トルコリラの焦点「期待だけでは買えないのが今のリラ…」FX予想

読む前にチェック！
最新FX為替情報

CFD銘柄を追加！

チャートを表示する

f:id:gaitamesk:20210830183255p:plain

執筆：株式会社外為どっとコム総合研究所　調査部長　神田卓也（Twitter)

経済政策が正常化に向かうとの期待はあるが、リラは下げ止まらず最安値を更新

トルコ当局はこれまで、リラ預金の保護やリラ買い介入などで通貨安を抑制しつつ、低金利で生産能力を高めることを目論んできたが、通貨安と低金利の組み合わせは教科書通りにインフレ圧力を高めることになった。その結果、さらに通貨安が進むという悪循環に陥ってしまい、現状ではリラ買い支えのための外貨準備が大幅に減少するというきわめて危険な状況に追い込まれている。

先の選挙で続投が決まったエルドアン大統領は、こうした流れを変えるために、まずは新財務相として元米投資銀行ストラテジストで、元副首相でもあるシムシェキ氏を起用。次期中銀総裁には米地銀幹部として経験を積んだハフィゼ・ガイ・エルカン氏の起用を検討している模様だ。市場では、新体制下で経済政策は正常化に向かい、近くインフレ抑制に向けた金融引き締めも行われるとの観測が強い。

ただ、それでもリラの下落は止まらないのが実情だ。昨日7日には、対ドルで8％近く下落、対円でも7％余り下落した。エルドアン大統領が新財務相に起用したシムシェキ新財務相は、中銀に対し国営銀行を通じた為替市場への介入を緩和するよう要請したと伝わっている。こうした動きは政策正常化の一環と見ることもできるが、為替市場では将来の正常化に対する期待よりも、足元の状況に対する不安感のほうが強いようだ。少なくとも、「期待」だけでは買えないのが今のリラの立ち位置であろう。