総括
FX「指標悪化、停電、大統領の脱税疑惑」南アランド見通し
通貨4位、株価7位
予想レンジ 南アランド円 8.0-8.5
（ポイント）
＊通貨番付は2位から4位へ落ちる
＊計画停電の拡大あり
＊経済指標が悪化
＊ラマポーザ大統領の強盗事件に関わる疑惑あり
＊5月消費者物価は6.5％とインタゲを上抜く
＊追加利上げ観測が高まっている
＊ロシア産原油の輸入を計画している
＊貿易・経常収支は黒字が継続
＊1QのGDPは予想より強い
＊政策金利を予想通り0.5％引き上げ、4.75％へ
＊上海経済再開もランドを支えた
＊失業率は35％と高い
＊アフリカ開銀はアフリカ大陸でのスタグフレーションを示唆
（通貨番付12通貨中2位から4位へ順位を下げた）
先週は年初来で12通貨中2位から4位へ順位を下げた。エスコム労働者のストによる計画停電の拡大、経済指標の悪化、ラマポーザ大統領の強盗事件に関わる疑惑などがランドを下落させた。
（エスコム労働者のストと停電拡大、ワイルドキャットストライキ）
エスコム労働者の賃金引上げのためのストライキで電力施設の稼働が不能になったが、ゴーダン公共企業大臣の仲介で交渉のテーブルに着くことになったが、労働者は15％の賃上げ要求、経営者側は7％の賃上げ回答と隔たりはうまらない。エコノミストはこれ以上の停電は格下げに繋がると示唆している。
（消費者信頼指数と製造業PMI悪化）
2Q消費者信頼指数は、マイナス25ポイントに低下し、史上最低レベルに近づいた。コロナ禍で2020年の第2四半期のマイナス33ポイントへの低下したことを除いて、30年以上で最も低いレベルとなった。またアブサの6月の製造業PMIは52.2と前月の54.8から低下した。国内の需要と活動の勢いが鈍化した。
クワズールー・ナタール州での洪水による供給網の問題が続いているほか、停電が生産を圧迫したと分析している。
（選挙に影響か、大統領の農場で発生した強盗事件へ大統領の脱税疑惑で捜査開始）
政治ではラマポーザ大統領の農場で発生した強盗事件から同大統領にさまざまな疑惑が浮上していることについて、与党内外から大統領の説明責任や退陣を求める声が上がっている。警察当局が今回の事件に関する調査を開始したと報じた（ラマポーザ大統領が保有する商業狩猟農場内の大統領邸に強盗が入り、ソファのクッションから約400万ドルが盗まれたというもの。大統領は警察に捜査を依頼するのではなく、大統領警護部隊（PPU）を違法に使って容疑者を捕縛・尋問し、申告していない現金の存在（脱税）を隠すために賄賂を渡して釈放したという）。
今回の事件が12月のANC総裁選挙にどの程度影響を与えるか注目される。なお、南アでは2024年に国民総選挙も予定されている。
テクニカル分析（ランド/円）
4日連続陰線と弱く、雲の中へ、5日線、20日線下向く
日足、4日連続陰線と弱く、雲の中に落ちる。6月28日-29日の下降ラインが上値抵抗。5月12日-7月1日の上昇ラインがサポート。5日線、20日線下向く。
週足、6月6日週の長い上ヒゲが効いて伸び悩む。5月16日週-6月27日週の上昇ラインがサポート。6月6日週-27日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、6月は上昇スタートも3月、4月同様に上ヒゲが長い。1月-3月の上昇ラインがサポート。5月-6月の上昇ラインを下抜く。
年足、21年はかろうじて陽線。22年も陽線スタート。18年-21年の下降ラインを上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
喜望峰
BRICSと南アの貿易
2021年の南アの輸出のBRICS諸国向けが17％、輸入は29％。BRICSは重要な貿易相手国であり、貿易量は増加し続けている。BRICS諸国との南アフリカの貿易総額は、2017年の487億ランドから、2021年には7200億ラントに達した。
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