目次
▼今週の振り返り
▼堅調な労働市場がRBAに圧力をかける
▼資源の逼迫は豪にとってはチャンス
▼テクニカル的には…
▼3/21 週のイベント
▼一言コメント
堅調な労働市場と資源の逼迫が豪ドルを支える
今週の振り返り
3月13日に北京パラリンピックが終了するとともに、はかったかのようなタイミングで中国国内にて新型コロナオミクロン株の感染が拡大。複数の都市がロックダウンで閉鎖となり、中国経済の減速懸念が浮上。14、15日に中国株が総じて大崩れしたことで、中国と交易関係の強い豪ドルも売り圧力がかかり一時84.60円付近まで下押ししました。その後、中国が景気浮揚策を打ち出す方針を示したことや、16日のFOMCで米国が利上げを開始したとともに予想以上にタカ派に傾倒していたこと、17日の豪雇用統計が予想を大きく上回る好結果だったことで、87.70円付近まで大きく上昇することとなりました。NZドルも豪ドル同様に週初は中国経済の減速懸念から79.40円(執筆時)まで下押ししましたが、その後はコモディティ価格の反発もあり81.86円(執筆時)まで上値を伸ばしました。
堅調な労働市場がRBAに圧力をかける
2月の豪雇用統計は雇用者数が7.74万人増、労働参加率が66.4%と史上最高、失業率は4.0%と2008年3月、8月以来の低水準となりました。1月分は調査期間が新型コロナオミクロン株の感染拡大期間と被っていた影響から低調な結果となりましたが、感染拡大が下火となった2月には労働市場が大きく反発したことを示しました。なかでも雇用者数は正規雇用者数が12.19万人増と前月の0.61万人減(1.7万人減から上方修正)から大幅反発。正規雇用者数の上昇は賃金上昇率にも良い影響を与えるはずですので、この傾向が続くようですと「豪準備銀行(RBA)も利上げ開始時期を前倒しにするのではないか?」と言う思惑が現実味を浴びてくると思います。市場の期待が高まりすぎてくるとRBA当局者が熱を冷ます発言をする可能性はありますが、市場ではこのままのペースであればRBAは遅くても夏には利上げを開始することが織り込まれています。基本的には豪ドルは上昇サイクル継続とみてよいと思います。
資源の逼迫は豪にとってはチャンス
来週は主要国で注目度の高い経済指標の発表がありません。コモディティ価格や株価が豪ドル相場を主導することとなりそうです。ウクライナ情勢の長期化に伴い、原油や天然ガスといったエネルギーや穀物、鉱物といった資源の逼迫懸念は根強いです。仮にウクライナ情勢が解決したとしても、ロシアに対する制裁が即解除されるとは考えにくいため、資源の供給がすぐに回復することはないでしょう。そういった面から見ても、当面の間はコモディティ価格は底堅く推移することとなりそうです。そのうち、世界各国で高インフレによる買い控えなども起こり、需要の低下から価格が落ちることも考えられますが、まだその局面ではないように思えます。また、オーストラリアはウクライナ情勢で供給量が減った小麦や天然ガス、石炭などの資源を有しているため、ヨーロッパを中心に代替輸入先として注目されています。資源の輸出量が増えれば豪経済にとってはプラス材料になりますので、豪ドルにとっても支援材料となりそうです。
テクニカル的には
先週まで上値目途としていた2021年5月10日高値の85.800円から同年10月21日高値の86.252円のゾーン(図の橙色帯)がをしっかりと上抜けました。今後はこのゾーンが下値目途となりそうです。上値は2018年1月に89.00前後(上下10銭程度)で上値が抑えられていますので、まずはここが一つの目安となりそうです。その上の水準では節目となる90.00円が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足チャート 一目均衡表】
予想レンジ:
AUD/JPY:85.50-90.00、NZD/JPY:80.00-83.00
3/21 週のイベント:
03/21 (月) 06:45 NZ 2月貿易収支
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
一言コメント:
春も近づき気候も良くなってきました。ということで、運動不足解消のためにお昼休みにお散歩を始めました(まだ2日目)。大体20分で行って、20分で帰ってきて、20分で昼食といった時間配分で考えていますが、今日は早速おいしそうなパン屋さんを見つけてお土産を買ってしまいました。そのうち美味しいお店屋さん探しに目的が変わりそうです…(汗)
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。