執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年2月24日 15時20分
利上げ再加速強まるなら、米ドル/円は200日線に向け下値切り上げ
2月20日週の米ドル/円は続伸
米ドル/円は、利食い売りに押され133.914円まで押し戻されたものの、企業景況感の回復を支えに米利上げサイクルの長期化観測が強まり、米長期金利が3.9％台まで回復したため、135.358円まで上伸しました。注目された植田次期日銀総裁候補への所信聴取では、「金融緩和の継続性」「共同声明の２％物価安定目標の早期達成、表現を当面変える必要ない」と、現状の緩和政策を続ける姿勢を改めて表明しました。また、「イールドカーブコントロール（YCC）、様々な副作用を生じさせた面は否定できない」と課題意識を明らかにしたものの、修正時期が差し迫っている様子は示しませんでした。発言を受けた米ドル/円は目立った方向性は見せず、134円台で振幅する程度でした。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、日本円 地雷イベントをイッキ見！、米ドル戦術的取引、ランドに転機？、米GDP Live (2023年2月23日)- YouTube
利上げサイクル長期化観測の点検
米経済への悲観的な見方はすっかり後退して、足もとでは米利上げの影響が軽微に済んで景気後退が避けられるとの見方や、ターミナルレート（金利の最高到達点）の引上げ観測も一部で出始めています。雇用統計をはじめ好調だった1月のファンダメンタルズが一時的なものなのか、それとも本格的なものなのか、ISM製造業・非製造業景況指数や、消費者信頼感指数を確認しながら、足許の楽観的な見通しの真偽を判断していくことになりそうです。 消費者心理の持ち直しやISM非製造業景況指数が2カ月連続で判断基準の50を超えてくれば、FRBによる0.5％への利上げ幅拡大も意識されて、米ドル/円は上昇幅を広げそうです。
逆にさえない結果が並べば、米長期金利が3.6％台まで低下して米ドル売りが強まる可能性もあります。 また、円サイドも一応注意が必要です。国会での所信聴取は無難に通過し、現行の政策が直ちに修正される観測は後退しており、円には下向きバイアスがかかりやすくなったと言えそうです。ただ、植田氏らがYCCの副作用について課題意識を持っていることは間違いなく、3月1日に発表される四半期債券市場サーベイの結果次第では、課題への本格的な取り組みの必要性が意識され、円債金利上昇・円高に振れる危険もあります。引き続き日米の金融政策を巡る市場の思惑に細心の注意は必要です。
米ドル/円、軽い調整挟みながら上値トライか
米ドル/円は、21日移動平均線が上昇中で底堅さがうかがえます。ストキャスティクスの％D（期間3日）とSlow％D（期間3日）がデッドクロスし始めたため、132.300円付近までの調整を挟む可能性はありますが、137.08円近辺で推移する200日移動平均線に向けて引き続き下値を切り上げていきそうな雰囲気です。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：132.000-137.000
2/27 週のイベント:
2/27(月) － 日本 次期日銀総裁候・植田氏への参議院での所信聴取
2/27(月) 22:30 米国 1月耐久財受注
2/27(月) 24:30 米国 ジェファーソンFRB理事、発言
2/28(火) － 日本 次期副総裁候補・内田氏／氷見野氏への参議院での所信聴取
2/28(火) 8:50 日本 1月鉱工業生産・速報値
2/28(火) 14:00 日本 1月新設住宅着工戸数
2/28(火) 23:00 米国 12月住宅価格指数
2/28(火) 23:45 米国 2月シカゴ購買部協会景気指数
2/28(火) 24:00 米国 2月リッチモンド連銀製造業指数
2/28(火) 24:00 米国 2月消費者信頼感指数（コンファレンス・ボード）
2/28(火) 28:30 米国 グールズビー米シカゴ連銀総裁、発言
3/1(水) － 日本 四半期日銀債券市場サーベイ、公表
3/1(水) 10:30 日本 中川日銀審議委員、金融経済懇談会で挨拶
3/1(水) 24:00 米国 2月ＩＳＭ製造業景況指数
3/1(水) 24:00 米国 1月建設支出
3/2(木) 8:50 日本 10-12月期四半期法人企業統計調査
3/2(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
3/2(木) 10:00 日本 高田日銀審議委員、金融経済懇談会で挨拶
3/2(木) 22:30 米国 10-12月期四半期非農業部門労働生産性・改定値
3/2(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
3/2(木) 28:00 米国 ウォラーFRB理事、発言
3/3(金) 8:30 日本 2月東京都区部消費者物価指数（ＣＰＩ、生鮮食料品除く）
3/3(金) 8:30 日本 1月失業率
3/3(金) 24:00 米国 2月ＩＳＭ非製造業景況指数（総合）
3/3(金) 25:00 米国 ローガン米ダラス連銀総裁、発言
3/3(金) 26:00 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
3/3(金) 29:00 米国 ボウマンFRB理事、発言
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ（＠TeamHallons） が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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