執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は106.02円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は97.62円前後で週初を迎えました。26日に発表された豪5月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る結果となりました。この結果を受けて、短期金利市場では豪準備銀行(RBA)の利上げ観測が高まりました。同日には米ドル/円が4月29日高値の160.22円前後を上抜けて約38年ぶりの高値を更新し、その後も高値圏での推移が続いたことで、豪ドル/円は27日には107.06円前後まで上値を伸ばしました(執筆時)。
インフレ加速 副総裁の発言で小売りの注目度高まる!
26日に発表された豪5月CPIは前年比+4.0%となり市場予想(+3.8%)や前月(+3.6%)を上回る結果となりました。また、RBAが5月に公表した金融政策報告で示した6月末時点のインフレ予測(+3.8%)をも上回る結果となっています。このCPIの加速に大きく影響を及ぼしたのが、住宅(家賃や光熱費)や食品、自動車燃料等です。豪政府が昨年7月に「エネルギー料金救済基金」というものを設立し、一部世帯や事業者に年間最大500豪ドルのエネルギー料金割引を提供していましたが、この割引が上限に達してしまった世帯などが増えていることで電気料金の自己負担が増加しています。
来週は1日(月)に豪5月小売売上高が発表されます。豪州の小売売上高は2022年には年間を通して前年比平均で+0.625%ありました。しかし、高金利や高インフレの影響から2023年には+0.075%まで低下しています。そして前述しました通り、豪州の家計における光熱費の出費が増加傾向にあります。豪5月小売売上高の市場予想は+0.4%となっていますが、予想を下回る可能性は十分にあると考えています(季節的な要因で大幅上昇の可能性もありますが…)。27日にはハウザーRBA副総裁が「1つの数値に基づいて政策を定めるのは大きな間違いだ」と語り、利上げに動くにしても他のデータを見極める姿勢を示しました。そのため、豪5月小売売上高が予想を上回るようだと、市場の利上げ期待がさらに高まりそうです。
【豪小売売上高の推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は105円台に乗せてから買いが加速しました。上値は今週水曜日以降頭を抑えた107円台にしっかりと乗せられることが出来れば、2007年10月31日高値(107.87円前後)が目途となります。その上の水準ではあまり目途が見当たりません。一方で下値ですが、日足一目均衡表・転換線と同基準線がサポートとなりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:105.00-108.50、NZD/JPY:96.00-99.00
7/1週のイベント:
07/01 (月) 10:30 豪 5月小売売上高
07/01 (月) 10:45 中国 6月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
07/02 (火) 07:45 NZ 5月住宅建設許可件数
07/02 (火) 10:30 豪 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
07/03 (水) 10:30 豪 5月住宅建設許可件
07/03 (水) 10:45 中国 6月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
07/04 (木) 10:30 豪 5月貿易収支
一言コメント:
候補者乱立で話題となっている東京都知事選ですが、私も都民の一人ですので選挙公報を見ました。頭が痛くなりました…気付いたのは人通りが余り多くないと予想される場所の選挙ポスター掲示板は掲示数が少ないので参考になります。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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