追っかけ買い、追っかけ売りには注意【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/9/14
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 相場振り返りと展望
0:49 植田日銀総裁のインタビュー
1:31 レンジ相場のトレード戦略と注意点
2:17 メキシコペソ円の動向と展望
3:30 10月の米指標が重要に
4:38 おしらせ
要約
昨日、アメリカの消費者物価指数が発表されました。結論から言うと、ほぼ予想通りで、肩透かしを食らった感じです。アメリカのFOMCが再利上げをするかしないかというのは先送りされたということで、何も方向性が見出せないまま終わってしまったという結果です。それを受けて、昨日の相場も全然方向感がない状況でした。この状態は今後も続くでしょう。
土日に植田総裁のインタビュー記事を見ましたけど、なんでこんなのに反応するのっていうぐらい当たり前の話しかしてないんですね。安定的なインフレになってきたら正常化をする、その時はいろんな方法を考えてる、それだけのことしか言ってませんので、何かびっくりして一瞬円高になりましたけど、結局すぐ戻ってきてしまった。材料がないので、そういうのにいちいち反応して、とりあえずマーケットを動かそうということなのかもしれません。
レンジ相場に入ってしまいましたので、非常に難しいんですけれども、レンジはレンジでやりようがあります。僕はずっとドル円・クロス円で押し目買いというのを続けてやってきています。ドル円で言うと、今週あった145円台後半から146円台も絶好の買い場だと思います。ユーロ円もやっぱり156円台とか157円台前半、ポンド円も182円台とか、この辺りは買いのレベルじゃないかなと思います。
ただし、気をつけなきゃいけないのはやっぱり追っかけ買いをする、あるいは今週の初めのようにドル円が落ちたところで慌てて売ってしまうとか、そういうことをしないようにするということが、こういう相場では大事であるということだと思います。
メキシコペソは、為替ヘッジプログラムの段階的縮小というのを発表してから、下落傾向が続いて8.7円を超えていたんですけど、8.3円ぐらいまで下がりましたが、そこあたりに一目均衡表の雲があって見事に下を止められて、前回下がった時もそこで止まってるんですね。また、この2日間で8.6円ぐらいまで戻ってきました。
円がらみのポジションというのは基本的にはキャリートレードというか、金利差を稼ぐということなので、それに逆行するようなニュースが出ると瞬間的に反応してしまいます。しかし、気がついてみると戻ってきてるっていうのは、やっぱり今材料がない中で冷静になってくると、金利差取るしかないよね、っていう風に戻ってくるということだと思います。ですから、押し目買いを推奨しているということですね。
9月20日にFOMCがありますけど、もうここは金利据え置きでも決まりですので、特段何か変化あるということではないと思いますし、声明文でもその次をどうするかっていうところははっきりと書かれてないと思うんですね。というのは、メンバー自体が次どうするかっていうの迷っているので、もう少しデータを見たいということだと思います。次が11月1日ですので、10月の間にいろんな指標が出てきますから、ここが重要になりますね。逆に言うと、9月のデータで相場は動きづらいということになりますから、本格的に相場が動くとすればやはり10月に入ってからということだと思います。
今月はもうレンジだと決めて、私はとにかくドル円とクロス円の押し目買いというのでやっていますけども、それぞれ自分でレンジを決めて、下がったら買い、上がったら売り、そして追っかけ買い、追っかけ売りをしないということを気をつけてやっていきたいと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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