執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は93.51円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は86.68円前後で週初を迎えました。前週の金曜日(13日)から中東情勢が悪化したことで今週は週を通して有事の米ドル買いが優勢となりました。ただ、中東情勢の悪化は原油価格の大幅な上昇にもつながったことで、資源国通貨である豪ドルやNZドルは対円では底堅く推移し豪ドル/円は94.84円前後、NZドル/円は87.99円前後まで上値を伸ばす場面も見られました(執筆時)。
イラン戦争と関税情報に注意
中東情勢について、トランプ米大統領は「イラン攻撃を巡り2週間以内に対応を決定する」と声明を公表しているため引き続き米国の動向に注意が必要です。現時点では原油価格の大幅な上昇が豪ドルを支えているようですが、米国がイランに対して攻撃を開始などとなれば、有事の米ドル買いが一層強まることが考えられます。この場合は、豪ドル/円はリスク回避の動きとなり大幅な下落につながる可能性がありますので要注意です。
また、中東情勢に隠れてしまっていますが、トランプ大統領は今月12日に「2週間以内に一方的に関税率を設定する」と発言しており、その期限が来週26日になります。米国の関税政策が4月に90日間の停止をされたものから改悪されていた場合には、米ドル売りが強まることも考えられます。豪州は米国との貿易額もさほど大きくないため直接的な影響はありませんが、中国や日本などへ資源を多く輸出しているため間接的な影響はあると考えられます。そのため、米関税政策が想定以上に悪い内容だった場合には豪ドルも売りで反応しそうです。
豪CPIは追加利下げの決め手となるか?
来週は25日に豪5月消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想は前月から横ばいとなる前年比+2.4%となっています。豪州の月次CPIと同トリム平均CPIは、このところ豪準備銀行(RBA)がインフレ目標として定めている2~3%のレンジ内での推移が続いています。RBAは5月の金融政策会合の際に大きな議論ではなかったものの「50bp(0.50%ポイント)利下げも議論した」ことが伝わっています。そういったことから、市場ではRBAの7月会合での追加利下げを8割方織り込んだ状態です。そのため、仮に豪5月CPIが予想を下回った場合でも追加利下げ期待から豪ドルが売られる余地は限定的となりそうです。
【表1 豪月次CPI推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円はローソク足が雲の上で推移しています。5月23日に雲上限で下値を支えられたため目先のサポートになりそうです。この水準を下抜けた場合には、雲下限がサポートとなるでしょう。一方上値では、5月13日高値の95.64円前後が目途として意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:92.50-96.50、NZD/JPY:85.50-88.50
6/23週のイベント:
06/25 (水) 07:45 NZ 5月貿易収支
06/25 (水) 10:30 豪 5月消費者物価指数(CPI)
一言コメント:
東京は今週に入って急激に気温が上昇しました。天気予報を見ても、今後2週間は最高気温が30℃を超える日が続くようです。ただ、夜には気温も20℃台半ばまで低下するので、夜はエアコンなしでも心地よく眠れそうです。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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