
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は95.29円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は86.14円前後で週初を迎えました。週前半は前週末に大幅に下落した米ドル/円が反発基調だったことや、NZ4-6月期小売売上高が予想に反して前期から増加していたこと、豪7月消費者物価指数(CPI)が予想以上に反発していたことなどが支えとなりました。週後半は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性が意識されたほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性をめぐる懸念から米ドルが売られましたが、豪ドル/円、NZドル/円は米ドル/円の下落とストレートドルでの上昇の影響から方向感は出ませんでした。週を通して、豪ドル/円は95.28円前後~96.16円前後、NZドル/円は86.00円前後~86.65円前後と狭いレンジでの値動きとなりました(執筆時)。
豪GDP次第ではRBAの追加利下げが近付く?
来週は3日(水)に豪4-6月期国内総生産(GDP)が発表されます。豪準備銀行(RBA)は2025年に入り利下げを開始。2月と5月、8月にそれぞれ25bp(0.25%ポイント)ずつ政策金利を引き下げました。今回発表される4-6月期の時点では、前年よりも政策金利が50bp低い状態でした。それでも、消費者の節約志向が根強く、GDPの約5割を占める個人消費を見ると、4-6月期小売売上高は前期比+0.3%と低い伸び率でした。政府部門の支出がどのような結果になるかわかりませんが、仮に政府の支出も低い伸びとなり、豪4-6月期GDPで豪経済の弱さが確認された場合には、RBAの追加利下げ期待が高まることになりそうです。現在、金利先物で見る次回会合(9月30日)での25bp利下げは18%程度の織り込みにとどまっており、次々回(11月4日)での25bp利下げを100%織り込んだ状態です。これはRBAが四半期CPI重視の姿勢を示しており、7-9月期CPIの発表が10月29日に予定されていることも影響しているでしょう。4-6月期GDPの結果を受けて、9月会合での利下げ織り込みが進むか注目しましょう。なお、RBAは4-6月期のGDPが前年比+1.6%になると8月に公表した金融政策報告で予想しています。
来週は5日に米8月雇用統計が発表されます。先日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演から、市場ではパウエル議長の政策策定の軸がインフレから雇用に移ったとの見方もあり、注目が高まっています。そのため、今週同様に米ドル主導の値動きがメインとなりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は終値ベースでは日足一目均衡表の雲の中での値動きが続いています。目先の注目はこの雲を上下どちらの方向にブレイクするかとなりそうです。下値目途は200日移動平均や雲下限となりそうです。この水準を下抜けた場合は、6月後半に93円台後半がサポートとして機能したことから、同水準が意識されそうです。一方上値では、今週は目先は雲上限となります。日足の終値ベースで雲を上抜けた場合は、8月12日高値の96.83円前後や7月15日高値の97.44円前後が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】

予想レンジ:AUD/JPY:94.50-97.50、NZD/JPY:85.00-88.00
9/1週のイベント:
08/31 (日) 10:30 中国 8月製造業購買担当者景気指数(PMI)
08/31 (日) 10:30 中国 8月非製造業購買担当者景気指数(PMI)
09/01 (月) 07:45 NZ 7月住宅建設許可件数
09/01 (月) 10:30 豪 7月住宅建設許可件数
09/01 (月) 10:45 中国 8月RatingDog製造業購買担当者景気指数(PMI)
09/02 (火) 10:30 豪 4-6月期経常収支
09/03 (水) 10:30 豪 4-6月期四半期国内総生産(GDP)
09/03 (水) 10:45 中国 8月RatingDogサービス部門購買担当者景気指数(PMI)
※RatingDogPMIは旧財新PMIで8月1日から冠スポンサーが変わりました
一言コメント:
来週は少し遅い夏休みをいただきます。毎年同じところに行くのですが、夕飯で行きたいお店は妻と一致しているのでスケジューリングが楽です。ただ、スケジュールが詰まりすぎているので、体力的に心配です。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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