株式会社外為どっとコムの完全子会社である株式会社外為どっとコム総合研究所（以下、「外為どっとコム総研」、本社：東京都港区、代表取締役社長：竹内 淳）は、個人投資家の外為投資に役立つ外国為替情報の調査・研究を行なっております。今回、FX投資家の実態を調査しましたので、お知らせします。
FX個人投資家、短期売買に注力？！ TRY（トルコリラ）の価格急変で投資家は狼狽 【外為どっとコム総研FX投資家調査2025年3月】
一般社団法人金融先物取引業協会 FX投資家動向まとめ
USD/JPY（米ドル/円）、取引金額は3.5％増
金融先物取引業協会が4月14日に公表した資料によると、2025年3月の店頭FXにおける取引金額は1164兆円と、2月の1099兆円から約5.9％増加した。主要な取引通貨ペアであるUSD/JPY（米ドル/円）の取引量は約3.5％増加だった。一方、月末時点の未決済ポジション合計は約8.8兆円と前月から僅かに増加した。また、TRY/JPY（トルコリラ/円）の価格急変が原因になったと見られるロスカット等未収金の発生件数は500件を超えました。（※ロスカット等未収金発生口座数はこちらをご覧ください。）
URL https://www.ffaj.or.jp/library/monitoring/account/
取引金額上位の5通貨ペアは、USD/JPY（米ドル/円）・EUR/JPY（ユーロ/円）・GBP/JPY（ポンド/円）・AUD/JPY（豪ドル/円）・EUR/USD（ユーロ/米ドル）の順で、EUR/JPY（ユーロ/円）が一つ順位を上げた。
図１.取引金額とポジション計
（出所）金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円
株式会社外為どっとコムFX投資家動向2025年3月
EUR/TRY（ユーロ/トルコリラ）取引が急増
FX口座数が59万件を超える株式会社外為どっとコム協力の下、2025年3月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象：株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者（約59万口座）
調査機関：株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象：調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間：2025年3月3日7:00 ～ 2025年4月1日6:00
調査方法：対象期間中の取引データより抽出
（特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。）
FX取引における実現損益
FX取引における実現損益でプラスは49.2％（2月は49.4％）、マイナスは50.7％（2月は50.5％）と、前月から収益を確保できた投資家は減少した。トランプ米大統領の関税策を巡り米インフレ上昇や成長鈍化など金融・経済の行方が不鮮明になったため、個人投資家は収益を残しづらかった。
図２.取引参加者の損益
通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY（米ドル/円）・TRY/JPY（トルコリラ/円）・EUR/JPY（ユーロ/円）・AUD/JPY（豪ドル/円）・GBP/JPY（ポンド/円）・EUR/USD（ユーロ/米ドル）・MXN/JPY（メキシコペソ/円）・ZAR/JPY （南アフリカランド/円）・NZD/JPY（NZドル/円）・EUR/TRY（ユーロ/トルコリラ）の順。
保証金※の低さやスワップポイントの受取額が大きいことが個人投資家の興味を引き、右肩上がりだったTRY/JPY（トルコリラ/円）のポジションが約37％減少した。価格急変でポジションの調整が必要になった投資家が多かった模様で、TYR（トルコリラ）の取引は増加した。
※4月14日現在で、1Lotあたりの保証金はTRY/JPY（トルコリラ/円）が200円、MXN/JPY（メキシコペソ/円）が300円、ZAR/JPY （南アフリカランド/円）が400円。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。
図３.通貨ペア別取引者数
平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は4.9万通貨（49Lots）へ増加。昨年9月に3.9万通貨（39Lots）まで減少したが、その後は回復傾向が続いている。
USD/JPY（米ドル/円）は、1Lotあたり6,100円の必要保証金（4/14時点、法人口座除く）がかかるため、１注文あたりの必要保証金額は約29万8,900円となる。TRY/JPY（トルコリラ/円）は、1Lotあたり200円の必要保証金（4/14時点、法人口座除く）がかかるため、１注文あたりの必要保証金額は9,800円となる。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。
図４.平均取引数量
口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均115カ月（9年7カ月）と、前月から横ばい。114カ月程度での推移が続いている。
図５.口座開設期間
FX投資の年齢分布
FX投資家の年代別では50代が31.0％でトップ。次に40代が30.0％で続き、以下、60代の14.3％、30代の12.9％と続いた。ミドルシニア世代が7割を超える状態が続いている。
図６.取引参加者の年齢構成
FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、40代が27.6％でトップとなった。その後は、30代が27.4％、50代が18.8％、20代が15.6％と続いた。
図７.口座開設者の年齢構成
まとめ
2025年3月の為替市場は、米国で鉄鋼・アルミニウムへの25％関税が発動されるなど、自動車や相互関税発動への警戒心が高まる一方、経済成長への配慮から米相互関税は小さいものに留まるのではと、楽観的な見方もくすぶる中、お互いの思惑が綱引きとなり金融市場の方向性は定まりづらかった。こうした中で、個人投資家のUSD（米ドル）に対するJPY（円）ポジションは「売り」と「買い」が同様に増加するなど、個人投資家も方向性を絞り込めなかった模様。
また、トルコでエルドアン大統領のライバルであるイスタンブール市長のイマモール氏が拘束され、同国の政情が不安定化し通貨が急落したことで、強制決済のTRY（トルコリラ）売りが誘発されるなど、投資家心理は多方面から圧迫された。不安定な環境下で個人投資家は長期的な視線でのポジション構築を避けて短期売買中心に取引したと思われ、月末時点の未決済ポジションは大きく変わらなかった。
※過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
「投資家調査」カテゴリー
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