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12月16日のアメリカ 雇用統計の予想と戦略「雇用統計は一時的に弱くても悲観は不要? 回復シナリオを検証!ドル円は押し目買いの好機か」2025年12月号-By 外為どっとコム総研 #外為ドキッ

 

アメリカ 雇用統計の予想と戦略「雇用統計は一時的に弱くても悲観は不要? 回復シナリオを検証!ドル円は押し目買いの好機か」2025年12月号-By 外為どっとコム総研 #外為ドキッ

はじめに-特殊要因が多い

執筆日時:2025年12月10日 13時00分 

執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

 

2025年12月16日にアメリカの10・11月分の雇用統計が発表されます。今回発表される10月・11月のアメリカ雇用統計は、通常とは違う事情が重なっており、数字が大きくぶれる可能性があります。

まず、政府効率化省(DOGE)が行っていた退職プログラムが9月で終了したことで、政府部門の雇用が一時的に大きく減る見通しです。さらに、43日間続いた政府機関閉鎖の影響で、10月分の失業率は調査が間に合わず、NFP(非農業部門雇用者数)だけが発表されます。こうした事情から、雇用統計は“変則的”となります。では振り返りからです。

前回のおさらい-予想外にNFPは上振れも失業率は悪化

・NFPは11.9万人増加
・失業率は4.4%へ悪化

11月20日に発表された9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想5.0万人を上回る11.9万人、失業率は労働参加率(8月:62.3% → 9月:62.4%)の上昇もあって4.3%から4.4%へ悪化し、アメリカの労働市場の引き締まり傾向と緩みの両面が示され、評価は分かれました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:データ米国労働省

各市場の反応

【為替市場】

NFPの好結果を受けて米ドル/円は157.886円まで急騰したものの、失業率の悪化を受けてすぐに157.213円まで急落。その後は激しくもみ合いながらも方向感に欠け、157円台での振幅が続きました。米長期金利も4.15%付近まで上昇した後、株価下落の影響もあり4.08%付近まで低下するなど、こちらも方向性が定まりませんでした。

 

【株式市場】

NFPの底堅さを受けてアメリカ経済の先行き不透明感がやや後退し、主要3指数は上昇して始まりました。しかし、決算発表を受けて買いが先行したエヌビディアが失速してマイナス圏に沈むと、株式の割高感が意識され、主要株価指数はそろって下落しました。

  • ダウ平均:前日比 -0.84%(-386.51)の 45,752.26ドル
  • ナスダック総合:前日比 -2.16%(-486.18)の 22,078.05
  • S&P500種:前日比 -1.56%(-103.40)の 6,538.76

 

【金市場】

強弱まちまちだった雇用統計を受けて方向感が出にくい展開となり、4,080ドルを中心に上下動が続きました。終盤は米株安を背景に安全資産としての金が買われ、下げ渋る動きとなりました。

 

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY5分足チャート
米ドル/円 5分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

今回の見どころ-ネガティブインパクトもありそう

・DOGEの影響で政府部門が大きく減る可能性
・政府機関閉鎖は民間部門にも波及
・失業率は高止まり懸念

DOGEによる退職プログラムが9月末で終了し、その反動が10月分のNFPに反映される見通しです。欧州の金融機関では、DOGEの影響から政府部門が最大15万人減少する可能性があるとしています。民間部門を加えても、10月のNFPがマイナスに陥るリスクがあります。また、11月分についても政府機関の閉鎖期間中、関連企業の仕事が止まり、雇用が減った可能性もあり、11月分も強い数字を期待しにくい状況のようです。

図表3.雇用者数変化に関連するデータ

雇用関連データの推移
出所:各種公表データを基に外為総研が作成

ただし、これはあくまで一時的なショックである可能性もあります。

- 退職した政府職員の多くはすでに民間企業への転職を決めていると思われること

- 政府機関の再開で関連企業の雇用もじきに戻る可能性があること

これら要因から、数カ月後には雇用が急回復する可能性があります。見かけ上、“V字回復”のように見える展開もあり得ます。


一方で、短期的な要因だけでなく、アメリカの雇用構造そのものが変わりつつある可能性もあります。 JOLTS求人件数はパンデミック前より少し高いにもかかわらず、採用者数はパンデミック前より低い水準です。

これは関税の影響というよりは、AIの進出で産業構造が変化し、アメリカ経済がより労働者を必要としない社会へ向かっていることを示唆している可能性があります。その場合、雇用が回復しても、安定的な雇用創出に必要とされる新規雇用者数(ブレークイーブン雇用者数)が低下する中での回復で、「以前のように、毎月のNFPが10万人~15万人程度を維持しながらも、労働市場が逼迫する(=人手不足になる)」という状況には戻りにくいかもしれません。

図表4.求人件数に関連するデータ

求人に関するデータの推移
出所:米労働省データを基に外為総研が作成
※単位:万件

また、失業率も注目されます。シカゴ連銀の予測では11月は4.44%となっています。10月に4.46%まで上昇したと見られたところからは低下しており、失業率悪化への不安は後退しています。しかし、失業率4.4%の確率が14.6%、失業率4.5%の確率が14.4%と拮抗しており、FRBが警戒レベルとする4.5%へ到達する可能性も、油断はできません。

雇用統計は弱く出る可能性がありますが、中期的な回復期待(ブレークイーブン雇用者数が低下する中での回復)を考えると、ドル円が145円割れを目指すような大幅な円高も想定しにくいと考えられます。市場コンセンサスはまだ形成されていないほか、予想の幅も広いため、今後の動向によって変わってくることはありますが、現時点では、ドル円は押し目(下がったところ)を買う戦略が有効と見ています。

図表5.失業率に関連するデータ

雇用関連データの推移
出所:各種公表データを基に外為総研が作成

まとめ

- 今回の雇用統計は政府の事情で数字が乱れる

- NFPはマイナスの可能性も

- ただし一時的で、数カ月後には回復の可能性

- AIなど構造変化で雇用は以前ほど強くならないかも

- ドル円は大きく下がりにくく、押し目買いが有効

 

図表6.ドル/円チャート

USDJPY日足チャート
米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

付随データ

図表7.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2025年11 4.0 - 4.4 -
2025年10月 - - - -
2025年09月 5.0 11.9 4.3 4.4
2025年08月 7.0 2.2 4.3 4.3
2025年07月 10.4 7.3 4.3 4.2
2025年06月 11.0 14.7 4.3 4.1

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2025年11月 0.3 - -
2025年10月 - - -
2025年09月 0.3 0.2 62.4
2025年08月 0.3 0.3 62.3
2025年07月 0.3 0.3 62.2
2025年06月 0.3 0.2 62.3

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2025年11 44.0 48.9
2025年10 46.0 48.2
2025年09月 45.3 47.2
2025年08月 43.8 46.5
2025年07月 43.4 46.4
2025年06月 45.0 47.2

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

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