執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は94.68円前後で、ニュージーランド（NZ）ドル/円は87.45円前後で週初を迎えました。今週は米国が日本への上乗せ関税を発表。日本の貿易赤字拡大への懸念から円が全般的に売られたため豪ドル/円、NZドル/円はともに底堅い展開となりました。8日には豪準備銀行（RBA）が金融政策会合を開催しました。市場では25bp（0.25％ポイント）の利下げを織り込んでいましたが、RBAは金利を据え置きました。これらを材料に豪ドル/円は96.80円台まで上昇する場面も見られました。一方で、9日に金融政策会合を開催したNZ準備銀行（RBNZ）は、政策金利こそ市場予想通り3.25%に据え置きましたが、今後の追加利下げの可能性を示唆したことから、豪ドル/円と比べると上げ幅は限定的でした（執筆時）。
豪雇用統計の利下げ判断への影響は？
RBAは25bp（0.25%ポイント）の利下げを実施した前回の金融政策会合（5月20日）で「50bpの利下げも検討した」としていたことを明らかにしています。また、最新の豪5月消費者物価指数（CPI）ではコアCPIが2021年11月以来となる前年比+2.4%まで減速していました。 こうした背景から、市場では8日開催された会合でRBAが25bpの追加利下げに動くとの見方が大勢となっていました。
しかし今回RBAは政策金利を3.85%に据え置きました。 声明では「インフレ率が持続的に2.5%に到達することを確認するため、もう少し情報を待つ」とし、労働市場については「依然として堅調」と判断していることが示されました。また、ブロックRBA総裁は「月次CPIは変動が大きい」「第2四半期のCPIがわれわれの考える通りになり、低下し続けるならば、われわれの道筋の正しさを証明するものとなる」と従来通り四半期CPIを重視する姿勢を示しています。
来週は17日（木）に豪6月雇用統計が発表されます。5月の雇用統計では雇用者数が予想外の減少となりましたが、これは4月の高水準からの反動と考えられます。失業率は前月から横ばいの4.1%でした。
RBAが5月に公表した予測では、6月時点の失業率は4.2%とされていました。仮に豪6月雇用統計で失業率が4.2%へ上昇すれば、RBAの次回会合での利下げの可能性が一段と高まります。
ただ、今回RBAが確実視されていた利下げを見送ったため、短期金利先物では8月会合での追加利下げ織り込みが90%まで上昇しています。そのため、仮に豪6月雇用統計が軟調な結果となっても、利下げを期待した豪ドル売りは一時的なものにとどまりそうです。一方で、豪6月雇用統計が強い結果となった場合、豪ドルは短期的に買われることになりそうです。ただ、利下げについてはブロック総裁が四半期CPI重視の姿勢を示していることからも、7月30日に発表される豪4-6月期CPIの結果に最終判断が委ねられることになりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は底堅い値動きが続いています。6月16日以降日足一目均衡表の転換線が終値ベースでのサポートとして機能していますので、引き続き同線が目先の下値目途となりそうです。その下の水準では同基準線や雲上限が下値目途として意識されそうです。一方上値では、2月12日高値の97.33円前後が目先の上値目途となりそうです。同水準には週足一目均衡表の雲下限（97.26円前後）も位置しています。ここを上抜けると次に意識されるレベルは週足一目均衡表の雲上限（99.73円前後）となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：95.00-98.50、NZD/JPY：87.00-89.50
7/14週のイベント:
07/14 (月) 未定 中国 6月貿易収支
07/15 (火) 09:30 豪 7月ウエストパック消費者信頼感指数
07/15 (火) 11:00 中国 4-6月期四半期国内総生産（GDP）
07/15 (火) 11:00 中国 6月小売売上高
07/15 (火) 11:00 中国 6月鉱工業生産
07/17 (木) 10:30 豪 6月新規雇用者数
07/17 (木) 10:30 豪 6月失業率
一言コメント：
今週末の息子の予定。土日共に午前中は野球、午後はサッカー。今週末は暑さがやや和らぐようですが、大変です。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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