執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年1月24日 14時10分
トランプ砲で米ドル安への反応警戒、米FOMCは影薄いかも
米ドル/円、154円台へ反落
米ドル/円はタカ派な日銀会合で失速。トランプ大統領の就任初日に危惧されていた一律関税が見送られたため、それのリスクに身構えていた投資家のポジションが巻き戻されて、米ドル/円は156.756円までの戻りを試しました。ただ、トランプ米大統領が「すぐに金利を下げるよう要請するつもり」と語ると、米ドル/円は155.70円台まで反落。その後、156.00円前後で神経質な値動きが続いた後、物価見通しの引き上げ幅が少し想定よりも強かった日銀の展望レポートを受けて、米ドル/円が155.00円割れまで下げるなど上値の重い展開となりました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、日銀25bp利上げ「ドル円初動の急騰は誤謬」なのか(2025年1月24日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
トランプ氏が相場の主導権握る
トランプ大統領はカナダとメキシコに対して25%、中国に対して10%の関税を早ければ2月1日から課すことを検討しているほか、EUへの関税も視野に入っているとしています。このうち中国に対してはトランプ氏が「中国に対してできれば課税避けたい」と述べるなど、貿易摩擦に対する警戒は緩んでいますが、貿易戦争激化への警戒はこれからが本番と考えるのが無難でしょう。来週は米FOMC(連邦公開市場委員会)や同10-12月期GDPなど主要イベントが並んでいるものの、それらよりトランプ米大統領の言動が相場のドライバーになりそうです。柔和的な関税策となれば、投資家心理の改善から米ドル売り・円売りとなりやすく、反対に過激な関税策が出てくれば、米ドル高・円高の反応が見込まれます。ただ、直近、相当にドルの持ち高が増えておりポジショニング上、米ドル高への調整が入りやすいほか、今回の利上げの最終到達地点が1.00%を超えてくるのではとの思いもあって、米ドル/円は下げたときの方が値幅は広がるのではないかと、考えています。
また、FOMCについては、サービス価格や住居費が前年比で伸びが縮小鈍化しており、米国はディスインフレのストーリーが継続しており、タカ派な会合にはなりづらいと思われます。一方、底堅い雇用情勢から一気に金利を引き下げることも躊躇される状況です。こうした中で、当局は緩和方向を意識しながらも利下げ時期を慎重に見極めるとのメッセージに留めるのではないでしょうか。かたや米10-12月期のGDPは前期から伸びが減速し、2%台後半で着地するとの見方が優勢です。それでも、FRBの見通し(2.5%)を少し上回る格好になるため、米国経済に対して悲観的な材料にもなりづらいでしょう。米経済イベントは全体的に経済の底堅さを示しそうですが、市場へのインパクトは限定されるのではないかと、考えています。
200日線のサポート力を試しそう(テクニカル分析)
縮小気味だった期間21日のボリンジャーバンドが再び拡大傾向を示し始めており、入っており、米ドル/円はレンジが広がる危険があります。日足一目均衡表の雲の厚みと、200日移動平均線が152.80-90円レベルに推移しているため、目先、このレベルでのサポートは期待されますが、このレベルも下抜けてくると150.00円付近まで視線が下がる危険もありそうです。上方向は、前回超えられなかった159.00円が良いところではないでしょうか。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:152.500-158.500
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一言コメント
米ドル/スイスフランのチャートを見ると、一昨年・昨年高値を起点とするトリプルトップ形成の形なのか、それとも昨年9月頃の安値圏からの上昇チャネル継続で、直近高値を抜けてくるのか、中長期で個人的に注目しています。
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