
作成日:2026年6月29日 11時50分
6月29日~7月3日のドル円は、上方向の材料を残しながらも、162円台では介入警戒が強まる難しい局面に差し掛かっているように見受けられます。米国のインフレと雇用が強ければドル買いが続きすんなりと上方向を試す期待がある一方、利上げ期待がやや織り込み過ぎだった分、弱い指標には反応しやすい展開も考えられます。
そのため、「上抜けを追うのか」「高値圏レンジと見るのか」「いったん調整を待つのか」、あらかじめご自身の考えを整理しておきたいです。
今週のドル円の予想レンジ:159.80~162.80円
ドル円見通し|162円手前の攻防と米雇用統計で問われる次の一手
米ドルは、弱くなったというより、強い状態を保ったまま次の材料を待っている状況です。
6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利が3.50~3.75%で据え置かれ、声明文では、米経済の底堅さ、雇用の増加、インフレの高さが確認されました。経済見通しでも、インフレ見通しと政策金利見通しが上方修正され、米連邦準備制度理事会(FRB)が簡単に緩和方向へ戻れないことが示されました。
FRBが重視する米個人消費支出(PCE)物価指数も、総合で前年同月比+4.1%上昇、コアで+3.4%上昇しました。物価上昇と需要の底堅さが同時に残っており、FRBにとっては利下げよりも追加利上げリスクを意識しやすい環境です。
一方で、先週後半には米金利上昇が一服しました。ドル円が162円手前で伸び悩んだ背景には、介入警戒だけでなく、織り込み過ぎた米利上げ期待の一部後退もあります。
FRBは今後発表される経済指標を見極めながら、次の一手を考えることになりますが、まずは今週の雇用統計がそうした判断の試金石になるでしょう。
雇用面では、5月の非農業部門雇用者数が17.2万人増、失業率が4.3%でした。6月の非農業部門雇用者数の市場予想中央値は現在11.3万人増程度ですが、一部には20.0万人増を予想する見方もあります。結果が20万人前後に近く、平均時給も強ければ、ドル買いが再開しやすくなります。
FRBはインフレを念入りに精査、本邦は介入時期を見極め
先週のFRB要人発言では、追加利上げを強く示唆する発言が相次いだわけではありません。ただ、FRBがインフレと金融環境を念入りに精査している様子はうかがえます。
ウォラーFRB理事は、短期的な政策金利を直接示す内容ではありませんが、米国経済の規模や金融市場の厚みがドルの信認を支えているという趣旨で、ドルの構造的な底堅さを意識させる内容でした。
日本側では、円安進行に対する介入警戒が続いています。通貨当局からも、「常に断固たる措置をとる用意があることに変わりはない」とけん制発言が続いています。ただ、現在のドル円上昇は米金利上昇とドル高が主因のため、日本当局も動きづらさが感じられます。介入を実施しても、米雇用統計が強ければ、介入効果は一時的にとどまりやすいと考えます。
円ショートは小幅縮小も、依然として高水準

米商品先物取引委員会(CFTC)の6月23日時点のデータでは、円先物の非商業部門はロング11万3698枚に対し、ショート25万9802枚で、差し引きでは大幅な円売り越しです。ただし、前週比ではショートが7705枚減少しており、円売りポジションの一部に調整も見られます。円売りポジションはドル円上昇の燃料になり得ますが、米雇用統計が弱い場合には、逆に買い戻しによる円高圧力にもなります。
ドル円のテクニカル分析、レンジ上抜けが期待できるチャート形状

ドル円の日足チャートは、上昇基調を維持しています。現在値は161円台後半で、25日移動平均線の160.50円付近、75日移動平均線の159.35円付近を上回っています。
形状としては、上値抵抗線が161.90~162.00円付近で横ばいとなり、下値支持線が右肩上がりになっています。これはアセンディング・トライアングルに近い形で、一般的には上方向へのブレイク期待を残す強気パターンです。
ただし、相対力指数(RSI、9日)は76.3まで上昇しており、短期的な買われ過ぎ感があります。162円突破には、米雇用統計や米金利上昇などの追加材料が必要です。
水準としては、上値は161.90~162.00円、162.30~162.50円、162.80円が目安です。下値は161.20~161.40円、160.50円、159.80~160.00円が目安になります。160.50円は25日移動平均線、159.35円は75日移動平均線です。
ドル円の視点と、ご自身のシナリオの組み立て方
メインシナリオは、米雇用統計までは159.80~162.80円のレンジ内で高止まりし、結果を受けて上下どちらかに傾くという見方です。
上方向は、7月2日発表の非農業部門雇用者数が20万人前後、失業率が4.3%以下、平均時給が前月比+0.3%以上となる場合です。この場合は、米利上げ期待が再び強まり、162.80円方向を試す可能性があります。ただし、162円台では介入警戒も強まりやすく、上値を追うには慎重さが必要です。
下方向は、雇用者数が市場予想並みにとどまり、平均時給が鈍化し、失業率が4.4%方向へ上振れる場合です。その場合は、160.50円付近、さらに159.80円付近への調整が考えられます。ただし、米長期金利が大きく低下しない限り、下値を一方的に売り込む材料もまだ不足しています。
戦略面では、押し目買いを基本にしつつ、162円台では利益確定と介入警戒を意識するという整理です。161.20~161.40円、160.50円、159.80~160.00円のどこで下げ止まるかを確認しながら、ご自身が「雇用の強さ」「利上げ期待の織り込み過ぎ」「介入警戒」のどれを重く見るのかに合わせて、シナリオを組み立てたいところです。
あなたの見通しは?
- A:162円突破シナリオ
米雇用統計で平均時給が強く、FRBの追加利上げ観測が再燃する。ドル円は162.80円方向を試す。 - B:高値圏レンジ継続シナリオ
雇用統計は極端に強くも弱くもなく、162円手前では介入警戒、160円台では押し目買いが入り、159.80~162.80円の範囲で推移する。 - C:調整シナリオ
平均時給が鈍化し、失業率が4.4%方向へ上振れる。米利上げ期待が後退し、160.50円付近から159.80円付近への調整を試す。
どれを選んでも、根拠を置いて考えた時点で、相場をただ眺める段階から一歩進んでいます。大事なのは、結果が出たあとに「自分の前提のどこが合っていて、どこが違ったのか」を確認できる形にしておくことです。
今後の重要イベント
- 6月30日(火) 日本 19:00 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
- 6月30日(火) 米国 23:00 6月消費者信頼感指数
- 6月30日(火) 米国 23:00 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 7月1日(水) 日本 08:50 4~6月期日銀短観
- 7月1日(水) 米国 21:15 6月ADP雇用統計
- 7月1日(水) 米国 23:00 6月米供給管理協会(ISM)製造業景況指数
- 7月2日(木) 米国 21:30 6月雇用統計
- 7月2日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 7月3日(金) 日本 連合・春闘最終集計
- 7月3日(金) 日本 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用結果
- 7月3日(金) 米国 独立記念日の振替休日で休場
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
