【FX】ドル/円米雇用統計FX売買戦略&CFDテクニカル分析 (2025年4月4日(金) 12:00~13:00)
雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2025年4月4日(金) 21:00~23:00)
更新日時:2025年4月7日 12時07分(データを更新)
執筆日時:2025年4月3日 12時30分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
利下げ回数見通しの巻き戻しでドル高期待も!関税発動で見通し不鮮明
はじめに-トランプ米関税強化の影響は
2025年4月4日(金)、日本時間21時30分に米国で3月分の雇用統計が発表されます。米国のトランプ関税策が強化される過程で、米労働市場の減速が進むのかどうか注目されます。ただ、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB議長は「労働市場の状況は堅調」との認識を示し追加利下げに慎重な姿勢を示していることもあり、今回は底堅さを確認する可能性はありそうです。ただし、米国の相互関税発動前の指標であるため、今後に対して楽観的になるには力不足の面もあります。では振り返りからです。
前回のおさらい-製造業は持ち直し、ヘルスケアは引き続き堅調
・失業率4.1%へ悪化
3月7日に発表された、米国の2月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の16.0万人を下回る15.1万人となりました。内訳では、製造業が持ち直したほか、ヘルスケアが引き続き雇用を支えたものの、小売、レジャー・宿泊、派遣サービスの鈍化が雇用を抑制しました。注目された政府部門も4.4万人から1.1万人へ伸びが鈍化しています。また、家計調査の雇用者数も58.8万人減少したほか、失業率は4.0%から4.1%へ悪化し、時間給も前月比で0.3%の伸びに留まるなど、控え目な結果になりました。
トランプ政権が歳出削減を進める中で連邦職員の減少幅が今後拡大するとの思いもあって、労働市場に対する慎重な受け止め方が多かったようです。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:データ米国労働省
市場反応
【為替市場】
米ドル/円は弱めの雇用統計を受けて146.944円まで売りが先行しました。ただ、引けにかけてはパウエルFRB議長が「金利調整を急ぐ必要はない」「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は好調」などと述べると、米10年債利回りが4.32%台まで戻す中で米ドル/円も148.20円レベルまで持ち直しました。
【株式市場】
米国株式市場は、雇用拡大ペースの減速懸念やトランプ政権に対する不透明感から売りが先行したものの、パウエル議長の景気認識を受けて投資家マインドが持ち直し、引けにかけて上昇。ダウ平均株価は222.64ドル高い42801.72ドル、S&P500は31.68p高い5770.20pで引けました。
【金市場】
金相場は横ばい。米雇用統計後には売り買いが交錯して明確な方向性は出ませんでしたが、世界経済への不透明感から一時2930ドル付近まで買いが先行。ただ、その後は米ドル高を受けて2901ドル付近まで押し戻され、結局、前日比2.7ドル安い2909.10ドル/toz(トロイオンス)で引けました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 5分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
今回の見どころ-DOGEが良くも悪くも波乱要因
・連邦政府の人員削減の影響は限定?
・市場の利下げ回数3回は少し行き過ぎ
2月は製造業の持ち直しが見られましたが、トランプ関税を控えた駆け込み需要による効果や、1月までの減少による反動から雇用が伸びただけの可能性はあり、製造業分野の雇用拡大が継続するかどうかは不明です。一方、天候の回復でレジャー・宿泊などが持ち直しそうなほか、政府補助金の凍結撤回などが民間分野の雇用を支えた可能性はあり、労働市場が大崩れすることにはならないと考えます。また、政府効率化省(DOGE)については、注意が必要です。DOGEは設立後の6週間で、連邦公務員約230万人のうち少なくとも2万5000人を解雇し、7万5000人に希望退職制度の利用を促すなど、人員削減に向けた取り組みを示していました。
図表3.分野別の雇用者数推移
主な分野別の雇用者数
単位:千人
出所:米労働省のデータを基に作成
しかし、早期退職プログラムに応じた連邦職員は2万人超いる模様ですが、これらは9月末まで給料を受け取れるため当面、就業者としてカウントされます。また、試用期間職員は給与の支払が終わった時点で雇用者ではなくなりますが、カリフォルニア州地裁は同決定を一時的に差し止め、解雇された職員を復職させるように命じるなど、当初、伝わった数字よりも失業者にカウントされる数字が少ない可能性があります。職員の削減が続く中で見通しは控えめですが、DOGEのインパクトは懸念されるほどではないかもしれません。ただ、家計調査を基にした失業率については小幅な悪化が見込まれています。早期退職プログラムに応じた人の中にはすでに職探しを始めている人もおり、こうした方の中には次の職が見つからないことを理由に自身を失業者として申告するケースもあり得るため、失業率は悪化する危険があります。
図表4.DOGEの影響
想定されるDOGEによる影響
全体的にサービス業での雇用回復から悲観的な結果にはならないと考えており、そのため、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場における年内の米利下げ回数見通し(0.25%を一回として)3回は多少行き過ぎているようにも感じられます。指標結果を受けて、この見方が巻き戻され米ドル/円は上向きに反応するのではないかと、考えています。ただし、関税による経済への悪影響が強まれば、成長減速から労働市場が失速する危険はあり、あくまでも相互関税発動前の結果である点は留意しておきたいです。
図表5.ドル円チャート
米ドル/円 8時間足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表5.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2025年03月 | 14.0 | 22.8 | 4.1 | 4.2 |
2025年02月 | 16.0 | 15.1 | 4.0 | 4.1 |
2025年01月 | 17.0 | 14.3 | 4.1 | 4.0 |
2024年12月 | 16.0 | 25.6 | 4.2 | 4.1 |
2024年11月 | 20.0 | 22.7 | 4.2 | 4.2 |
2024年10月 | 10.8 | 1.2 | 4.1 | 4.1 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2025年03月 | 0.3 | 0.3 | 62.5 |
2025年02月 | 0.3 | 0.3 | 62.4 |
2025年01月 | 0.3 | 0.5 | 62.6 |
2024年12月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2024年11月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2024年10月 | 0.3 | 0.4 | 62.6 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2025年03月 | 44.7 | 46.2 |
2025年02月 | 47.6 | 53.9 |
2025年01月 | 50.3 | 52.3 |
2024年12月 | 45.4 | 51.4 |
2024年11月 | 48.1 | 51.5 |
2024年10月 | 44.4 | 53.0 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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