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トルコリラ投資の新戦略、「スイスフラン/トルコリラ(CHF/TRY)」通貨ペアでリスク分散 2026年4月20日

トルコリラ投資における通貨ペア選択の多様化

日本のFX市場において、トルコリラ(TRY)は高い政策金利を背景に、多くの投資家の関心を集めてきました。これまでは投資家の生活基盤である日本円を用いた「TRY/JPY(トルコリラ/円)」が主要な取引対象でしたが、昨今のグローバルな市場環境の変化に伴い、対抗通貨(決済通貨)の選択が運用の成否を分ける重要な要素となっています。

この度、外為どっとコムが提供を開始する「CHF/TRY(スイスフラン/トルコリラ)」は、単なる選択肢の追加ではなく、ポートフォリオ構築における「円リスクの分離」という明確な役割を持っています。スイスフランを対抗通貨とする論理的背景と、運用における実務的な注意点を客観的に解説してみます。

高金利通貨と安全資産の対比

 

日本・スイス・トルコの政策金利(2026年3月)

 

まず、TRY(トルコリラ)は、高い物価上昇率(インフレ)に対応するため、主要国と比較して高い政策金利が維持されています。この金利差がスワップポイントの源泉となりますが、同時に為替レートのボラティリティ(変動率)が高く、地政学的リスクや国内経済指標の結果に敏感に反応する特性があります。

これに対してCHF(スイスフラン)は、スイス連邦の政治的安定性と強固な対外資産を背景に、世界的な金融市場の混乱期に買われやすい「安全資産」としての地位を確立しています。スイス国立銀行(SNB)の政策により、金利は長期間にわたり抑制されており、国際的な「低金利通貨」の代表格として認識されています。

CHF/TRYにおけるスワップポイントの構造と「売建」の必要性

FX取引におけるスワップポイントは、二国間の金利差に基づいて算出されます。トルコリラのスワップポイント(金利差益)を受け取るためには、仕組み上、必ず「トルコリラを買っている状態」にする必要があります。

ここが最も重要なポイントです。CHF/TRYでスワップポイントを受け取るためには、TRY/JPYとは逆の「売建(ショート)」を行う必要があります。

TRY/JPY(トルコリラ/円)の場合

左側の通貨(トルコリラ)を「買う」ことでスワップを受け取ります。

CHF/TRY(スイスフラン/トルコリラ)の場合

右側の通貨(トルコリラ)を「買う」ことになるため、ペア全体としては「売建(スイスフラン売り・トルコリラ買い)」を行うことでスワップを受け取ります。

 

日本・スイスの政策金利(2026年3月)

金利差の最大化

スイスは伝統的な低金利国で、トルコは突出した高金利国です。CHF/TRYを売却(ショート)することで、「低金利のスイスフランを借りて、高金利のトルコリラで運用する」ことになり、この巨大な金利差がスワップポイントとして還元されます。

為替変動によるリスクに注意

CHF/TRYの「売建」ポジションを保有してスワップ運用を行う際、為替レートの変動による評価損益には細心の注意が必要です。CHF/TRYを売建している場合、スイスフランの上昇、もしくはトルコリラが下落して「レート」が上昇すると、含み損が発生します。

スイスフランの価値が上昇(急騰)した場合

トルコリラ側が安定していても、対抗通貨であるスイスフランが強くなれば、CHF/TRYのレートは上昇します。売建ポジションにとっては逆行となるため、評価損が発生し、保証金維持率を圧迫します。

トルコリラの価値が下落した場合

当然ながらリラ安が進めばレートは上昇し、同様に評価損が発生します。

世界的なリスクオフ局面では、安全資産であるスイスフランに資金が集中し、急騰する傾向があります。この際、トルコリラのスワップ益を大きく上回る為替差損が生じる可能性があることを、正しく理解しておく必要があります。

エクスポージャーの最適化とリスク分散の論理

「エクスポージャー」とは、市場価格の変動リスクにさらされている資産の度合いを指します。複数のポジションを合わせたときに、特定の通貨の動きに損益がどれだけ連動しやすいかを考える際の整理に使われます。

たとえば、USD/JPYでドルを買い、EUR/USDで同程度のドル売りをあわせもつと、ドルの買いと売りが相殺されて、「ドルそのものへのネットの張り付きは小さくなる」と説明されることがあります。

他方で、日本の個人投資家の口座内では、USD/JPYやTRY/JPYといった「円売り(外貨買い)」のポジションが重複する傾向があります。この状態で、円相場が一段と円高に振れた際、すべてのポジションが同時に評価損を抱えることになります。「円売り」ポジションが集中した結果のリスクです。

CHF/TRYで円高リスクの切り離し

ここに、CHF/TRYの「売建」ポジションを導入することで、トルコリラの金利メリットを享受しながらも、日本円を取り巻くリスク環境(日銀の政策変更など)から、独立した運用を目指すことができます。スイスフランのリスクは負うことになりますが、口座全体の「対円リスク」を相対的に低減させる効果が期待できます。

運用上の留意点とフェアなリスク評価

ただし、以下の点を投資判断の重要事項として提示しておきます。

1. 流動性とコストの考慮

USD/JPYなどの主要通貨ペアと比較して、新興国通貨を含むペアは、市場の流動性が低下する時間帯があります。これにより、スプレッド(売買価格差)が拡大し、約定コストが増大する可能性があります。

2. 保証金管理の重要性

スワップポイントによる収益を目的とする場合でも、一時的なレートの急変(特にスイスフランの急騰やリラの急落)に耐えられるだけの保証金の維持が不可欠です。低レバレッジでの運用が強く推奨されます。

自律的な投資判断が伴う

CHF/TRYの「売建」は、トルコリラの高い金利差を享受しつつ、あなたの「円依存ポートフォリオ」を多様化させるための有力な手段になるでしょう。

しかし、金利差から得られる利益(スワップ)と、為替変動による損失(評価損)の可能性を常に秤にかけて、ご自身の資産状況に適したロット管理を行うことが、長期的な運用の伴となります。

FX投資をされているトレーダーは、まず、現在のスワップポイントの水準と過去のチャート動向を精査して、新たに登場したCHF/TRYという通貨ペアの特性を十分に確認したうえで、今、ポジションを「持つ」べきなのか「持たない」べきなのか、しっかりとご自身で判断してください。

岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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