執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年2月14日 14時10分
上目線の継続性は?日銀利上げへの思惑にも注意
米ドル/円、一時154円後半へ上伸も続かず
トランプ大統領による鉄鋼・アルミニウムへの関税を大幅に引き上げる(3月12日発効)大統領令に署名したほか、米物価指数の上昇から、米ドル/円は154.801円まで上昇しました。ただ、米インフレが引き続き抑制されていることを示す卸売物価指数の内容を受けると、足許の上昇の反動もあり、米ドル/円は152.45円レベルまで押し戻されました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米中対話次第だが、その次も控える
トランプ大統領の関税策を巡ってはサプライチェーンの混乱などから、成長に対する逆風になるとの見方でリスク回避的な動きを想定する投資家がいるものの(筆者もその一人)、市場はこの部分にそれほど着目していない感じで、米ドル/円は米国の期待インフレの強弱に沿った振幅が続いています。
来週も、トランプ米大統領の関税策を巡る発言が、米インフレ期待を高め米ドルを押し上げるのか、それとも過激な発言が控えられ米ドル高に対して修正が入るのかで、米ドル/円は振幅しそうです。また、ややタカ派と見られる高田日銀審議委員が講演するため、日銀の追加利上げを巡る思惑が高まるようなら、円買い戻しが強まる危険もあります。もっとも、米インフレに対する不確実性が高いことから、米ドル/円は明確な方向性が出にくいのではないでしょうか。
米経済指標では2月製造業・サービス業PMIが発表されます。速報性の高い指標のため、米企業景況感の強弱の動向を通じた成長・インフレ期待の動向も着目されます。PMIを巡っては、前月に大きく低下したサービス業PMIが3カ月平均の55.0レベルまで戻すのか、さらには7カ月ぶりに景況感の分かれ目である50を超えてきた製造業PMIが2カ月連続で50を上回ることが出来るのかがポイントになると、考えています。
下落トレンド継続も(テクニカル分析)
米ドル/円は、152.73円レベルの200日移動平均線を突破して、154.80円レベルまで上昇しましたが、日足一目均衡表・基準線や年初来高値の158.866円からの下降レジスタンスラインに頭を抑えられ、結局は三役逆転の状態に押し戻されており、強弱の判断は分かりづらくなっています。目先は200日線を挟んだ振幅が続きそうな雰囲気ですが、陽線後の陰線と孕み線と呼ばれるローソク足の形からは、レジスタンスラインが推移する154.25円をバックに戻り売りを検討したいと考えます。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:150.500-154.500
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一言コメント
少し寒気が緩んでいますが、また寒さが強まるため体調の管理にはご注意ください。
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