訂正：第2段落目の16行目、「指標結果を受けて、年後半の利上げ期待が後退」を
「指標結果を受けて、年後半の利下げ期待が後退」に修正しました。
執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年2月10日 17時30分
市場の円買い反応は行き過ぎかも、米CPIの動向を注視
2月6日週の米ドル/円は日銀報道に振り回される
週明けに、日本経済新聞が「次期日銀総裁に雨宮副総裁で政府・与党が最終調整」と報じたことを受け、米ドル/円は132.899円まで上伸しました。その後、イベント前の調整売りなどに押され130.334円まで反落する局面を挟みながらも、130.000円の大台割れを回避し131円台へ戻していましたが、同メディアが経済学者で元日銀審議委員の植田氏の起用を固めたと報じると、129円後半まで急落する場面もありました。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、黒田総裁 再再任?!、オプション市場はドル高警戒 (2023年2月9日)- YouTube
日銀通過で次は米CPI
日銀人事を巡っては、日経が総裁について経済学者の植田氏、副総裁には日銀理事の内田氏、前金融監督庁長官の氷見野氏を起用すると報じています。氷見野氏以外は名前がほとんど出てこなかっただけに、恐らく確度は高いでしょう。気になる植田氏のスタンスですが、昨年の日経新聞の記事で「円安回避のための利上げは景気悪化招く」としており、利上げには消極的と見られていますが、イールドカーブコントロール（YCC）修正については誘導目標の短期化を考えているのではとの声も聞かれます。こうした点が円の上昇をサポートしているところはありそうですが、何となくマイルドな修正に落ち着きそうなため、足許の円高が少し行き過ぎている感もあります。
日経が報じた日銀正副総裁候補
日銀総裁 植田和男氏（経済学者）
日銀副総裁 内田真一氏（日銀理） 氷見野良三氏（前金融庁長官）
日銀人事を巡る日程
14日 11時 政府が日銀正副総裁の同意人事案の国会提出
14日 日銀、5年物共通担保資金供給オペ実施
24日 指名者の所信聴取と与野党からの質疑で調整
その後、衆参本会議で決議
日銀の正副総裁人事をひとまず通過したと考えられるため、次は米国サイドの話題に投資家の視線が向かいそうです。1日のFOMCでディスインフレが強調されたものの、非常に強い雇用データを受けてFRBの金融政策への道筋に対して不確実性が高まっています。2/14(火)の米1月消費者物価指数（ＣＰＩ）、2/15(水)の同１月小売売上高、2/15(水)の同2月ニューヨーク連銀製造業景気指数から、少しでも見通しが明確になるかどうか注目されます。米金利先物市場が織り込むターミナルレートは5.00-5.25％とFOMC前より上方修正されているものの、年内後半の利下げ見通しはまだそれほど変わっていません。指標結果を受けて、年後半の利下げ期待が後退するようなら米ドル買いが優勢になりそうですが、反対なら米ドル売りが強まるでしょう。来週の米ドル/円は、米国の話題に振り回される可能性が高まっています。
米ドル/円、130円台で定着できるか注視
米ドル/円は、日足一目均衡表・雲の下限（132.991円）の上抜けに失敗して、下方向を攻める格好になっています。心理的節目の130.000円割れが定着してくるようだと、2月2日安値（128.081円）、1月16日安値（127.225円）と目線が下がりそうです。まずは同大台付近で値固めできるかどうかが着目されます。130円台を上回って定着できれば、次は1月6日高値（134.771円）、その上は136.833円付近を推移する200日移動平均線と期待が開けそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：128.000-134.000
2/13 週のイベント:
2/14(火) － 日本 政府、日銀正副総裁の同意人事案の国会提出
2/14(火) 8:50 日本 10-12月期四半期実質国内総生産（ＧＤＰ、速報値）
2/14(火) 22:30 米国 1月消費者物価指数（ＣＰＩ）
2/14(火) 25:00 米国 ローガン米ダラス連銀総裁、発言
2/14(火) 25:30 米国 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、発言
2/14(火) 28:05 米国 ウィリアムズ総裁米NY連銀総裁、発言
2/15(水) 22:30 米国 1月小売売上高
2/15(水) 22:30 米国 2月ニューヨーク連銀製造業景気指数
2/15(水) 24:00 米国 12月企業在庫
2/16(木) 8:50 日本 12月機械受注
2/16(木) 8:50 日本 1月貿易統計
2/16(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
2/16(木) 22:30 米国 1月住宅着工件数
2/16(木) 22:30 米国 1月建設許可件数
2/16(木) 22:30 米国 2月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
2/16(木) 22:30 米国 1月卸売物価指数（ＰＰＩ）
2/16(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
2/16(木) 22:45 米国 メスター米クリーブランド連銀総裁、発言
2/16(木) 27:30 米国 ブラード米セントルイス連銀総裁、発言
2/17(金) 6:00 米国 クックFRB理事、発言
2/17(金) 8:15 米国 メスター米クリーブランド連銀総裁、発言
2/17(金) 22:30 米国 バーキン米リッチモンド連銀総裁、発言
2/17(金) 22:45 米国 ボウマンFRB理事、発言
2/17(金) 24:00 米国 1月景気先行指標総合指数
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ（＠TeamHallons） が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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