(1)
9日に発表された中国10月消費者物価指数は豚肉価格の高騰などを背景に前年比+3.8%と高い伸びとなった一方、同生産者物価指数は前年比-1.6%に落ち込んだ。こうした中国経済への不安に加え、警察がデモ隊に向けて実弾を発砲するなど混乱が続く香港情勢への懸念も相まって上海株や香港株が下落する中、円が買われた。
(2)
英7-9月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比+0.3%となり、2期連続のマイナスは回避したものの市場予想(+0.4%)には届かなかった。前年比でも+1.0%と伸びは予想(+1.1%)を下回った。また、英9月鉱工業生産は前月比-0.3%と予想(-0.1%)以上の落ち込みを記録した。
(3)
英ブレグジット党のファラージ党首が12月の総選挙で、ジョンソン英首相が率いる保守党が地盤とする選挙区では候補者を擁立しない方針を表明。保守党が議会で過半数を獲得すればジョンソン首相の離脱協定案が議会を通過しやすくなり、2020年1月末までに「合意あり離脱」が実現する可能性が高まるとの見方からポンドが上昇した。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は小幅続落。米中の通商合意に対する期待がやや薄れた前週末の流れを引き継ぎ、一時108.90円前後まで下落した。アジアタイムは、香港で警察とデモ隊の衝突が激化した事などもリスク回避の円買いに繋がった。もっとも、祝日のNY市場で109円台を回復するなど下値も堅かった。
本日は、トランプ米大統領がNYエコノミッククラブで行う講演に注目。「大舞台」で米中通商協議に絡む発言があるとすれば、その内容はポジティブなものになる可能性が高そうだ。ドル/円にとっては買い材料になりやすいだろう。200日移動平均線付近で一進一退が続く相場の転機となるか注目したい。