先週まで、アメリカの金融政策に変化が出てきて、これから基本的にはドル高の展開になる可能性が高いという話をしてきましたが、この1週間を見ると、なかなかそういう動きになっていません。どうしてか?
ドル高の流れを止めることになったのは、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言でした。このジャクソンホールでの会議が行われる前に、多くのFRB関係者が年内のテーパリングの可能性に言及していたので、パウエルFRB議長が何かそれについて具体的な話をするのではないかという期待感が高まっていたからです。
実際の講演は、それまでの人達の発言とほぼ同じ内容でした。しかし、市場関係者は、年内のテーパリング開始という表現では飽き足らず、例えば、来月には決めたいというようなもっと踏み込んだ発言をしてくれないかな、と勝手に期待していたために、発言の内容にがっかりしてしまったということです。パウエルFRB議長は当たり前のことを言ったに過ぎないのに、市場が勝手に盛り上がって、そしてがっかりしまうということになってしまったということです。実は、何か注目材料が出来たとき、市場が勝手に盛り上がりすぎてしまうことはよるあることで、今回も同じだったなという印象です。
さて、この1週間の注目は何と言っても、9月3日(本日)に発表されるアメリカの雇用統計8月分です。FOMCでは、この雇用環境の改善具合を金融政策を決める重要なポイントに位置づけにしているので、注目度はより高まっています。現在の市場予想は、失業率が5.2%、非農業部門就業者数は前月比75万人の増加となっています。再びドルが上昇してくるためには、特に非農業部門の就業者数が予想を上回ることが必要ですので、注目をしておきたいと思います。
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【インタビュー】
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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