(1)
英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡り、議会と政府の対立が深まる中、欧州市場でポンド売りが活発化。なお、ジョンソン英首相は「10月31日に欧州連合(EU)から離脱することを確信している」と改めて表明した。ポンドはその後、「バークレー英・EU離脱担当相が明日バルニエEU首席交渉官と会談する」と伝わった事などから買い戻しが入ったが上値は重かった。
(2)
米4-6月期国内総生産(GDP)・確定値は前期比年率+2.0%と予想通りで改定値からの修正はなかった。一方、同個人消費は前期比+4.6%と改定値(+4.7%)から小幅に下方修正された。また、米新規失業保険申請件数は21.3万件と予想(21.2万件)を僅かに上回り前週(21.0万件)から小幅に悪化した。
(3)
トランプ米大統領の弾劾リスクが改めて意識されドルが弱含む場面があった。なお、米下院情報特別委員会はこの日、トランプ米大統領が7月の電話会談でウクライナ大統領に圧力をかけたとされる疑惑の発端となった情報部門当局者の内部告発の内容を公表。告発者は、トランプ氏が来年の大統領選挙を前に、民主党の有力候補であるバイデン前副大統領に不利な情報を得るため「大統領の権限を利用している」と非難した。
(4)
中国の王毅外相が「中国側は、国内市場で必要とされる産品の購入を拡大する用意がある」「双方がより熱意ある措置を取り、悲観的な言動を減らすことを望む。誰もがそれを実行すれば、協議は再開されるだけでなく、前進して結果を生み出すだろう」と発言した事が伝わると対ドルや対豪ドルで一時円売りが優勢となった。なお、これより前に中国商務省は「10月の通商協議の準備のため、米中双方ともに緊密に連絡している」とのコメントを発表した。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで0.1%未満の小幅高。一時107.50円台を割り込む場面もあったが、四半期末に絡むドル需要にも支えられて107.90円台まで反発するなど底堅く推移した。NY市場では、中国外相が米製品の購入拡大に前向きな姿勢を示した事で米中対立懸念が和らいだ一方、トランプ米大統領のウクライナ圧力疑惑に絡む内部告発文書が公開された事で弾劾リスクが再び意識されたため市場心理は定まらなかった。
そうした中、ドル/円は本日も実需の月末フローなどが値動きを左右しやすく、方向感が定まりにくい展開となりそうだ。108.00円の節目を超えれば上値が軽くなる可能性もあるが月初来高値(108.48円前後)の手前では売り圧力が強まろう。一方、20日移動平均線が通る107.40円台は本日もサポートになりそうだ。