執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年9月27日 16時00分
ポンド円は上昇チャネルの中で調整中、ECB総裁は10月利下を示唆するのか
ユーロ/円・ポンド/円、上昇幅拡大も急失速
ユーロ/円、ポンド/円は戻りを試す中、仏9月総合PMIが前回から急低下してユーロ圏の成長見通しが懸念されると、ユーロ/円は159.044円、ポンド/円は190.121円まで押し戻されました。しかし、中国の景気浮揚策や本邦の自民党総裁選で高市氏勝利が確実視されるとリスクオンの円売りが強まり、ユーロ/円は163.50円レベル、ポンド/円は196.00円手前まで上昇しました。しかし、最終的には石破氏が勝利したことで、ユーロ/円は160.20円レベル、ポンド/円は192.15円レベルまで急落するなど荒れる場面もありました。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECB利下げへの地均し進むのか
ユーロは域内の景況感はさえないものの、米ドル安を材料に底堅い動きが続く中、中国人民銀行(PBOC)による景気刺激策が加わり底堅く推移しています。米ドル安の流れが強まれば、2013年7月18日高値の1.12753米ドルを上抜けして上げ幅を広げる可能性も考えられます。こうした動きにつれて、ユーロ/円も上昇幅を広げるかもしれません。しかし、ECBが10月も利下げに踏み切るとの思いが徐々に広がっており、ラガルド総裁が足もとのデータを見てどのようなメッセージを市場に送るのか着目されます。また、円については金融所得課税を掲げる石破氏が次期首相となることがほぼ確定しており、株価の上値が抑えられやすくなったため、円の下値も支えられやすくなり、ユーロ/円の上値は重くなった可能性があります。
ポンドもユーロに似ているところはありますが、英国経済の底堅さが意識されやすい一方、すでに金利市場で11月利下げを完全に織り込んでいるため、ここから利下げを話題にしたポンド売りもハードルが高いように感じられるため、全体的にはポンド売り材料は少ないように思われます。あるとすれば、高齢者への冬季燃料費の補助を大幅に削減するなど緊縮財政路線を続ける政府への不満は、ポンドの重しとなる可能性はありそうです。短期的には買われ過ぎ感が強い中で、高値掴みには警戒したいところですが、底堅さは維持しているように感じます。
ポンド/円、190.00円付近で踏み止まれるか注視(テクニカル分析)
ユーロ/円は日足一目・転換線が上に向き始め、下方向の底堅さが増しつつあるようには感じますが、164.103円(26日時点)を推移する200日移動平均線に頭を抑えられたチャート形状からは強気になり切れません。また、200日線の上側には日足一目雲上限(164.906円)も控えており、200日線付近は一度売りを検討しても良いのかもしれません。
ポンド/円は上昇チャネルを形成し始めているようにも見受けられ、底堅さが意識されます。ただ、上昇チャネルの上限に接し、現在は高値からの調整局面を迎えているようです。この後、190.63円(執筆時点)付近の日足一目転換線で踏み止まり、再び上方向を目指せるか注視されます。ここで戻せれば、195.00円付近への戻しが期待できる一方で、失敗すれば189.00円付近までの調整も考えられそうです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:157.000-163.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:188.000-195.000
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一言コメント
下に行くと思ったら持ち上げられて、なかなか相場の波に乗れない状況が続いています。しばらく様子を見るのもありなのかもしれませんね。
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