執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼ユーロ/円、三角もち合い上振れなら138.30円付近へ上伸か。ポンド/円は景気後退で売り目線
- ▼05月23日週のユーロ/円、ポンド/円は方向性の見定めづらい展開
- ▼ユーロ、短期的な戻り地合い続きそう
- ▼英利上げ観測は維持されているものの・・
- ▼ユーロ/円、レジスタンス上抜けでもう一段高も
- ▼ポンド/円は売り目線を継続
- 05/30 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2022年05月27日 14時00分
ユーロ/円、三角もち合い上振れなら138.30円付近へ上伸か。ポンド/円は景気後退で売り目線
05月23日週のユーロ/円、ポンド/円は方向性の見定めづらい展開
ユーロ/円は、7月の理事会でECBが大幅な利上げに踏み切るとの観測と、株安を受けた円買いバイアスが交錯して、134.660円~136.798円(執筆時点)で振幅しました。また、ポンド/円は、英国のスタグフレーション不安がくすぶり、一時157.991円まで下げる局面はありましたが、同水準からは買い拾われ160.829円まで戻すなど、明確な方向性は出ませんでした。
ユーロ、短期的な戻り地合い続きそう
23日、ラガルドECB総裁が「第3四半期末までにマイナス金利を脱する」と述べ、7月・9月の利上げ方針を示したほか、他のメンバーもこれに追随する発言を繰り返しており、ECBの引き締めの外堀は完全に埋まった様子です。ひょっとしたら利上げ幅が想定以上に広がる可能性も考えられ、投資家はなかなかユーロ売りを仕掛けづらい状況のようです。底堅い動きが続きそうです。もっとも、景況感悪化を示唆する指標結果も散見されており、見通しへの不透明感はなくなっていません。
これは余談ですが、今回の一連の当局者の発言を振り返ると、利上げで先行している米英が高インフレで金融政策の舵取りが困難な様子をみて、経済が大きく痛まないうちに金利を上げられるところまで引上げ、政策の自由度を保っておきたいとの当局側の思惑も伝わってきそうです。話を戻しますが、30日のドイツ5月消費者物価指数、31日のユーロ圏5月消費者物価指数(HICP)がインフレ加速を示せば、利上げ拡大の思惑からユーロがもう一段買い戻されても不思議はなさそうです。
英利上げ観測は維持されているものの・・
ポンドはドル安の流れから、相対的に下値を緩やかに切り上げる格好になっています。イングランド銀行が、6月も連続利上げに踏み切るとの観測も支えになっているとの声も聞かれます。しかし、5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)が4月の58.9から51.8へ急低下し、景気拡大・縮小の分かれ目である50へ迫っています。公共料金の値上げなどで、生活困難者が増加し4-6月期成長はマイナスに陥る可能性が高く、スタグフレーションの現実味は増しています。
英政府は、最貧困層に650ポンドを支給する案を掲げていますが、景気減速に歯止めがかかるとは思えません。財源も石油・ガス企業の利益に超過利潤税を課して賄うとしているため、企業の投資計画に影響を及ぼす可能性もあり、経済回復はまだ先になりそうです。ポンド買いを安易に手掛ける地合いとは考えづらく、戻り売り目線を維持したいと考えます。
ユーロ/円、レジスタンス上抜けでもう一段高も
切り上がる日足一目均衡表・雲の上限に連動して下値切り上げの動きが続いています。4月21日高値140.004円を起点とする下降レジスタンスラインも上抜けつつあり、足元は底堅さが窺えます。同ラインを明確に突破できれば、次は5月高値138.320円レベルを目指しそうです。ただ、先ほどの雲上限はこの先、137.100円付近で頭打ちになる見込みでサポート力はこの先増大しづらい点には注意です。138円台を回復しても、そこからの上乗せ幅は限られるかもしれません。短期は買い回転ですが、138円台は戻り売りで構えたいと思います。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:135.500-138.500
ポンド/円は売り目線を継続
切り上がる一目均衡表・雲の下限が支持線になり、ポンド/円は下げ渋っています。ただ、上方向は161.749円(26日時点)の一目・基準線にキャップされて上値の重さは健在です。再度、雲下限レベル159.703円(26日現在)を割り込んで来れば、もう一度200日移動平均線が推移する155.500-600円付近を目指す危険はありそうです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:157.500-161.500
05/30 週のイベント
05/30 (月) - EU首脳特別会合(ブリュッセル、-31日)
05/30 (月) 18:00 ユーロ 5月 経済信頼感
05/30 (月) 18:00 ユーロ 5月 消費者信頼感(確定値)
05/30 (月) 21:00 ドイツ 5月 消費者物価指数(CPI、速報値)
05/31 (火) 16:55 ドイツ 5月 失業率
05/31 (火) 17:30 イギリス 4月 消費者信用残高
05/31 (火) 18:00 ユーロ 5月 消費者物価指数(HICP、速報値)
06/01 (水) - ECB総裁や中国人民銀総裁、パネル討論会に参加
06/01 (水) 18:00 ユーロ 4月 失業率
06/02 (木) 18:00 ユーロ 4月 卸売物価指数(PPI)
06/03 (金) 18:00 ユーロ 4月 小売売上高
一言コメント
時代は無線とのこと。フランスのAFP通信社によれば、23日に、米ニューヨーク市最後の公衆電話が撤去されたという。マンハッタン7番街50丁目の角といった好立地条件だったが、通信手段が無料WiFiや携帯電話へ移ったため、利用される頻度が極端に低下していことが要因だとしている。
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