ドル円 米関税めぐる懸念続き方向感欠く動き
今週初めのドル円は、米関税政策をめぐる懸念で上値が重い中、143円台後半でスタートしました。
トランプ米大統領が中国が米中の関税合意に違反したと主張したことなどを受けて米中貿易摩擦への警戒感が強まる中、2日(月)はドル売りが進みました。
3日(火)もドル安の流れを引き継いで一時142円台前半まで下値を拡大しましたが、日銀の植田総裁による「経済・物価情勢の改善が見込めない中で無理に利上げする考えはない」との発言が伝わったことで円を売る動きが強まりました。さらに米4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回ったことを受けてドル買いが強まり、ドル円は144円台前半へと上昇しました。
しかし4日(水)に米5月ADP雇用統計が発表されると、予想を下回る結果を受けて再びドル売りが強まりました。続いて発表された米5月ISM非製造業景況指数も2024年6月以来11ヶ月ぶりに50を下回り、アメリカの景気減速への懸念が強まって142円台半ばまでドル安が進みました。
5日(木)にはトランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行い、追加関税について近く新たな会合を開くことで合意したと伝わって米中の対立緩和への期待が広がり、ドル円は6日(金)にかけて143円台後半へと上昇しました。
今週のドル円は米指標やトランプ政権の関税政策に関する動きに振らされて上下し、方向感を掴みにくい展開となりました。
来週は米5月消費者物価指数(CPI)などの重要イベントが予定されています。アメリカの景気減速への懸念が強まる中、来週の米指標で弱い結果が目立った場合はドル売りトレンドが再加速する展開も想定され、結果に注目が集まります。
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