クロス円はまだじりじりと円安が進む【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/6/22
今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込みます。
目次
0:00 円安傾向継続の背景
1:07 日本金融当局・政府の動向と介入の可能性
3:51 各国中銀の政策金利発表
4:27 円安相場のトレード戦略
要約
この1週間を見ても、円安傾向は続いています。背景には日本の金融緩和の一方、他国ではインフレが長引くために金融引き締めを進める動きがあることが挙げられます。これにより金利差が拡大し、円全面安という流れが続いています。ただし、これまでの円安が進行し過ぎたという懸念もあり、焦点は日本の金融当局や政府の対応に移っています。
先週、財務大臣や西村大臣らからは円安を牽制するような発言が出ましたが、やや相場が伸びていたこともあって効果が若干あり、この月曜日、火曜日ぐらいは少し円高方向に動きました。しかし、ドル円の動きがゆっくりとしているため、市場への介入は難しい状況にあります。これは特定の水準を意識して為替介入を行うことが国際間の暗黙のルールに反するためです。ただし、無秩序な動きや過度な変動に対しては介入が許されています。
個人的には、145円あたりが一つの節目であり、この水準になると為替介入の可能性が高まると考えています。しかし、現在のドル円は非常に安定しているため、市場介入は難しい状況にあります。
このような状況の中、先週から今週にかけて各国の中央銀行が政策会合を開催しており、インフレ抑制のための更なる金融引き締めの動きが見られます。その結果、ポンド円等が上昇する可能性が十分に考えられます。
円安を止める材料としては、地政学リスクや信用不安などが考えられますが、現状それらは見当たらず、基本的に円安方向に進むと見ています。そのため、高値を追わず、調整のタイミングでしっかりと取引を行うことが重要だと考えています。具体的には、ユーロ円は154円台、ポンド円は180円を割り込んだところ、ドル円は140円台の後半から141円台の前半を見ています。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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