執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年7月19日 13時46分
ECB・英中銀、緩和に少し距離間、しばらく様子見?
ユーロ/円・ポンド/円、急落も下げ幅限定
ユーロ/円とポンド/円は下落。ドル円が155円台まで下落幅を広げる動きに連動して、ユーロ/円は169.988円、ポンド/円は202.080円まで各々、下げました。もっとも、円高・米ドル安の流れに挟まれて下落の勢いは限定されたため下げ幅を小幅にとどめると、その後はユーロ/円が171円半ば、ポンド/円が203円後半へ持ち直しました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、ドル円・日本株・S&P500大幅安「下値攻め」の様相 (2024年7月18日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECB、インフレ粘着性への思いがにじみ出る
ECB理事会では主要金利は大方の予想通り据え置かれました。会見に臨んだラガルド総裁は「インフレ・賃金指数は前回会合時点の見通しに概ね整合的」としながらも、「サービスインフレへの警戒から国内のインフレは依然として高水準」との認識を示したほか、声明文には新たに「インフレ率は来年に入っても目標を上回る可能性が高い」との文言が追加され、インフレの粘着性への思いがにじみ出る理事会になりました。目先、経済指標を確認しながら次の金利操作がいつ頃になるのかを見極める時間帯となるため、ユーロ/円は方向が見定めづらそうです。
ユーロ/円は、昨年12月からの上昇チャネル下限付近で下ヒゲの長いローソク足が出現している様子を見ると、まだ上昇トレンドが継続中であると見て良いのではないでしょうか。もっとも、足許の下落で上方向の重さが意識され始めたため、目先は7月11日高値(175.423円)と同18日安値(169.988円)の下げ幅の半値戻しとなる172.706円や61.8%戻しとなる173.347円突破を目指せるかどうかが着目されそうです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:169.000-174.000
英中銀、8月利下げはスキップか
英国の6月消費者物価指数は前年比で2.0%と前月と同じ伸びを示し、コアは3.5%と伸びは変わりませんでした。賞与を除いた週平均賃金も前年比で5.7%と伸びが鈍化したものの、依然として高水準であり、一連のインフレ指標を通過しても8月の政策動向は定まりませんでした。見方は分かれるのでしょうが、個人的には足許の英経済が底堅いことも踏まえると、8月は利下げをスキップするのではないかと見ています。この点では、ポンドに対して少し上向きバイアスがかかりやすいのかもしれません。もっとも、年内2回の利下げ観測は維持されているため、一気に上攻めする展開も想定しづらいです。
ポンド/円は、期間21日のボリンジャーバンドが縮小し始めたことで、目先の値動きは落ち着く可能性があります。204.404円(18日時点)で推移する21日移動平均線を中心とした振幅になるのではないでしょうか。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:201.500-206.500
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一言コメント
あっという間にパリでスポーツの祭典が開催される時期になりました。しばらくは寝不足の日が続きそうです。
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