中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也 X(Twitter)
くすぶるスタグフレーション懸念
今月3日に発表されたトルコの11月消費者物価指数(CPI)は、前月比+2.24%、前年比+47.09%と市場予想(+1.92%、+46.60%)ほどには伸びが鈍化しなかった。トルコ中銀は、インフレ率(CPI上昇率)が前月比で明確に低下するまで引き締めスタンスを維持すると表明していることから、今回のCPIを見る限り早期に利下げに着手するのは難しそうだ。他方、11月下旬に発表された7-9月期の国内総生産(GDP)は前期比-0.2%と2四半期連続のマイナス成長となり、トルコ経済は定義上の「景気後退(リセッション)」局面に入った。不況下の物価高、いわゆるスタグフレーションへの懸念がくすぶる中で、中銀は金融政策の決定において難しい判断を迫られそうだ。
実質金利をマイナスにしない考えを示唆
なお、中銀は現在50.00%の政策金利を2025年末に21%まで引き下げることを目指している。21%は中銀の2025年末のインフレ率予測と同じである。つまり、今後利下げを進めるにしても、インフレ率を下回る水準に金利を引き下げる(実質金利をマイナスにする)ことなはいと示唆しているのだろう。そうであれば、仮に中銀が利下げを進めてもトルコリラ相場が大幅に下落する展開にはなりにくそうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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