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【2026年ドル円予想】FRB利上げ論が浮上!米インフレ再熱で円安は続くのか?≪前編≫ 2026年4月17日

 

今回は第一ライフ資産運用経済研究所・主席エコノミストの藤代宏一氏をお招きし、インタビュー動画を撮影しました。インフレ再燃とFRBの政策動向を中心に、原油高・円安・日銀の利上げ判断・ドル円相場の見通しまで幅広くお話をうかがいました。

【必見!】藤代宏一氏の解説動画

 

 

中東情勢と原油高——最悪シナリオは回避されたか?

― アメリカとイランは2週間の停戦に合意しましたが、マーケットはどう見ていますか?

 

 

最悪の事態、すなわちアメリカとイランが本格的な戦争状態に突入するというシナリオは、現時点では可能性が低下してきています。ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態が続いていますが、長い目で見ればいい方向に向かうという楽観がマーケットに根強く残っています。

興味深いのは、投資家向けの匿名調査でも「イラン紛争の終結は4月」と答えた人が圧倒的多数でした。実名・顔出しでは「根拠はないが早期終結を見込んでいる」とは言いにくい。匿名だからこそ心の声が出る、ということだと思います。

原油先物のカーブが「期先ほど安い(逆鞘)」構造になっていること、そして日経平均が5万7千円まで回復してきていること——これらはマーケットが「いい意味での楽観」を維持していることの表れです。

円安+原油高のダブルパンチ——日本経済への影響

― ドル円160円前後、WTI原油は100ドル前後という環境が続いています。日本経済への影響は?

 

 

過去の原油高局面(リーマンショック前、アラブの春)は円高を伴っていたため、輸入物価の上昇が相殺されていました。今回はその逆で、円安と原油高が同時に進行するダブルパンチです。

ただし、現時点でマイナスの影響があまり表面化していない理由があります。政府が積極財政でガソリン補助金を投入し、消費者が目にするガソリン価格の上昇を抑制しているからです。財政の犠牲を払うことで、今はある種の「先送り」状態になっています。

株式市場の観点では、インフレが株高の追い風になる構図が過去数年続いてきました。企業収益を圧迫するはずの原油高も、政府の補助によって吸収されているため、企業側の価格転嫁が進みやすい環境が続いています。

日銀の利上げリスク

― 中東情勢よりも、むしろ日銀の動向の方が怖いとおっしゃっていますね。

そうですね。植田総裁が米国出張前に講演原稿を副総裁に託しましたが、その内容に利上げのヒントが一切ありませんでした。去年12月の利上げ時は、その2週間前に明確なシグナルを出していましたので、今回ヒントがないということは、少なくとも直近の利上げはないと判断しています。

私が懸念しているのは、日銀が想定外のペースで利上げを積み重ねるシナリオです。長期金利が2.5%という水準まで上昇すると、「それで十分」と感じる投資家が増え、株式から債券へ資金がシフトしかねません。イールドカーブコントロール時代はゼロ金利で債券投資の魅力がなかった分、株一択だった。その構図が変わりつつあります。

為替介入と円安の限界線

― ドル円の円安抑止力として、介入やFRBの政策はどう機能していますか?

1月23日のレートチェック以降、160円に限りなく近づく場面があっても、不思議とそこで収まっています。「160円を超えると財務省が動く」という意識が市場参加者にしっかりインプットされているようです。

もう一つの抑止力は、「160円超えで日銀が利上げするかもしれない」という連想です。この二重の抑止力が機能している間は、大きく円安が進む展開は考えにくい。

原油先物市場への介入については、市場関係者からも「とても無理」という声が多く、現実的な選択肢とは見ていません。

賃金と物価——実質賃金はプラスに転じるか

― 今年の春闘でベア3.5%程度が着地点となっています。実質賃金の見通しは?

 

 

基本給ベースで3%超の上昇が見込まれますので、物価上昇率と比較すると実質賃金はプラスで推移する可能性が高いと見ています。

注意したいのは、去年1年間の毎月勤労統計がサンプルの偏りで低めに出ていたという点です。これが2月分の発表でほぼ確認できました。実勢としての賃金は今、基本給ベースで3%程度上昇しています。

物価についても、ガソリン補助が入った段階の消費者物価を見て「落ち着いた」と判断するのはミスリードです。政策を除いた基調的な物価の動きをきちんと見る必要があります。

インタビューを終えて

停戦後のマーケットが「いい意味での楽観」を維持する中、藤代氏が最大のリスクとして挙げたのは中東情勢ではなく日銀の利上げペースでした。賃金が実質ベースでプラスに転じつつある一方、財政政策によるサポートがいつまで続くかという問いは依然として残ります。記事後編では、ドル円相場の年後半の見通し、FRBの利上げ論の行方、そして日銀の具体的な利上げタイミングについてお届けします。

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「藤代宏一氏の解説動画」はこちら ▶

 

fujishiro.png 株式会社第一ライフ資産運用経済研究所
経済調査部 主席エコノミスト
藤代 宏一(ふじしろ・こういち)
・2005年 第一生命保険入社
・2008年 みずほ証券出向
・2010年 第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向
2年間経済財政白書の執筆、月例経済報告の作成を担当
・2012年 第一生命経済研究所に帰任
 その後、第一生命保険より転籍
 早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)
・参議院予算委員会調査室客員調査員(2018年)
・日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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