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FX/為替「反逆の相場観 まわりに流されず掴んだ投資の鉄則」志摩 力男氏 FX特別インタビュー(後編)

FX特別インタビュー

以下の取材記事は個人の経験や考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。

今回は、毎週金曜の外為マーケットビューをはじめ、外為どっとコムが主催するセミナーにも何度も登壇いただいている、大人気講師の志摩力男氏にインタビューしました。後編では、ご自身の失敗談をはじめ、情報の分析で心がけていること、そして個人投資家へのメッセージを伺いました。

▼目次

1.今だから話せるトレードの失敗談
2.個人投資家がプロに近づくためには?
3.相場の見通しは「オリジナルティ」にこだわる
4.あの時、あの相場を作ったのは私です
5.頑張り過ぎない「投資」で生活を豊かに

1.今だから話せるトレードの失敗談

編集部
編集部:
ちなみに、失敗談やそこから導き出された教訓などあれば是非伺いたいです。
志摩様
志摩:
失敗は沢山あります。
時効だから言いますが、他の方には「トルコリラは絶対買ってはいけない」と何年も言っていたのに、アーバル中銀総裁(任期:20年1月~21年3月)が頑張っているのを見て評価しちゃったんですよね・・・
編集部
編集部:
まだ、お話の途中ですが、何だかイヤな予感がします。
志摩様
志摩:
それで、何を血迷ったのか金曜(21年3月19日)の夜中3時に少しだけトルコリラを買いました。ところが、その週末に総裁が解任されてしまったことで、週明け月曜日は大きく窓開けでスタートしたため、ロスカットされました。
編集部
編集部:
あれだけ、皆さんには「トルコは買っちゃいけない」と言っていたのに、これは皆さんを代表して身をもって体験したという事でしょうか。
志摩様
志摩:
トルコの闇は深かったです。結構損出してしまいましたね~
これまでロスカットなんてなかったので、初めての経験だったこともあり、その時ばかりは「あれ?」となりました。
編集部
編集部:
でも、分析のプロでもあり、実績を積まれている志摩さんでも、読みが大きく外れてしまうことってあるのですね。
為替の予想は奥深い世界ですが、そこにまた魅力があるのかもしれませんね。
志摩様
志摩:
そうですね。まぁ、でも当面、トルコは買いませんってのが教訓です(笑)。

2.個人投資家がプロに近づくためには?

編集部
編集部:
プロでも毎回正確に予想することが難しい為替相場ですが、プロと個人投資家では戦略や情報分析ってどのような点が異なるものでしょうか?
志摩様
志摩:
プロの方が情報は入りやすいことは否めませんが、個人投資家でも色々な情報を簡単に取得できるようになったので、大分状況は変わってきましたね。
編集部
編集部:
それでは、個人投資家はどのような状況を参考にすれば、よりプロ寄りの目線で相場と上手に付き合うことができるのでしょうか?
志摩様
志摩:
私はCNBC(ニュース専門放送局)をずっと見ていますね。
やはり、各国の高官が話す内容は最先端の情報ですから、きちんと聞いて状況を把握できるようにしています。 また、トレーダーやファンドマネージャーなどの話も、「この人の考えは鋭いな」と思う人がいれば、参考にしています。
編集部
編集部:
最新の金融・経済等の情報をいち早くキャッチするために情報メディアをうまく活用してそれをベースにトレードシナリオを組み立てていらっしゃるのですね。
ところで、志摩さんは個人投資家になられて、投資スタイルに変化はありましたか?
志摩様
志摩:
使えるツールが違うという事があげられますが、昔に比べて私が変わったというよりも為替相場自体が変わってきましたね。
ひと昔前はマーケットの動きがあまりなかったので短期売買がメインでしたが、最近はまた動き出してきたので、スイスフランや米ドルなんかをロングしたいと思っています。

3.相場の見通しは「オリジナルティ」にこだわる

編集部
編集部:
この円安トレンドはしばらく続くと見ている方が大勢ですが、志摩さんは為替相場の見通しを語るうえで、大切にされていることなどありますか?
志摩様
志摩:
人の真似ではなく、自分自身のオリジナルであることですかね。
他の方の見通しも見ることはありますが、それを元にトレードアイディアは出しません。
編集部
編集部:
でも、自分で導いた相場見通しが、他のアナリストとちがった場合には不安になったりしないのでしょうか?
志摩様
志摩:
気にならない人はいないとは思いますが、私は他の方と自分の見通しが異なる時は安心しますね。
「よし!自分だけが儲かる」と思っています。反対に皆と同じ見通しだった時には不安になりますね。
編集部
編集部:
普通の個人投資家とは相場との向き合い方がやはり違いますね。
数々の相場を潜り抜けてきた、投資経験豊富な志摩さんだからの考えかもしれませんね。
大方はせっかく見通しを立てても、他の方とのギャップがあれば弱気になると思います。
志摩様
志摩:
そうですか!?
でも、「この人はトレード上手ではないな」と思う人と、見通しが一緒な場合だと、マズイと思って、自分の見通しのどこかに見落としはなかったか探すかな(笑)。
まぁ、半分冗談ですけどね。

