執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年12月6日 13時05分
日米政策期待はどちらに傾く、振幅の大きな展開か
米ドル/円、方向感出ず
米ドル/円は日銀の利上げ観測や、韓国での戒厳令などを受けて、148.644円まで売りが先行しました。しかし、韓国の戒厳令が発令後6時間ほどで解除されたほか、日銀の12月利上げ見送り観測が浮上すると、米ドル/円は151.226円まで切り返しました。もっとも、韓国で大統領への弾劾訴追案が可決される可能性が高まったほか、二度目の戒厳令が発令されるとの観測も飛び出すなど、リスク回避的な傾向も続き、米ドル/円の方向性は定まりませんでした。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、これがFXの心理「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」(2024年12月5日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FOMCと日銀への思惑が交錯
来週は日米の経済指標を受けて『米国の利下げ見送り機運』、『日本の利上げ機運』が高まるのかが着目されそうです。米物価を巡っては、ディスインフレが停滞気味で、特に住居費を除くサービス価格はインフレが加速気味で、11月分も高止まりが予想されます。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場からは、まだ12月利下げ見送りの確率は3割程度に留まっているため、見送りムードが強まれば米ドルは相応に押し上げられそうです。また、ブラックアウト期間入りとなるため、FRBの政策伝達手段が限られる中で、著名記者を通じて政策を投資家に刷り込ませに来ることも考えられるため、観測報道にも注意したいです。
また、日銀会合を巡る思惑についても注意が必要です。日銀の12月利上げの確率は40%程度に留まり、12月利上げ見送りがメインシナリオですが、「(利上げに対し)オントラック」の状態に変わりありません。足許、上昇傾向が続く企業物価指数が一段と上昇し、利上げのタイミングが迫っているとのムードが高まれば、円を下支えすることもあるでしょう。日米の金融政策の思惑が錯綜する中で荒い値動きとなる危険はあるのではないかと、考えています。
トレンドは強弱混在(テクニカル分析)
米ドル/円は日足一目均衡表・雲が支持帯となって、一目基準線の152.695円付近までの反発は期待されます。ただし、11月15日高値156.746円を起点とするフィボナッチファンの38.2%ラインに頭を抑えられる格好になっていますので、上方向の重さが感じられます。先ずは38.2%ラインを上抜けして、50%ラインをトライできるかどうかがポイントになります。38.2%ラインの上抜けに失敗すれば、9月16日安値139.576円を起点とする上昇幅の半値押しとなる148.161円や、心理的節目の146.00円トライの機運が強まる危険もありそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:146.500-152.500
12/9 週のイベント:
一言コメント
『財布紛失でマイナカード&保険証再発行に向かうも…「再発行には身分証が必要」で行き詰まる』という、ニュースをネットで見かけました。「落語やん」などの声が寄せられていましたが、自身に起きたらホント八方ふさがりになりそうで、怖いと感じました。なんかそのうち生体認証的なものを別に登録しておく必要も出てきそうですね。
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