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世界景気回復で円安、ただマイナス金利深堀や個人消費の長期低迷は円高要因

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総括

世界景気回復で円安、ただマイナス金利深堀や個人消費の長期低迷は円高要因

ドル円=102-107、ユーロ円=125-130 、ユーロドル=1.19-1.24

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨11位(最下位)位、株価2(4)位、世界景気回復で円安、ただマイナス金利深堀や個人消費の長期低迷は円高要因」
先週はメキシコペソを抜いて通貨最下位から脱出した。ただまだ全体的には弱い。弱い円が強い日本株を生み出していることは日本経済にとって良いことだろう。一時的かもしれないが、海外の金利上昇で
20年度下半期には外貨投資には消極的な姿勢を示していた日本の機関投資家が動き出している。ただそれは長く続かない。一定額、投資を増やせば止まってしまう。しかし昔のような急激な円独歩高にはならないことは、最近の貿易収支が黒字でも赤字でも少額に収まっていることにある。
 気になるのは日銀が3月の政策決定会合でマイナス金利深掘りをする話が出ていることだ。貸付より預金がはるかに大きい日本で債務者を優遇するより預金者を優遇した方が景気回復に効率的だ。
マイナス金利深掘りでは、可処分所得が減少し個人消費が伸びない。それは2016年のマイナス金利導入時と同じだ。個人消費が伸びなければ輸入も伸びず貿易黒字が拡大し円高となってしまう。
もちろん、日銀が株買いをセットにすれば、株保有者は潤う。株を持たない人は、さらに事態が悪化する。日銀の株買いには批判も出て金額を減少すべきとの声も出ている。2021年は世界的なコロナ感染からの回復が予想されリスク選好の流れとなり日本にも好影響がでているが、日銀のマイナス金利深堀りや、株買い減額はその流れに水を差すだろう。

*米ドル「通貨8(5)位、株価(NYダウ)9(9)位、米ドルは中長期的に強くなれない」
 コロナ接種の開始もあり、世界経済は2021年には大きく拡大する。リスク選好の流れでドル安円安が進んでいる。1月では米景気刺激策で金利が上昇する思惑でドルが上昇したが、2月には売られている。膨大な貿易赤字を抱えている米国のドルを持ち上げるのは難しい。難しいからこそドルは360円から75円まで下落してきた。米景気が回復しても、米金利が上昇しても貿易赤字でドルが中長期的に上昇することはなかった。
 FRBからも米景気の加速を予想する総裁が出てきている。不安は雇用だが、雇用は国内の問題であり、全体的に成長すれば為替には大きな問題とはならないだろう。欧州首脳も中国首脳もバイデン新大統領で開かれた外交が復活するとしている。
 バイデン米政権は、連邦政府が定める労働者の最低賃金を時給7.25ドルから2倍の同15ドルへ引き上げる検討に入った。引き上げが実現すれば12年ぶり。12年間で物価は2割近くも上昇しており、低所得層の賃上げの要望は強い。ただ、共和党は「雇用を損なう」と反対しており、賃金論争は米国の分断を色濃く映すかもしれない。

*ユーロ「通貨10(11)位、株価11(10)位(DAX)、ECBがユーロ高懸念、ただECBは実際に売り介入をしたことは1ユーロ=1.6台でもない」
 ユーロは全体では弱いのだが、対円では前週の0.75%高から先週末は1.55%と上伸したので強く見えるかもしれない。2月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)は、総合指数が48.1となり、前月の47.8から上昇した。12月のユーロ圏の経常黒字は367億ユーロとなった。前月の251億ユーロ、前年同月の201億ユーロを大幅に上回った。
 さて1月のECB理事会の議事要旨で、政策当局者らはユーロ上昇に改めて懸念を示す一方、このところの国債利回り上昇については楽観視していたことが分かった。
新型コロナウイルスの新たな感染拡大が域内経済へのリスクになるとして大規模な量的緩和の維持を決定した。また、経済の下支えに向け低金利の継続を再確認した。理事会はユーロ高が輸入品の価格下落と輸出競争力の低下を招く恐れがあることから、為替レートへの懸念を表明した。議事要旨では、「ユーロ圏の金融情勢、ひいてはインフレ見通しに悪影響を及ぼす可能性がある為替レートの動向について、懸念の声が上がった」ほか、「十分な金融刺激策が引き続き不可欠」とされた。ただECBは口先介入は行うが、実際の売り介入は行わないのがユーロ発足以降の歴史だ。買い介入は発足時に急落した時と日銀からの円高抑制の要請で円売りユーロ買いの協調介入したことはある。

