豪経済に光は見える！でもまだまだ遠い…
今週は…
豪ドル・NZドルともに週初は米株価の下落を受けたリスクオフの売りに、週央から後半にかけては中国不動産セクター大手のデフォルト懸念を受けたアジア株の下落に頭を抑えられる形となりました。16日に発表された豪雇用統計の予想を下回る結果（内容）も豪ドルを抑える要因に。他方で、NZは4-6月期GDPが予想を大幅に上回り、ロックダウン前の数字とは言え、NZ経済の力強い回復を印象付ける結果となりました。
遠くに見える明かり…
豪ドル、NZドルともに注目の経済指標も少なく、米株価動向が大きく影響を与えてきます。その米国では23日にFOMCが予定されていますので、米ドルや米株価の動きには要注意となります。
豪ドル独自の材料を見ますと、今週発表された経済指標では、豪雇用統計の結果を見てもわかる通り、長引くロックダウンの影響は雇用に多大な影響を与えています。ただ、NAB企業景況感やウエストパック消費者信頼感は前回よりも上振れしています。ロックダウン継続中の地域はあり、ニューサウスウェールズ（NSW）州を中心に新規感染者数は高止まりしていますが、ワクチン接種状況の進展（16日時点で1回目完了：69.8%、2回目完了：44.7%）とともに企業、消費者心理は上向き始めています。とは言え、NSW州のロックダウンは今月末まで、同州首相が目標としている70%（2回目完了）は10月半ばに達成する見通しとなっていますので、明るい兆しは見え始めたもののまだ道半ば。豪ドルは引き続き上値の重い展開となることが予想されます。
他方でNZは…
13日にNZ政府は最大都市オークランドのロックダウンを21日まで延長することを発表しました。ただ、市場ではオークランド以外の地域でのロックダウンが7日に解除されたことや、日々の新規感染者数が減少傾向にあることから、10月のNZ準備銀行（RBNZ）理事会での0.25%の利上げがほぼ織り込まれた状態となっています（一部では0.5%の利上げの可能性も浮上しています）。対米ドルや対円では株価動向に大きく左右されますが、同じオセアニア通貨の豪ドルとは、今月7日にハト派的なテーパリングを開始した豪と、8月18日にタカ派的な据え置きをしたNZとの差は歴然としています。今週16日に発表されたNZ4-6月期GDPも予想の前期比+1.1%を大幅に上回る同+2.8%とロックダウン前のNZ経済の好調さを証明する結果となりました。“NZ国内の新型コロナの新規感染者数の減少傾向が続き、ワクチン接種率が引き続き上昇するなら”との条件付きにはなりますが、対豪ドル（AUD/NZD）ではNZドルが買われやすい状態が当面続きそうです。
リスク要因…
中国では、不動産開発大手の中国恒大集団（チャイナ・エバーグランデ・グループ）の債務不履行（デフォルト）リスクが高まっています。同社は約2兆元（≒3050億ドル≒33.5兆円）の負債を抱えていると言われていますので、破綻となると関係企業だけではなく、中国不動産業界にも多大な影響を与えることとなります。このところ中国の経済指標への感度が下がっている豪ドルですが交易関係は依然として強いため、中国恒大集団の破綻が引き金となり中国経済の大混乱となれば豪ドル売りに波及することが予想されます。特に中国は来週の前半（19日～21日）は中秋節で連休となります。市場参加者が減少している中で何か起これば…大パニックになる可能性もありますので要注意です。
テクニカル的には…
豪ドル円は5日移動平均線と21日移動平均線がデッドクロスしているため、短期的には売り圧力がかかってきそうです。日足・一目均衡表を見ますと、木曜日（23日）以降は雲が急激に下げていることから、上値が徐々に重くなることが予想されます。上値は転換線や雲、下値は8月20日安値の77.90円が目途となりそうです。
予想レンジ：
AUD/JPY：78.00‐81.50、NZD/JPY：76.00-79.00
9/20 週のイベント:
09/20～21 中国 中秋節で祝日休場
09/21 (火) 10:30 豪 豪準備銀行（中央銀行）、金融政策会合議事要旨公表
09/24 (金) 07:45 NZ 8月 貿易収支
（執筆：中村 勉）
一言コメント：
先週末にNFL（アメリカンフットボール）のシーズンが開幕しました。私もひいきチームの試合を観ましたが、テレビをつけてびっくり！約7万人収容のスタジアムがほぼ満席（に見える）で、マスクを付けている人は見当たらず、大声で歌って応援して。。。一応、ワクチン未接種の人はマスク着用が義務付けられているようですが、「本当に大丈夫か？」と心配になってしまいました。以前はJリーグやプロ野球を観にスタジアムに足を運びましたが、まだ「羨ましい」という気持ちは芽生えていないです。
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