高金利通貨であるメキシコペソについて、中長期にわたり買いポジションを保有する視点で、現在を分析します。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
メキシコペソ/円 上昇・下落のパワーバランス
メキシコペソ/円をトレードするうえで重要となる経済指標やイベントを個別に点検します。
本日(7月28日)6月分発表!
5月の失業率は3.27%へ悪化。3月に2.97%とコロナ前の2020年3月以来の水準まで改善したが、その後は2カ月連続で悪化している。6月分の市場予想は3.37%。
2021年6月以降9会合連続で合計3.75%の利上げを実施し政策金利は現在7.75%。国内のインフレを抑制をするために、「必要ならばさらに利上げを行う」とタカ派的スタンス。次回は8月11日発表。ロペスオブラドール大統領が利上げに懸念を表しているため、警戒感を持っておきたい。
7月7日に発表されたメキシコの6月消費者物価指数(CPI)は前年比+7.99%と2021年11月からインフレ率は8カ月連続7%台で8%乗せは時間の問題。7月22日発表の各週CPI(前年比)では8.16%とついに8%台に乗せた。高止まりするインフレは政策金利の上昇の一因とはなるものの、国民の家計には厳しい…
世界的な経済減速懸念は根強い。資源国のメキシコから見ると資源価格の下落はマイナス材料。メキシコは隣国の米国との経済的な繫がりが強いため、米国の景気動向を表す経済指標には注意が必要。米国の経済減速懸念が強まるとメキシコペソには売り圧力がかかりそうだ。
メキシコのエネルギー政策に対し、アメリカ・メキシコ・カナダ(USMCA)協定に違反していると、米・加から協議を求められている。メキシコ経済省は協議での解決に前向きな姿勢を示す一方で、ロペスオブラドール大統領は「違反していない」と主張している。最悪の場合は関税等が課される可能性もあるため、協議の行方を見守りたい。
パワーバランス まとめ
メキシコ中銀は政策金利を7.75%まで利上げした。利上げ前にはインフレ率が中銀目標(3%±1%)の遥か上で高止まり。メキシコ中銀は「必要ならさらにやる」と強気。6月のCPIが上伸していたため、引き続き大幅利上げを実施する可能性が高い。米国との経済的な繫がりが強いため、米経済指標には注意が必要。またエネルギー政策に米加が協定違反を指摘していることは懸念材料。
メキシコペソ/円、いまが買いどき?
国内の高インフレからメキシコ中銀は利上げサイクルを継続。上伸するインフレ率を背景に次回8月の会合でも大幅利上げが実施される可能性が高い。労働市場は3月に2020年3月以来の低水準を記録したが、その後はじりじりと悪化している。警戒点は、世界の主要国がこぞって利上げ(金融引き締め)を実施していることによる世界経済の減速。特に経済的に繋がりの強い米国経済が減速を示すような材料(経済指標の悪化や要人発言)が出てくると、資源国通貨であるメキシコペソにはネガティブな材料となる。メキシコのエネルギー政策に米・加が懸念を示していることも警戒材料。
経済指標予定
7月28日 20:00 メキシコ6月失業率
7月29日 20:00 メキシコ4-6月期国内総生産(GDP)
8月01日 23:30 メキシコ7月製造業購買担当者景気指数(PMI)
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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