反動減×底堅さの米雇用、予想分散で相場は波乱含み
更新日時:2026年3月6日 22時42分(データを更新)
執筆日時:2026年3月3日 17時38分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
2026年3月6日22時30分に2月分の米雇用統計が発表されます。1月の強い伸びの反動減が見込まれる一方、労働市場の底堅さは維持されるとの見方が多く、エコノミスト予想は−1.0万人〜+11万人と大きく分散しています。この“読みづらさ”が市場の不確実性を高めており、結果次第ではドル円を含む主要市場が波乱含みの動きとなる可能性があります。
まずは前回の内容を振り返ります。
6月まで次回利下げ時期後退
1月の非農業部門雇用者数(NFP)は13.0万人増と予想を大きく上回り、サービス業や製造業で雇用が増加しました。労働市場の強さが確認された一方、為替・株式・金はそれぞれ異なる反応を示し、市場は方向感を欠く展開となりました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:データ米国労働省

各市場の反応
【為替市場】
強いNFPや失業率低下を受けて米ドル/円は154.641円まで上昇しましたが、突如まとまった金額のドル売りが持ち込まれ、152.825円まで急落しました。その後、下押しの反動から買い戻しが強まり154.00円手前まで戻したものの、衆議院選挙での自民党が圧勝するとの観測を受け、高市政権が財政規律に配慮しつつ財政・経済運営を行うとの観測から円を買い戻す流れが継続し、米ドル/円は152.555円まで下落しました。
【株式市場】
米主要3指数はまちまちの動きとなりました。雇用統計の結果を受けて上昇して始まったものの、徐々に追加利上げ期待の後退が意識され、上昇幅を縮めました。
- ダウ平均:前日比 -0.13%(-66.74)で 50,121.40ドル
- ナスダック総合:前日比 -0.16%(-36.01)で 23,066.47
- S&P500種株価指数:前日比 -0.0049%(-0.34)で 6,941.47
【金市場】
金スポット相場は上昇しました。一時5019ドル付近まで下落したものの、イラン情勢をめぐる地政学的リスクや米ドル下落を受けた買いが優勢となり、NY時間後半に5098ドル付近まで上昇しました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 5分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
反動減も基調は底堅そう
2月の雇用統計は反動減が見込まれるものの、労働市場の基調は底堅いとみられます。JOLTS求人件数は減少傾向ですが、Indeed求人指数は下げ止まり、求人需要の急減は確認されていません。医療・教育など特定分野の寄与が大きい点は不安材料ですが、週次ADPは増加を維持しており、労働市場は徐々に安定化している可能性があります。
雇用者数は6万〜8万人程度の増加が見込まれますが、予想レンジが広いため、市場は結果に大きく反応しやすい状況です。
図表3.雇用者数変化に関連するデータ

出所:各種公表データを基に外為総研が作成
※失業保険データは、雇用統計調査週の分
失業率は横ばい
失業率は4.3〜4.4%で横ばい見通しです。新規失業保険申請件数も安定しており、労働需給が急速に緩む状況ではありません。賃金は前年比4%前後の伸びが続く見通しで、上昇圧力はやや和らぎつつあります。
図表4.直近のADP平均雇用者数の推移

データ:米国労働省
※単位:万人
黄色は市場予想を上回った年
予想が開いている点がかえって波乱を生むか
2月の雇用統計は反動減と底堅さが同時に存在し、予想も大きく分散しているため、市場は結果を読みづらい状況です。賃金の粘着性やインフレ沈静化の遅れからFRBの早期利下げを後押しする材料は乏しく、発表後は利下げ観測や金利動向を通じて相場が振れやすい展開が想定されます。今回の統計は方向性を決めるよりも、むしろ“読みづらさ”が波乱要因として意識されやすい局面です。
戦略
■ 1. 米ドル/円(FX)の戦略
雇用統計は反動減が見込まれる一方で底堅さも残り、予想が大きく分散しているため、ドル円は結果次第で振れやすい状況です。地政学リスクはドル買い要因、本邦当局のけん制は上値抑制要因となり、相場は不安定になりやすい地合いです。
- 強気シナリオ(上昇継続): 157.753円を上抜ければ158円台〜159円台が視野。強い雇用統計や地政学リスクはドル買いを後押しします。
- 弱気シナリオ(調整・反落): 157.753円で反落すれば155円台(20日線)まで調整の可能性。割り込むと戻りが鈍くなりやすい展開です。
■ 2. 株式市場の戦略(米国SP500)
株式市場は、雇用統計と利下げ観測の変動に敏感な状態が続きます。反動減でも底堅さが確認されれば安心感は出ますが、賃金の粘着性が意識されると利下げ時期が遠のき、上値を抑えやすい展開です。
- 弱気シナリオ(下落継続): 売りが続けば6542ポイントのサポートを試す展開。原油高や利下げ観測の後退が重しに。
- 強気/反発シナリオ(自律反発): 短期的な売られすぎから反発はあり得ますが、6884(20日線)付近では戻り売りが出やすい状況です。
■ 3. 金(ゴールド)の戦略
金は雇用統計よりも地政学リスクの影響を受けやすい地合いが続きます。イラン情勢の緊迫化が安全資産需要を支え、上昇しやすい環境ですが、短期的な過熱感から調整が入る可能性もあります。
- 強気シナリオ(上昇継続): 5400〜5500ドルを突破すれば上昇第二波へ
- 弱気シナリオ(反落・調整): 利益確定売りが出れば5070ドル(20日線)付近まで調整の可能性。
図表6.ドル/円チャート

米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表7.[雇用統計の実績と予想]
| 年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
| 予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
| 2026年02月 | 5.5 | -9.2 | 4.3 | 4.4 |
| 2026年01月 | 7.0 | 13.0 | 4.4 | 4.3 |
| 2025年12月 | 7.0 | 5.0 | 4.5 | 4.4 |
| 2025年11月 | 5.0 | 6.4 | 4.5 | 4.6 |
| 2025年10月 | - | -10.5 | - | - |
| 2025年09月 | 5.0 | 11.9 | 4.3 | 4.4 |
| 年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
| 予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
| 2026年02月 | 0.3 | 0.4 | 62.0 |
| 2026年01月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
| 2025年12月 | 0.3 | 0.3 | 62.4 |
| 2025年11月 | 0.3 | 0.1 | 62.5 |
| 2025年10月 | 0.3 | 0.4 | - |
| 2025年09月 | 0.3 | 0.2 | 62.4 |
◇関連の経済データ実績
| 年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
| 2026年02月 | 48.8 | 51.8 |
| 2026年01月 | 48.1 | 50.3 |
| 2025年12月 | 44.9 | 52.0 |
| 2025年11月 | 44.0 | 48.9 |
| 2025年10月 | 46.0 | 48.2 |
| 2025年09月 | 45.3 | 47.2 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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