執筆日時:2025年12月17日 12時50分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート」
10・11月アメリカ雇用統計は強弱まちまち、1月FOMCへのヒントにならずドル円は154円後半で方向性欠く
政府機関閉鎖の影響により変則的な公表となった12月16日の米10月・11月雇用統計では、10月の非農業部門雇用者数(NFP)が-10.5万人、11月は6.4万人となりました。10月の失業率は公表されず、11月は4.6%と9月の4.4%から大きく悪化しています。
10月分については、政府効率化省(DOGE)の退職プログラムの影響で大幅悪化が見込まれていたため、市場の反応は限定的でした。一方、11月のNFPが市場予想の5.0万人を上回る6.4万人となったことで、労働市場が大きく毀損していない可能性が示唆されました。また、民間部門雇用者数の3カ月平均は8月に1.3万人まで低下した後、11月には7.5万人へ回復しており、労働市場の底打ちを示唆するデータも見られます。
とはいえ、今回の統計は強弱が入り混じる内容で、ノイズも多いとみられます。労働市場の判断には12月分のデータを待つ必要があるとの見方が強く、FRBの金融政策見通しを大きく左右する材料にはつながらなかった可能性があります。
各市場の反応
【為替市場】
失業率の悪化を受けて米ドル/円は154.397円まで下落しましたが、雇用情勢が急速に悪化しているわけではないとの見方から155.00円付近へ戻しました。その後は、次回以降の統計を見極めたいとの思惑から、154.70円前後で方向感に欠ける展開となりました。
【株式市場】
米主要3指数はまちまちの動きとなりました。FRBの追加利下げを巡る見方が分かれ、株式市場の反応は定まりませんでした。
- ダウ平均:前日比 -0.62%(-302.30)で 48,114.26ドル
- ナスダック総合:前日比 +0.23%(+54.05)で 23,111.46
- S&P500種株価指数:前日比 -0.24%(-16.25)で 6,800.26
【金市場】
金スポット相場はほぼ横ばいでした。雇用統計発表後は米ドル安を背景に一時4,368ドル付近まで上昇しましたが、その後は前日の終値付近である4,340ドル前後で上下を繰り返し、方向感に乏しい展開となりました。

※チャート:左上から横に米国S&P500、米国D30、日本N225、金スポット、5分足 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート」
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