
執筆日時:2026年3月10日 13時15分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート」
ドル急落→急反発・株急落・金急伸:9.2万人減の雇用ショックが提示した“FRBへの難問”
2026年2月の米国雇用統計は、市場が予想していた雇用増とは逆に大きく落ち込み、ネガティブ・サプライズとなりました。非農業部門の雇用者数は9.2万人減少し、過去2か月分も下方修正されました。失業率は4.4%に悪化し、働く人の割合も下がっています。一方で平均時給は前年より3.8%増えており、賃金の伸びは続いています。
雇用が減った背景には、医療分野での大規模ストライキや寒波による建設業・レジャー業の落ち込みといった一時的な要因があります。さらに、ITや製造業、連邦政府などではAI化や人員削減が進み、長期的な雇用の弱さも見られます。こうした状況から、企業が採用を控えていることがうかがえ、失業期間の長期化も問題になっています。
景気が弱まる一方で賃金は上がり続けているため、景気が悪いのに物価が上がる「スタグフレーション」の兆しも出ています。中東情勢の緊張による原油高も重なり、物価への不安が高まっています。このため、FRBは景気を支えるための利下げと、インフレを抑えるための慎重な姿勢のどちらを優先するか、これまで以上に難しい判断を迫られる状況になっています。
当日の各市場の反応
【為替市場】
雇用情勢の悪化を受けて、米ドル/円は157.90円台から157.377円まで急落。その後、米国・イスラエルとイランの軍事衝突による原油高継続への警戒心から、米ドル/円は158.093円まで上昇した。もっとも、株安の影響や政府日銀の介入警戒心から、上値も限定されました。
【株式市場】
米主要3指数は揃って下落。弱い雇用データや原油高による悪影響が懸念され、相場の重しとなりました。
- ダウ平均:前日比-0.95%(-45.19)で 47,501.55ドル
- ナスダック総合:前日比 -1.51%(-377.38)で 24,643.02
- S&P500種株価指数:前日比 -1.33%(-90.69)で 67,40.02
【金市場】
金スポット相場は上昇。米雇用データの結果を受けて、ドルが下押ししたほか、中東情勢を巡る不透明感から、結果的に金に資金シフトする流れが優勢となり、NY時間終盤に5275ドル付近まで上昇しました。

※チャート:左上から横に米国S&P500、米国D30、日本N225、金スポット、5分足 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート」
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米雇用統計の予想と戦略(先行記事へのリンク)
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