主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年9月12日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼11日(水)の為替相場
(1):米大統領選のテレビ討論会はハリス氏優勢に
(2):ドル円 一時年初来安値更新
(3):英GDPは横ばい
(4):米CPIは高止まり
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:注目指標をこなしてリスクは上方向/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
11日(水)の為替相場
期間:11日(水)午前6時10分~12日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):米大統領選のテレビ討論会はハリス氏優勢に
日銀の中川審議委員は秋田県で講演を行い「現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、先行き日本銀行の経済・物価の見通しが実現していくとすれば、2%の『物価安定の目標』のもとで、その持続的・安定的な実現の観点から、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」と述べた。追加利上げに前向きな発言と受け止められて円が上昇した。また、米大統領候補者によるテレビ討論会を受けて、民主党候補のハリス氏が共和党候補のトランプ氏に勝利する可能性が高まったとの見方からドルが下落する場面もあった。
(2):ドル円 一時年初来安値更新
中川日銀審議委員は会見で、今後の利上げの経路について「現時点で金融市場の環境が不安定なことを踏まえて、何ら予断を持っている状況ではない」と発言。年初来安値となる140.70円前後まで下落していたドル/円が持ち直すなど、円買いは一服した。
(3):英GDPは横ばい
英7月国内総生産(GDP)は前月比±0.0%と、市場予想(+0.2%)を下回った。同鉱工業生産は前月比-0.8%と市場予想(+0.3%)に反して減少。同貿易収支は200.3億ポンドの赤字となり、赤字額は市場予想(180.0億ポンド)より大きかった。
(4):米CPIは高止まり
米8月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%、前年比+2.5%と予想通りで、前年比の伸び率は前月の+2.9%から鈍化した。一方、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+3.2%と前月と同率で予想通りに高止まりした。これを受けて連邦公開市場委員会(FOMC)は来週、50bp(0.50%ポイント)の大幅利下げを見送り、25bpの利下げにとどめるとの見方が優勢となった。
11日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:注目指標をこなしてリスクは上方向
昨日のドル/円は終値ベースで横ばい。東京時間には米大統領選のテレビ討論会や中川日銀審議委員の発言などを受けてドル安・円高が進むと、一時年初来安値となる140.70円前後まで下落した。NY時間に発表された米8月消費者物価指数(CPI)は、ほぼ予想通りだったとはいえ、米国のインフレ高止まりを示唆する結果だった。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50bp(0.50%ポイント)利下げ期待が後退したことで、ドル/円は142円台半ばまで買い戻された。
本日は前週分の米新規失業保険申請件数や米8月生産者物価指数(PPI)が発表されるが、米8月雇用統計と同CPIをこなして、市場は9月FOMCでの利下げ幅を25bpでほぼ織り込んでしまったため、リスクは上方向とみている。また、一時的とはいえ目先の下値目途に到達してしまったことで、底堅さを増しそうだ。東京時間にはタカ派とされる田村日銀審議委員の講演が予定されており円買い圧力がかかることも考えられるが、ドル/円が年初来安値を更新するほどのインパクトはないだろう。
注目の経済指標:ECB政策金利
注目のイベント:ラガルドECB総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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