*ポンド「通貨2(3)位、株価9(10)位、堅調、22日にロックダウンの解除行程発表」
 先週もさらに上昇し、12通貨では2位を維持した。2016年のEU離脱国民投票からの売りの巻き戻しが基礎にある。それを示す報道もあった。日産が、今後数年で英国内の工場に10億ポンド超を投資する計画を明らかにした。英国経済の落ち着きを見て撤退した企業や人材が戻ることは考えられる。直近では2月の総合購買担当者景気指数(PMI)が49.8と前月の41.2から大幅に上昇し、予想の42.2も上回った。
 またジョンソン首相が、国内で新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、ロックダウンの解除行程について22日に発表するとしたことも好感された。
また学校の対面授業を3月8日付で再開できるよう、あらゆることを実施すると語った。このほか、英国民がワクチン接種証明を提示すれば円滑に国外に渡航できるよう、関係各国と協議していると表明。英国ではこれまでに人口の約4分の1に当たる1506万人が1回目のワクチン接種を受けた。接種ペースは世界で最も速い。

*豪ドル「通貨3(5位)、株価8(5)位、鉄鉱石・LNG価格上昇と金利上昇が豪ドルを支える」
 1月はバイデン米新政権誕生とその大規模景気対策でドル高豪ドル安となったが、2月は逆転した。対中関係悪化でも、豪産出の鉄鉱石、LNG価格が上昇し豪ドルを支えた。貿易黒字も維持している。豪住宅価格の上昇で豪金利も上昇したことも豪ドル買いとなった。雇用も就業者数は4カ月連続で増加し、失業率も予想以上に改善した。2月の消費者信頼感指数も上昇に転じた
 ただRBAはまだ景気回復に慎重な見方をしている。インフレと雇用の目標達成まで数年かかるとして、今後しばらくの間は金融政策による「かなり」の支援が必要になるとの認識を示した。豪ドルについてはケントRBA総裁補佐が「政策対応に伴う豪ドルへの下落圧力は今後も続く」とし、豪ドルの上昇はインフレを抑制するとして神経質だ。ただ現在の資源価格の上昇と貿易黒字では豪ドルの底堅い展開が続く。

*NZドル「通貨4(6)位、株価最下位(15)位、金利上昇でNZドルは上昇も株価が世界最弱に」
住宅投資抑制

 NZドルは豪ドル同様に、住宅価格の上昇による金利の上昇、世界的景気回復での乳製品価格の上昇で支えられている。ただ株価が安く世界16市場で最下位だ。住宅価格高騰を防ぐために、中銀が3月から住宅ローンの融資基準を厳格化する方針を示したからだ。株価は下落しているがNZドルへの影響はまだ見られていない。
 さて中銀は2月24日に今年初の政策決定会合を開催するが、金利を0.25%に据え置くとの見方が優勢となっている。中銀は新型コロナウイルス対策のロックダウンによる景気への影響を和らげるため、量的緩和措置も導入したが、国内経済は予想を上回るペースで回復し、不動産市場の過熱懸念も高まっているため、想定よりも早期に利上げが始まるとの観測も高まっている。

テクニカル分析

*ドル円「カブセ線で3連続陰線。2月15日-19日の上昇ラインがサポート出来るか」
日足、2月5日と同様に2月17日のカブセ線から3連続陰線。2月15日-19日の上昇ラインがサポート。2月18日-19日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。ボリバン上位。
週足、2月1日週-8日週の下降ラインを上抜くもボリバン3σ上限近くで反落。2月8日週-15日週の上昇ラインがサポート。20年6月8日週-21年2月15週の下降ラインが上値抵抗。
月足、1月は5か月ぶり陽線。2月もここまで陽線。11月-12月の下降ラインを上抜く。20年3月-21年1月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ内に戻す。まだボリバン下位。
年足、2020年まで5年連続年足陽線だが、今年はここまで陽線維持。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。16-20年の上昇ラインがサポート。20年2月-3月の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロドル「2月はずっと雲中で推移」
日足、2月はずっと雲中で推移。2月18日-12日の上昇ラインがサポート。2月16日-19日の下降ラインが上値抵抗。ボリバン中位。5日線下向き。
週足、ボリバン2σ上限から反落し中位まで下落するも長い下ヒゲで反発。1月25日週-2月1日週の下降ラインを上抜く。2月1日週-15日週の上昇ラインがサポート。1月4日週-2月15日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、ボリバン2σ上限から反落。11月-12月の上昇ラインを下抜く。ただ2月は長い下ヒゲで回復中。20年7月-11月の上昇ラインがサポート。雲の上。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。17年‐20年の上昇ラインがサポート。11年‐14年の下降ラインも上抜きそうだが今年は陰線スタート。

*ユーロ円「ボリバン2σ上限まで上昇も反落」
日足、ボリバン2σ上限まで上昇も反落。2月18日-19日の上昇ラインがサポート、2月17日-19日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足、ボリバン2σ上限越えないが上限近辺で推移。2月8日週-15日週の上昇ラインがサポート。
月足、3か月連続陽線、今月も陽線。ボリバン2σ上限。12月-1月、5月-11月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年1月の下降ラインを上抜く。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。16年-20年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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