執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
豪ドル/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
・ドル/円につれ高
・米債務上限問題への懸念和らぐ
・豪住宅建設許可は予想外の減少
・中国景気不安
・豪CPI加速も中国PMI悪化
足元の豪ドル/円は上値の重い展開
26日に発表された豪4月小売売上高は前月比増減なしと冴えなかったものの、140円台へ上伸したドル/円につれて91円台後半へと反発。米国の債務上限問題を巡る懸念が和らいだことで週明け29日には92.00円前後まで上昇しました。
しかし、30日は豪4月住宅建設許可件数が予想外に減少した他、中国の景気不安が重しとなり反落。
31日の東京市場ではおよそ半月ぶりに90.30円台に下落しています。なお、この日は豪4月消費者物価指数が前年比+6.8%に加速したことで一時豪ドル買いに傾きましたが、中国5月製造業PMIの悪化を受けて売りが強まりました。
目先の豪ドル/円の注目ポイントはRBA
6日に豪中銀(RBA)が政策金利を発表します。前回5月会合では大方の予想に反して25bp(0.25%ポイント)の利上げを決めましたが、その後に公表した議事録で「利上げか据え置きかの判断は微妙だった」ことを明らかにしています。こうした経緯から、今回の利上げ期待は低く、豪金利先物の利上げ織り込みは30%程度にとどまっています。
豪州では、今月17日に発表された1-3月期賃金指数が前期から加速。31日に発表された4月消費者物価指数(CPI)も前月から加速するなど、インフレは再び上昇基調です。
一方で、4月失業率が上昇した他、4月小売売上高は横ばいにとどまるなど、景気には低迷の兆しが見え始めています。そうした中で、今回もRBAの判断は「微妙」なものになる可能性が高そうです。
市場の利上げ織り込みが中途半端なだけに、インフレ抑制に向けて利上げを続けるようなら豪ドルは上昇が予想される半面、景気に配慮して利上げを見送るようなら下落する公算です。
来週までの豪ドル/円の見通し
予想レンジ
89.000円~92.000円
基調
方向感模索
来週までの注目ポイント
・6/1 中国5月財新製造業PMI
☆6/6 RBA政策金利
・主要国株価、国際商品価格
「為替チャート|豪ドル/円(AUDJPY)|60分足」はこちら
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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