視されます。
日銀・政府の介入警戒
一方、日本側では、160円に近づくほど政府・日銀による為替介入が警戒されます。日本当局は特定の防衛ラインを明言していませんが、160円は市場参加者にとって心理的な節目になっています。口先介入のトーンが強まる場面では、ドル円の上値が抑えられやすくなります。また、21日の小枝日銀審議委員の講演も注目されます。利上げに前向きな姿勢が示されれば、日銀の早期追加利上げ観測を高める可能性があります。
シカゴ通貨先物では円ショートが増加

市場では、利下げ期待の後退と米金利高止まりを背景に、ドル買いが入りやすい状態です。特に、米インフレ指標が強く、原油高も続くなかでは、FRBがすぐに緩和へ転じにくいとの見方がドルの支援材料になります。
一方で、ポジション面では過熱感もあります。2026年5月12日現在、円買いポジションは前週比で -8,880 枚となり、円売りポジションは前週比で +4,484 枚となっています。これに伴い、投機筋ポジションの売り越しは前週比で +13,364 枚増加しました。投機筋の円売りポジションはドル円上昇の燃料になりますが、介入観測や米金利低下が出た場合には、円の買い戻しによる急落リスクにもなります。
ドル円のテクニカル分析:10日線の反発、50日線の上抜けと好材料が増す
テクニカル分析:RSIでは過熱感は未成熟

ドル円は、5月初旬に160.727円を付けた後、153.033円まで急落しましたが、その後は下値を切り上げています。足元は158.92円前後で、10日移動平均線の157.65円付近を上回り、50日移動平均線の158.75円付近も小幅に回復しています。
相対力指数(RSI)9日は59.5で、買われ過ぎの目安である70には届いていません。そのため、短期的にはまだ上値余地が残ります。とはいえ、10日線が50日線を下回っているため、完全な上昇トレンド回帰とまでは言い切れません。
今週の分岐点は、158.75円前後の50日移動平均線を終値で維持できるかです。維持できれば、159.50円、160.00円、160.50~160.70円を順に試す展開が考えられます。一方、158.75円を維持できずに調整を強めながら157.65円も割れると、156.50~157.00円への調整リスクが高まります。
売買戦略:ドル円の戻り売りポイント選びは慎重に
売買戦略としては、158.30~158.80円付近への押し目を待ち、目標はまず159.50円、次に160.00円前後です。ただし、160円台では介入警戒と利食い売りが出やすいため、追い買いは控えめにしたい局面です。損切りは157.60円割れが目安です。
売りは、160.00~160.70円で上ヒゲや反落の形が出た場合に、短期で検討する程度です。売りの目標は159.00円前後、深ければ158.75円付近です。米金利上昇が続く場合は踏み上げリスクがあるため、慎重にポイントを選びたいです。
ドル円見通しのまとめ
以上の結果を踏まえると、今週の基本シナリオは、158.75円を維持する限り、ドル円は159円台後半から160円方向を試す可能性があるというものです。
一方で、160円前後はテクニカル上の節目であるだけでなく、介入警戒が強まりやすい水準です。したがって、今週は「押し目買いは有効だが、160円台では利食い優先」という見方が現実的です。上昇トレンドに乗る場合でも、160円台では突発的な円買い材料に備えて、ポジションを軽くする判断が重要になります。
今後の重要イベント・経済指標
- 5月18日(月)~5月19日(火) 主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議
- 5月19日(火)08:50 日本 1~3月期実質国内総生産(GDP)速報値
- 5月19日(火)21:00 米国 5月ウォラーFRB理事 討議参加
- 5月20日(水)27:00 米国 4月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
- 5月21日(木)08:50 日本 4月貿易統計
- 5月21日(木)10:30 日本 小枝日銀審議委員、発言
- 5月21日(木)21:30 米国 4月住宅着工件数・建設許可件数
- 5月21日(木)21:30 米国 週次新規失業保険申請件数
- 5月22日(金)08:30 日本 4月全国消費者物価指数(CPI)
- 5月22日(金)23:00 米国 5月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
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