執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次
クリスマスが明ければ海外勢はやる気?
今週の振り返り
12月17日(土)に一部報道で「政府日銀が初の共同声明改定へ」と報じられたことで、今週の豪ドル/円は91.05円前後、NZドル/円は86.66円前後と前週末終値からギャップダウンして週初を迎えました。その後、松野官房長官がこの報道を否定したことにより、豪ドル/円は91.96円前後まで、NZドル/円は87.35円前後まで買い戻されました。20日に開催された日銀金融政策決定会合では、日銀が長短金利操作の運用において、長期金利の変動幅を従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大しました。市場では、今回の日銀会合では政策変更がないとの思惑が大勢だったこと、日銀が「事実上の利上げ」を実施したことなどによるサプライズで急速に円高が進みました。この影響により、豪ドル/円は87.01円前後、NZドル/円は82.67円前後まで下落しました。21日以降はクリスマス休暇を控え、市場参加者が減少したことや、年内のビッグイベントはすべて終了したことにより、次第に値動きは細まりました。(執筆時)
本格始動は28日から?
来週は26日がクリスマスの振り替え休日で欧米勢はほぼお休み。27日はボクシングデーで英国連邦諸国がお休みとなります。そのため、外国為替市場に参加者が戻ってきて本格的に動き出すのは28日以降となりそうです。
豪州、NZでは、主要な経済指標の発表が予定されていません。米国の経済指標の結果を受けた米ドル/円の動きがクロス円である豪ドル/円、NZドル/円の動きを主導しそうです。
そのほかでは、米国の株式市場の動きが資源国通貨である豪ドル、NZドルを支える一因となる可能性があります。米国の株式市場では12月に個人投資家が税金対策の一環で含み損を抱える銘柄を売却し、売りが一巡したクリスマスが過ぎたあたりから年明けにかけて株価が上昇しやすくなる「サンタクロースラリー」というものがしばしば起こります。しかし、市場では来年は世界各国の中央銀行が依然として金融引き締めを行っているため、来年は世界的に景気が減速(株価は下落)するとの予想が多いです。そのため「今年はサンタは来ないかもしれない」との声も聞こえます。過度の期待は禁物ですが、こういった季節性の動きもあるといったことは頭の片隅に置いておいてもよいでしょう。
中国が気になる…
以前から指摘してきましたが、中国の新型コロナの感染状況がかなり悪化しているようです。感染者数が爆発的に増加したため、中国当局は感染者数の把握を諦めたとの報道などを目にします。また、あまりの感染拡大状況から市民が自主的に外出を控え、ロックダウン時よりも街に人がいない状況となっているようです。22日には中国当局が「新型コロナウイルス抑制策と経済・社会発展のための取り組みのバランスを取り、2023年の経済成長に向けた良好な基礎の構築を目指す」と表明して、一時的に豪ドルが買われる場面も見られましたが、期待は長続きしなさそうです。実際の施策が発表されるまでは、中国経済の回復が遅れへの懸念が豪ドルが上値を伸ばしきれない一因となりそうです。
26日はほぼ東京勢のみ
前述のとおり、来週は26日には東京勢を除いてほぼ市場参加者がいない状況となります。そのため国内のFX会社はお休み、または東京時間のみの営業となっている会社がほとんどとなります(※外為どっとコムのスケジュールはこちら)。こういう時は、市場参加者がほとんどいないため、ちょっとした材料に普段以上に大きく反応することがあります。今年は黒田日銀総裁の講演が同日に予定されています。無理をせずに様子を見るのもよいと思います。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は、下値は週足一目均衡表・雲下限の87.39円前後や、12月20日安値の87.01円前後が目先の目途となります。そこを下抜けると今年の3月11日や、2021年の高値水準となる86.00円前後が次の目途として意識されそうです。一方で上値は週足一目均衡表・雲上限の90.35円前後が目先の目途として見られそうです。
【豪ドル/円 週足チャート・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:86.00-90.50、NZD/JPY:80.50-85.00
12/26 週のイベント:
12/26 (月) 豪、NZ クリスマスの振替休日で休場
12/27 (火) 豪、NZ ボクシングデーで休場
一言コメント:
今週末はクリスマスですね。我が家にもサンタさんが来るのを首を長くして待っているおチビがいます。「サンタさんに何もらうの?」と聞くと「○○!」とまぁまぁ値段のするものを言ってきました。ですので、「○○は大きすぎてサンタさんの袋に入らないと思うよ。もう少し小さいのにしたら?」とプレゼント変更を促しました。(笑)
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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