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FX/為替見通し「上げ止まらぬインフレを背景にRBAはどこまで利上げする?少しでも弱気と見られれば豪ドルは売られる」週刊為替レポート ハロンズ 豪ドル/円、NZドル/円 2022年09月03日

週刊為替レポートハロンズ 豪ドルNZドル

執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次

 

上げ止まらぬインフレを背景にRBAはどこまで利上げする?少しでも弱気と見られれば豪ドルは売られる

今週の振り返り

今週の豪ドル/円、NZドル/円はともに底堅く推移しましたが、市場の注目が米国の大幅利上げ継続に向いていることで、米ドル中心の動きとなったことから方向感が見出せませんでした。29日に豪7月小売売上高が予想を大幅に上回ったことや原油逼迫懸念が強まったこと、30日には米ドル/円が約1か月半ぶりに139円台に乗せたことで豪ドル/円は96.20円前後、NZドル/円は85.65円前後まで上値を伸ばしました。その後は、米国の積極的な利上げ観測を背景に米ドル独歩高となりました。そのため、豪ドル、NZドルは対米ドルで売られるものの、米ドル/円が1998年8月以来24年振りの140円台に乗せるなど、高値を更新したことで豪ドル/円は94円台後半~95円台前半、NZドル/円は84円台後半~85円台前半での動きが中心となりました。

来週はRBA理事会。注目は今後に向けた声明?

来週は9月6日(火)に豪準備銀行(RBA)の理事会が開催されます。ここ最近の豪経済指標を見ると、貿易収支は2カ月連続で過去最高の貿易黒字を記録、小売売上高は6月に前月比+0.2%と消費行動に若干の陰りがみえましたが、7月は+1.3%と反発するなど豪州経済は力強さを保っています。他方で雇用市場に目を移すと、7月の豪雇用者数変化は-4.09万人と2021年10月以来のマイナスとなりましたが、おしなべて豪の雇用は堅調です。失業者数よりも最新の求人(5月)の数が上回っていることもあり、雇用者数の減少はRBAの金融政策に影響を及ぼすほどではないと受け止められています。4-6月期の四半期消費者物価指数(CPI)が前年比+6.1%と1-3月期の+5.1%からインフレは上伸しています。豪州のCPIが四半期ごとの発表(※10月から月次CPIの発表が開始される)ため、6月以降のインフレ動向は分かりません。ただ、豪以上の利上げを行っている米国の月次CPIを見る限りではインフレに歯止めがかかっていません。そのため、RBAが利上げペースを緩める事は考え辛く、今回も0.50%利上げを実施するものと考えています。市場では今後のRBAの方針を読み解くために、政策金利と同時に公表される声明にも注目が集まっています。8月は声明の中に「(利上げに関して)あらかじめ決まった道筋はない」という一文が加わったことが材料視されて、豪ドルは売られました。現在、米連邦準備制度理事会(FRB)のみならず、欧州中央銀行(ECB)、そして英中銀(BOE)までもが大幅利上げを続けるとの思惑が強まっています。このため、RBAの声明がハト派的と捉えられると豪ドルには強い売り圧力がかかって来ることが予想されます。
そのほかにも、来週は7日に豪4-6月期国内総生産(GDP)、8日に豪7月貿易収支の発表が控えています。RBAがタカ派的なスタンスを維持することを前提とするなら、これらの指標が強い結果となれば、10月のRBA理事会での大幅利上げ期待が豪ドルをある程度支える材料となりそうです。

中国の減速が懸念点

今週発表された中国8月製造業PMI、8月Caixin製造業PMIがともに好不況の境目と言われる50.0を割りこみました。9月1日には四川省の成都市にてロックダウンが導入されました。既に電力不足や河川の水位低下による物流の混乱など、中国経済の減速する懸念はありましたが、弱い経済指標とロックダウンはこの懸念を強めることとなりました。来週は5日に8月Caixinサービス業PMI、9日には中国8月CPIと生産者物価指数(PPI)が発表されます。中国の経済減速懸念を強める結果となれば、中国と交易関係が強く、資源国通貨の代表格である豪ドルには売り圧力がかかってきそうです。

来週も相場の中心は…?

現在の為替市場の中心は米ドルの動向となります。FRBの大幅利上げ継続を不安視させるような内容の米国の経済指標の結果が続かない限りは、基本的には米ドルの独歩高となりそうです。そのため、豪ドル/円、NZドル/円は今週同様に方向感が見出しにくい状況が続くと考えています。

テクニカル的には

8月8日以降、豪ドル/円のサポートとして機能している日足一目均衡表・基準線は
現在93.358円前後に位置しています。93.358円前後には週足の転換線もありますので、目先の下値目途として見ておいてよいでしょう。この水準を下抜けると、来週は6日(火)以降、一目均衡表の雲が93.10円前後で非常に薄くなっています。雲を下抜けて下落が加速するといったことも想定しておいた方が良さそうです。
一方で上値は執筆時点では引き続き8月30日高値の96.198円前後が目先の目途となりそうです。この水準を上抜けると6月8日高値の96.879円(年初来高値)、2015年1月高値98.12円前後を目指す動きとなるのではないでしょうか。

【豪ドル/円 日足チャート・一目均衡表】

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ:
AUD/JPY:93.00-97.00、NZD/JPY:83.00-87.00

9/5 週のイベント:

09/05 (月) 10:45 中国 8月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)
09/06 (火) 10:30 豪 4-6月期経常収支
09/06 (火) 13:30 豪 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
09/07 (水) 時間未定 中国 8月貿易収支
09/07 (水) 10:30 豪 4-6月期四半期国内総生産(GDP)
09/08 (木) 07:45 NZ 4-6月期四半期製造業売上高
09/08 (木) 10:30 豪 7月貿易収支
09/09 (金) 10:30 中国 8月消費者物価指数(CPI)
09/09 (金) 10:30 中国 8月生産者物価指数(PPI)

一言コメント:

先週、米国ワイオミング州で開催されたジャクソンホール会議にちなんで、東京都調布市にあるジャクソンホールというビアバーに行ってきました。一緒に行ったのが、10年ほど前まで一緒にサッカーをしていた、個人投資家のK先輩。K先輩曰く「ドル/円は140円台に乗せて、その後は達成感から下落」とのことでした(話をしていた時のドル/円は136円台)。予想の1週間後に140円乗せとなりました。お見事です。

nakamura.jpg 外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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