執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2022年8月19日 16時30分
米ドル/円は134円前半は押し目買い、PCEとパウエル議長講演のコントラストに注意
8月15日週の米ドル/円、136円台回復
世界経済への不安からコモディティ価格が下落した反動でドル高が進行したほか、タカ派な米金融当局者発言が手掛かりとなり、米ドル/円は136円半ばまで下値を切り上げました。途中、「ある時点で利上げのペースを緩めることが適切となる」との認識も示された7月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨を受けて、134円後半へ押し戻される局面もありました。
利下げけん制強化とPCEデフレーター下振れなら、不安定な値動きも
来週も、米成長とFRBの金融政策を巡る思惑が米ドル/円相場のドライバーとなりそうで、関連イベントから目は離せません。23日にはS&Pグローバルが公表する製造業・サービス業PMI、25日には米4-6月期国内総生産(GDP)改定値、26日には個人消費支出(PCE)、そして同日のパウエルFRB議長講演と続きます。鈍化している住宅市場、インフレピークアウト観測を高めた7月消費者物価指数(CPI)、好調だった7月雇用統計と新たな材料が蓄積する中で、パウエル議長の講演内容に投資家の関心は高まっています。
次回FOMCまでには消費者物価統計、雇用統計はあと1回ずつ発表がありますので、現時点で9月会合に言質を与えるとは考えづらいですが、市場にくすぶる早期利下げ観測に対し、これまで以上に踏み込んでけん制をするのかどうかや、今後の利上げペースやターミナルレート(利上げの最終地点)を巡り何かしらの方向性を示すのか注目となります。仮に、利下げ観測へのけん制のトーンが強ければ米ドル買い戻しが進むでしょう。
また、同議長講演の1時間半前に発表されるPCEコアデフレーターの結果も注目で、インフレ圧力緩和を示唆する結果が出ると、その後の議長講発言とのコントラストから米ドル/円相場を不安定にさせる危険もあり目が離せません。ただし、成長鈍化懸念から積極的に利上げできない英国やユーロ圏と比較すれば、米ドルにアドバンテージはありそうですので、一連のイベントを通じて結果的に下方向を試したとしても米ドル/円の下値は限定されるでしょう。
ドル/円、139円回復はお預け?
米ドル/円は、日足一目均衡表での三役逆転回避から、135.500円付近のレジスタンスライン突破を果たし上昇幅を広げる格好になっています。5日線と21日線もゴールデンクロスしており、テクニカル的には上昇のモメンタムは強そうです。目先の上値めどは、8月8日高値(135.568円)~同11日安値(131.732円)の下落幅の0.5倍返しとなる137.486円や倍返しとなる139.404円付近が意識されるポイントと考えますが、さすがに年初来高値を更新してくるには材料が不足しており、139円は遠いように感じます。138円台がせいぜいでしょう。また、下方向は134.500円付近からは投資家の押し目買いが優勢となるのではないでしょうか。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:134.000-139.000
8/22 週のイベント:
8/23(火) 22:45 米国 8月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
8/23(火) 22:45 米国 8月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
8/23(火) 22:45 米国 8月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)
8/23(火) 23:00 米国 7月新築住宅販売件数
8/24(水) 21:30 米国 7月耐久財受注
8/25(木) -8/27(土)米国ジャクソンホールミーティング
8/25(木) 21:30 米国 4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(前期比年率)
8/25(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
8/26(金) 08:30 日本 8月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
8/26(金) 21:30 米国 7月個人所得(前月比)
8/26(金) 21:30 米国 7月個人消費支出(PCE)
8/26(金) 23:00 米国 パウエルFRB議長、講演
8/26(金) 23:00 米国 8月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
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