「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
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最新のマーケット情報まとめ
- ドル円相場が154円台への上昇可能性が強まっており、本日の動きが注目されている
- 現在153円台後半まで上昇し、重要なテクニカル指標である200日移動平均線を明確に上抜け
- フィボナッチリトレースメントによる分析では、154円が38.2%の重要な水準となっており、さらに155円が半年戻しの重要な節目となっている
- 152円台から153円台後半への急速な上昇は、市場のセンチメントが大きく変化したことを示唆している
上昇の主な要因(詳細):
1. トランプ米大統領による通商政策
- 鉄鋼・アルミニウムに対する25%の輸入関税署名
- この政策によりインフレ懸念が高まり、米国金利の上昇圧力となっている
- 各国との貿易摩擦懸念も市場に影響を与える可能性がある
2. パウエルFRB議長の金融政策スタンス
- 議会証言において、利下げを急がない慎重な姿勢を明確に示す
- インフレが依然として高止まりしているとの認識を表明
- 市場は年内4回程度の利下げを織り込んでいるが、9月以降の利下げについては不確実性が高い
本日の重要イベント:
1. 米1月CPI(消費者物価指数)発表
- 発表時刻:22時30分
- 総合指数予想:前年比+2.9%(前回と同水準)
- コア指数予想:前年比+3.1%(前回3.2%から若干低下)
- 市場予想を上回る数値が出た場合、ドル高圧力が強まる可能性
2. トランプ関税政策の影響
- EU:対抗措置を検討中で、具体的な内容が注目される
- 日本:関税除外を要請中、結果次第で日本株式市場への影響も
- オーストラリア:米国が免除を検討中
- 各国の対応次第で、グローバルな貿易摩擦に発展する可能性
テクニカル分析の詳細:
- 週足チャートでは26週線が強力なサポートとして機能
- 上昇トレンドラインの形成が確認され、トレンド転換の可能性が高まっている
- RSIが50ラインを上抜けし、上昇モメンタムが強まっている
- 154.60円の突破が確認されれば、さらなる上値追いの展開も予想される
- 短期的には鍋底形成後の上昇パターンを形成している
今後の見通しと結論:
- 方向性としては上値を試す展開が優勢となっている
- 本日の米CPIの結果次第では154円突破の可能性が高い
- ただし、以下のリスク要因に注意が必要:
1. 各国の関税対抗措置による円高リスク
2. 貿易摩擦の激化による市場センチメントの悪化
3. 予想を大きく下回るCPIによるドル売り圧力
- 目先のターゲットレンジは154.40-50円圏
- 155円突破の可能性も視野に入れつつ、慎重な取引姿勢が求められる
市場参加者への示唆:
- 短期的にはドル円の上昇トレンドを意識した取引戦略が有効
- ただし、重要イベントを控えているため、急激な相場変動にも備える必要がある
- 各国の政策対応や経済指標の動向を注視しながら、機動的なポジション調整が重要。
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『最新のドル/円相場を解説』
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宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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