4.あの時、あの相場を作ったのは私です

編集部
編集部:
そういう事にしてきましょう。
さて、これまで数々の相場の荒波を経験されてきた志摩さんですが、一番記憶に残っているトレードについて伺いたいです。
志摩様
志摩:
沢山ありますが、やっぱり若いときに初めて沢山儲けた時の記憶ですね。
1990年の話ですが、その年は4月にドル/円は160円の高値をつけましたが、秋にかけてどんどん下げてきて、135円台から140円台でもみ合いが続いていました。
ゴールドマン・サックスの見通しとしては、ここらでドル/円は上がると予想していましたが、私自身は135円台を下抜けたら急落すると見ていました。
編集部
編集部:
おっ!つまり、会社の見通しとは違うということですね。結果が気になります。
志摩様
志摩:
135円台を割れた瞬間に短期のドルプットオプションを大量に買いました。132円ストライクを100本、130円ストライクを100本、128円ストライクを150本と合計350本。それまで1億7千万ほど利益が出ていたので、その多くを突っ込みました。
編集部
編集部:
1億7千万!!!
志摩様
志摩:
これなら、オプションのプレミアムに1億円を全部使ったとしても上司を説得できる、これはチャンスだ!いま、ここで結果を出せばトレーダーとしてもステージを上げられると思うわけですよ。
実際にこのあとにドル/円のレートは123円台まで下げたので、瞬間的に12億円くらいの含み益は出ていましたね。
編集部
編集部:
話を聞いているだけでワクワクします。
志摩様
志摩:
まぁ、しっかりとオチもあります。124円台でもみ合いが続いて、もうこれ以上は下がらないと思ったので、買い戻そうとしたら、皆も一緒に買い戻すこととなり玉が膨れちゃたんですよね。
600本のプライス(買い戻しの値段)を各銀行に聞いているうちに、「ゴールドマン・サックスが動いている」と噂になって、どんどんレートが上がっていっちゃったんです。
編集部
編集部:
プット・オプションなら、上昇しちゃうと利益が減っていっちゃいますもんね。ハラハラですね。
志摩様
志摩:
そうなんですよ。結局125円で買い戻したのですが、そのあとに相場は一段と跳ねていました。あそこのボトムは僕が作ったもんだと思っています。
編集部
編集部:
「為替相場を動かした」なんて何だかとてもカッコいいです。
志摩様
志摩:
まぁ、利益は半分くらいになっちゃいましたけどね(笑)
でも、それも含めていい思い出です。

5.頑張り過ぎない「投資」で生活を豊かに

編集部
編集部:
色々とトレードの昔話も聞けたところですが、そもそも志摩さんにとって「トレード」とはずばり何でしょう?
志摩様
志摩:
格好いい言葉で言えば、「自己表現」ですね。
マーケットはこう動いていくだろうと考えるわけですが、その「表現」としてトレードしています。
あくまで「自己表現」としてトレードしているので、儲けようとかいう意識は他の人よりも薄いかもしれません。だから、私はスキャルピングとかはできないですね。
編集部
編集部:
その強いポリシーがあるからこそ、長い間、第一線で投資家として活躍されていらっしゃるのでしょうね。
今年の4月から高校生の金融教育がスタートしましたが、これから投資や基本的な金融商品の知識等を学んで、金融業界に興味を持つ若手投資家がどんどん増えてくれると、金融業界もますます活気づきますね。
志摩様
志摩:
そうなると嬉しいですね。でも、投資の勉強も大切だとは思うのですが、正直な話、投資教育よりも教育そのものが欠けているのではないかと感じる時があります。
編集部
編集部:
たしかに、投資は自分の大切な資産を使うわけですから、投資知識がどうこうと言う前に基本姿勢を身に付けることはとても重要なのかもしれません。
志摩様
志摩:
すみません。あくまで私が感じたところです。
編集部
編集部:
でも、そのように噓偽りのない発言をしてくれるからこそ、毎週金曜日に動画で入稿いただいている外為マーケットビューでも、しっかりとファンがついてくるのだと思います。
それでは、最後に個人投資家の皆さんへ向けてのアドバイスをお願いします。
志摩様
志摩:
力が入っている人が多いですが、「投資」って特別なことではない、ということです。10年前はドル/円が75円台を付けるなど、日本円が強かったですが、今は弱くなっていますよね?
アメリカ株も強かったですが、金利上昇に伴って、下落していくでしょう。これは自然なことで、投資ってこの自然の流れにちょっと参加するだけなんで、特別なことではないです。

もう少し方の力を抜いて生活の一部として捉えてみてください。気楽にというのも変な話ですが、自分の収入の一部なりを、長期的に積み立てることでリターンはあります。
まずは難しく考えずにその基本さえしっかり出来ていれば、投資ともっと楽しく付き合えると思いますよ。
編集部
編集部:
基本が出来ていないと投資を楽しめないどころか、当初の目的から脱線してしまいそうですもんね。
志摩さん本日はありがとうございました。

PickUp編集部より

後編では、為替相場を分析する上で重要視していることや相場との向き合い方、そして個人投資家に向けたメッセージなどを伺いました。皆様のトレードスタイルの確立にお役に立てれば幸いです。

投資の真髄がここにある!伝説のディーラー列伝 インタビュー記事まとめ

志摩力男氏96_130.jpg 志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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