執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年4月18日 12時40分
下目線を維持したい、ユーロは対円で一目雲のねじれに差し掛かる
ユーロ/円、ポンド/円は限られたレンジで振幅
イースター休暇を控えて、積極的な取引が見送られる中、円と米ドルの動向に挟まれる格好になり、概ねユーロ/円は162.00円、ポンド/円は189.00円を中心に上下に約0.3%~1.3%の範囲で振幅しました。ECBは政策金利を0.25%引き下げ、預金ファシリティ金利を2.25%に設定しました。ただ、既に織り込み済みだったことから、市場への影響は限定されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
短期的には米国との通商協議次第
ECB理事会では「関税の影響は明確になっていない」として、政策は会合毎にアプローチするとの見解を改めて示しており、次回以降についてのヒントは明らかにしませんでした。ただ、市場では年内あと2.5回(1回あたり0.25%)の利下げを織り込む格好になっており、先々のユーロの上値を抑制する材料と感じています。もっとも、現在の主要な課題は、欧米通商問題で、工業品への関税を相互にゼロにするEUの提案に対する協議が進展するかどうかで、ユーロの方向性が大きく変わってくると見られるため、米国との交渉の行方が注目されます。欧州独自材料よりは米国がどう動くかが短期的なユーロの方向性を決めることになるのではないかと、考えています。
英国のインフレ率は、燃料やホテル料金を主因にヘッドラインが前年比で2.6%(2月は2.8%)へ低下。コアも前年比で3.4%(2月は3.5%)へ下げており、英国のディスインフレ傾向が継続していることを示しました。4月以降、電気・ガス料金のベース効果によって一時的な再加速はありそうですが、インフレは基調的に落ち着きつつあり、5月利下げは完全に織り込まれた状態が続いています。経済指標では、製造業・サービス業PMIが発表されます。サービス分野の景況感拡大は続きそうですが、製造業の景況感鈍化が続く中で英経済に対して強気にはなりづらいです。対米ドルではかなり良いところまで上昇している感じもあり、ポンドはそろそろ調整が進んでもおかしくないのではないかと、考えています。
ユーロ/円、ポンド/円とも上値重そう(テクニカル分析)
ユーロ/円は一目均衡表で三役好転を保っているものの、161.76円前後を低下する200日移動平均線の形からは、上方向に対する動き出しの鈍さを感じさせます。その上、相場の転換線になりやすいとされる一目の雲のねじれに差し掛かるため、200日線の推移に倣って下方向を試す動きは警戒したいです。160.78円レベルを推移する100日線を下回ってくれば、160.00円割れから158.00円トライも想定されそうです。100日線を割り込んでくる局面では、打診的に売りで追随したいと考えています。
また、ポンド/円は一目均衡表での三役逆転に加えて、緩やかな下降チャネルを形成中に見受けられます。このまま、チャネル上限までの戻りも想定されますがかなり距離があるため、どちらかと言えば、一目の雲に頭を抑えられて再びチャネル下限を目指す格好と考えています。191.00円付近まで戻して雲に抑えられて再び調整し始めたところを売りで追随したいと、個人的には考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:158.000-164.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:183.000-192.000
4/21 週のイベント:
一言コメント
ポンド/豪ドルは年初来安値(1.95932)からの上昇幅の半値押しレベルである2.0620付近への調整が進行中。このレベルで下げ渋り戻りを試す可能性はあるものの、足許のオセアニア通貨の強さを考えると、61.8%押しとなる2.0378付近までの調整があっても不思議はないのではないかと、考えています。
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